投稿

9月, 2016の投稿を表示しています

バクチノキの花 えっ!サクラの仲間?!(2016.09.30)

イメージ
バクチノキの花が咲いています。 バクチノキ【博打の木】 バクチとは? そう、賭け事、ギャンブルのこと。 この木は、古い樹皮が次々にはがれ落ちることから、和名はその様子を博打に負けて着物を身ぐるみはがれることに例えたものです。木の名前にはさまざまなものがありますが、その中でもおもしろい名前の代表格のひとつでしょう。 ところで、この木はバラ科サクラ属に分類されています。しかし、秋のこの時期に多数の白色の花を穂状に咲かせ、冬になっても葉を落とさない常緑樹であるため、春に開花し秋に落葉するソメイヨシノなどのサクラ類と近縁とは考えにくいですね。それでも、葉の基部のところには、蜜腺(アリなどの昆虫をおびき寄せるために蜜を分泌する器官)がついており、ちゃんとサクラ属の特徴が確認できます。 日本産の常緑性のサクラには、このバクチノキのほかリンボク【橉木】があります。開花時期も同じく秋の9月頃です。(今年は残念ながら花は終わっています。) キク科のコスモスが別名秋桜と呼ばれますが、サクラ属でありながら秋に花をつけるバクチノキやリンボクこそが「秋桜」にふさわしいという方もいます。先日の新着情報(2016.09.23)でお知らせしたように、現在園内ではジュウガツザクラやコブクザクラなど春秋二季咲きのサクラも咲いています。当園でいろいろな秋のサクラ属をご覧ください。                    (解説員)

サイカクの奇花が咲いています。(2016.09.27)

イメージ
今、温室の「サボテン・多肉植物室」では、一風変わった犀角(サイカク)の花が咲いています。 犀角(サイカク)は、南アフリカ原産のガガイモ科スタペリア属の多肉植物です。 つぼみがサイの角に似ていることから、その名が付いたようです。 直径10センチ程の花を咲かせます。 この花の特徴はというと・・・ ヒトデのような形、毛深い、花色も決してきれいとは言えない紫褐色で、さらに動物的なものを連想させる横筋の模様まで入っています。 見た目か ら不気味さを漂わせていますが、さらに強力な「臭い」が加わります。 先日、子どもたちを集めた自然教室がありました。 三々五々に温室内で植物観察する子どもたちを捕まえて、鼻を近づけてにおいを嗅いでもらうと、全員が異口同音に「クサッ!」とのコメント。 そうなんです、おわかりの方も多いと思いますが、この花、ハエに受粉の手助けしてもらっているのです。 そのため、においも生ごみのような臭いがします。 その紫褐色の花色や縞模様は、ハエを誘うために、腐乱した動物の肉に似せているともいわれています。 (つぼみが動物のサイの角に似ています) 臭い花が咲く植物を自宅でわざわざ育ててみようと思われる方は少ないでしょう。 どうぞ、植物園でご覧、そしてご体験ください。 なお、犀角(サイカク)の花は夏を中心に咲く花です。 まだつぼみはついていますが、そろそろ終わりですので、ご興味のある方はお早めにご来園ください。 (展示場所は、写真中央部、休憩室への出口付近です。) (園長 上田)

色を変える不思議な花-スイフヨウ(2016.09.24)

イメージ
先日新聞のコラムでも紹介された、1日のうちで花色を変化させる不思議な花 スイフヨウ。 当園で開催している観察会でも何度か取り上げましたが、開始が午後で酔っぱらった状態(花色が変わってしまった状態)しか見てもらえないので、あらためて変化の状態をご紹介します。        写真上から午前(まだしらふです) 中 お昼(ちょっとピンボケですが中央がややピンクに変化 ほろ酔い加減でしょうか) 下 午後(完全に酔っぱらっています)。 スイフヨウ 漢字では「酔芙蓉」 中国原産の植物ですが、先人たちは粋なネーミングをしたものです。花色変化は色素の「アントシアニン」の量の変化が影響しているようですが、なぜ花色を変えるのかはよくわかっていないようです。 一日花ですが、日によっては1本の中にいろいろな花色が楽しめます。   温室ギャラリー横でまだまだ咲き続けています。機会があったら是非ともご覧ください。 (解説員)   

ヘリオトロープ(ハーブ園から)(2016.09.20)

イメージ
写真は,ハーブ園で紫の花を咲かせている「ヘリオトロープ」です。種類にもよりますが,香りがよく香水が作られました。我が国に初めて入ってきた香水として有名です。夏目漱石は,『三四郎』の中で,ヘリオトロープの香水を登場させています。新潮文庫から,その部分を紹介します。   【三四郎の方が香水の相談を受けた。一向分らない。ヘリオトロープと書いてある罎を持って,好加減に,これはどうですと云うと,美禰子が,「それに為ましょう」とすぐに極めた。】P212から 【鋭い香がぷんとする。「ヘリオトロープ」と女が静かに云った。三四郎は思わず顔を後に引いた。ヘリオトロープの罎。四丁目の夕暮。迷羊。迷羊。空には高い日が明かに懸る。】   P280から                                      (解説員N)

ひょうたんの収穫(2016.09.13)

イメージ
                                                9月12日の休園日に、夏の間トンネルにぶら下がっていたひょうたんの収穫をしました。 大小あわせて約100個ほどを取り入れました。今年よく育ったのは南方系のイプ(ipuハワイ語でひょうたんのこと)というずんぐりしたひょうたん。今年の猛烈な暑さの中では熱帯地方で育つ種類の生育が良かったようです。                                                              実はひょうたんは収穫した後が大変です。果実の上下に穴を開け、浮き上がらないように水に浸けて腐らせ、中の果肉や種をかき出して乾燥させるのに約1か月ほどもかかります。毎年福岡地区愛瓢会の会長さんに処理作業をお願いしています。       ポリバケツの中に沈ませて腐らせますが、水だけでなく会長さん秘伝の液体(カボスを水に浸けたもの。匂い消し)や米ぬかなども混ぜます。      ひょうたんが浮き上がらないようにふたに重しをのせます。果肉の腐敗臭はかなり強烈なのでビニールで密閉して作業終了、約2週間後に取り出します。      中身を出して乾燥させたものは、来る11月6日(日)に当植物園で開催する「マイひょうたんづくり体験教室」で一輪挿しや人形・置物などの工作材料になります。      今年は音の出る「マラカス」づくりに挑戦できるかもしれません。 世界に一つだけのマイひょうたんづくりに皆さん、ぜひご参加ください。        (解説員)

ひと足早く、秋を感じる

イメージ
9月9日、所用があって九重に出かけました。 当日の天気は晴れ。気温も下がり、すがすがしい気候です。 ススキの向こうに見えるのは、手前が指山。奥には三俣山が少し霞んでいます。 少し時間があったので、平地より早い秋を感じようと「タデ原湿原」を散策してみました。 木道の上から植物を見つけて、パチリ。もう終わりかけのヒゴタイです。 次の写真は、マツムシソウとワレモコウ。 どちらも私の好きな花です。並んで咲いているとはラッキーでした。 次にアケボノソウ。もう少しアップで撮るべきでした。 ちょっとマニアックですが、ミズゴケ(オオミズゴケでしょうか)もあります。 ここから先は、高原園芸研究会の現地回りで目に留まった植物です。 こちらは野菜ハウスの入り口近くに生えていたスギゴケ類(オオスギゴケでしょうか)。 見事な群落を形成していました。 続いて、飯田高原のガーデンシクラメンの開花状況です。 9月上旬で、こんなに咲いていますが、まだ出荷には早いようです。 福岡花市場には、8月20日に埼玉県から出荷されたそうです。 まだまだ福岡の地は暑い夏の真っ盛り。すぐに葉っぱが黄化してしまったとか。 もともとシクラメンは暑さに弱いもの。季節の先取りもほどほどにしないと、消費者は困ります。 せめて、平地が秋らしくなってから、出荷してもらいたいものです。 標高900mの飯田高原でも、真夏の日中は33℃になったとか。 地球温暖化の影響かどうかはわかりませんが、九州の夏は平地も山もかなり暑くなっています。 とはいうものの、秋は山の上から確実にやってきているようです。 植物園でも、秋の花が咲き始めています。 過ごしやすい季節になりますので、是非ご来園ください。 (福岡市植物園 緑の相談員 O)

俳句の展示を入れ替えました(2016.09.09)

イメージ
野草園の休憩所内に展示している俳句を入れ替えました。 今回展示した句の中から、いくつかご紹介します。     “藺の花の呟くやうに咲きにけり”    西美和子     (いのはなのつぶやくようにさきにけり) (写真はイの開花の様子/福岡教育大学教育学部福原達人先生の HP より) “藺(イ)の花”とは「イグサ」の花のこと です。 「イグサ」は、畳表の素材になる イグサ科イグサ属の多年草で、湿地などに自生します。 和名は、一文字で「イ」と呼び、あるいは「トウシンソウ(燈芯草)」とも言われます。 花は、写真のように、緑黄色の小花をたくさん集合して咲かせます。 スッと伸びた青い茎とは対照的に、その茎の途中に、まさにボソボソッと“つぶやく”かように花を着けます。 そして、この「イ」の花は、風で花粉を運んでもらう「風媒花」です。 “つぶやき”が風に乗って伝わるように、花粉も風に乗り他の花へと届けられます。  「イ」の花の特徴を、“つぶやく”という一言で見事に表現された句です。   次の句です。     “向日葵もこの日ざしではまぶしそう”    優菜     (ひまわりもこのひざしではまぶしそう) 「ヒマワリ(向日葵)」は、キク科ヒマワリ属の一年草です。 向日性が強い植物で、開花するまでの生長期には太陽の一日の動きに合わせてつぼみが動きます。 (ただし、開花した後は茎の生長が止まるため、花の動きも止まってしまいます。) この顕著な向日性から、日本では「日回り(ヒマワリ)」、英語でも Sunflower (サンフラワー)と呼ばれるなど、世界各国で太陽に由来した名前が付けられています。 お日様とは切っても切れない仲のようです。 今年の夏はとにかく暑い夏でした。 雨の降らない日が連続し、植物たちにも厳しい夏でした。 句にもあるように、いつもは空を仰ぎ見て咲くヒマワリも、今年はお日様の威光があまりにも“まぶしすぎ”て、夕方頃にはややうつむき気味になる花も多かったよう です。   ( 写真は俳句を展示している野草園休憩所)   *この展示は、植物園で句会を開かれている「植物

時期遅れで、アサガオを播いてみました(2016.09.07)

イメージ
9月1日の朝、アサガオの種子を播きました。 桔梗咲や大輪など4品種を、三寸ポットに各一粒ずつ、5ポットに播きました。 アサガオの種子の発芽を揃えるため、播種前に爪切りで、種子の背の部分を少し剥がしました。 その結果、9月5日に発芽が始まり、7日の段階で下の写真のようになっています。 4品種すべて発芽したのは1ポット、3品種が発芽したのは2ポット、2品種発芽が1ポットで、まだ1品種も発芽していないポットもあります。(播き方は同じですから、種子の発芽率のせいでしょうか) 何故、こんな遅い時期に播種したのかといいますと、短茎でコンパクトに花を咲かせるためです。 皆さんも、9月になって日が短くなってきたのを感じているのではないでしょうか? アサガオは短日植物ですから、この時期に播くとかなり早く花芽分化するのです。 また、一部のポットは人工的に短日処理を実施する予定です。 そうすることで、自然日長と短日処理の開花時期の差を観察します。 結果は後日報告しますので、お楽しみに。 (福岡市植物園 相談員 O)