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ちいさな大発見No.160(2022.7.1)歴史の生き証人?

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  今、野草園ではアソノコギリソウ(阿蘇鋸草)が風に揺れながら純白の花を咲かせています。名前に「阿蘇」が付いていますが、阿蘇地方を中心に九州の限られた場所に生息しています。環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種(NT)に指定されています。  普通のノコギリソウに比べると、鋸歯はややおとなしい感じですが、花は一回り大きいようです。 6/23撮影  さて、今号では、アソノコギリソウに関連し、阿蘇地方を中心に自生する植物を5種類紹介します。  まず、ツツジ科のゲンカイツツジ(玄海躑躅)です。九州、四国、中国地方に自生しています。こちらも、原種は準絶滅危惧種(NT)に指定されています。ツツジの仲間の中では最も開花が早いです。  3/17撮影  そして、バックヤード(苗圃)で育て鉢植えで展示されていたハナシノブ科のハナシノブです。阿蘇地方に自生していますが、個体数も減少し、絶滅危惧IA類に指定されています。  5/5撮影  2年前に野草園で咲いたキク科のヒゴタイです。アザミのような葉をもち、球形の紫の花は小花がたくさん集まっている集合花です。こちらも絶滅危惧II類(VU)に分類されています。ちなみに、本園では絶滅しました。  2020年 7/31撮影  ユリ科のヒメユリは、ヒメが付いているようにテッポウユリやヤマユリなどに比べると、一回り小さなユリです。絶滅危惧ⅠB類に分類されています。星型の花が上向きに咲くことからスターリリーと呼ばれています。  2019年 6/1撮影  もう一つ、キンポウゲ科のタンナトリカブト(耽羅鳥兜)を紹介します。  日本では本州、四国、九州に自生しています。「丹那鳥兜」と記載された図鑑もありますが、「耽羅鳥兜」の方を多く使用しています。「耽羅」は、韓国済州島の古い呼び名だそうです。  2018年 10/10撮影  これらの6種類の植物は大陸系遺存植物の一部です。  今からおよそ15万年前の氷河期に日本がユーラシア大陸と陸続きであった頃、中国から朝鮮半島を経由して分布を拡げ、温暖化に伴い日本に取り残されたと考えられています。日本列島が大陸と陸つづきだったことを証明する貴重な植物たちです。 【解説員K】

ちいさな大発見No.92(2020.7.3)大陸系遺存植物って…?

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 今、野草園西ではキク科の「アソノコギリソウ」(阿蘇鋸草)が白い花を咲かせています。阿蘇という名前が付いていますが国内の限られた場所に生息し、環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧(NZ)に分類されています。  ノコギリソウなどに比べると、花は大きく、葉の切れ込みも浅いようです。 舌状花は5~6枚  次は野草園東で大きな蕾をつけているキク科の「ヒゴタイ」です。アザミそっくりな葉をもち、球形の花は小花がたくさん集まっている集合花です。こちらも絶滅危惧II類(VU)に分類されています。  阿蘇のヒゴタイ公園は有名ですね。まだ行ったことがないので、是非一度行ってみたいと思っています。 現在の様子 過去の写真(7月31日撮影)  次は、ユリ科の「ヒメユリ」です。名前の通り、他のテッポウユリやヤマユリなどに比べ、全体的に小ぶりなユリです。こちらも、絶滅危惧ⅠB類に分類されています。英名は「スターリリー」と言います。 昨年の6月に郷土樹木園で撮影  もう一つ、キンポウゲ科の「タンナトリカブト」(耽羅鳥兜)を紹介します。  日本では本州、四国、九州に自生しています。「丹那鳥兜」と記載された図鑑もありますが、「耽羅鳥兜」の方を多く使用しています。「耽羅」は、韓国済州島の古い呼び名だそうです。 昨年10月末、水生植物園で撮影  これらの植物は大陸系遺存植物と言われています。  今からおよそ15万年前の氷河期に大陸から朝鮮半島に自生していた植物が、温かさを求めて南下し、当時陸続きだった日本に分布を移してきたと考えられています。  ですから、日本列島が大陸と陸つづきだったことを証明する貴重な植物と言えます。  今はアソノコギリソウを見ることができます。是非、植物園においで下さい。 【解説員K】