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ゴンズイって・・樹木?魚?(2018.10.31)

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 先日、来園の方に8月25日のブログで紹介した「赤と黒」のゴンズイ(ミツバウツギ科)の話をしたところ、「あれ~、ゴンズイって魚にもいるよね。」と言われました。  そうです。よく波止場などの釣りで外道であがる魚もゴンズイといいます。ひれに毒がある厄介者であまり歓迎されない魚です。同じ名前になったのは、樹木のほうのゴンズイもあまり利用価値がないことからつけられたといわれています。  ということで、今回は同名異種、魚など違った生物と同じ名前がついている植物を探してみました。  これから11月後半頃にかけて白花を咲かせるヒイラギ(モクセイ科)です。葉の縁が鋭くとがりますが老木になるとトゲが取れて滑らかになります。  同名でヒイラギという鰭がトゲ状になった小魚がいます。この名前は、体型が葉のような形状で周囲にトゲがあることから名づけられたといわれています。  4~5月に丸い花弁の白花を咲かせるカマツカ(バラ科)です。材が堅く丈夫で鎌の柄に使われたことからこの和名がつけられています。  同名でカマツカという淡水魚がいます。和名は、樹木と同じように堅い体をもっていることに由来しているそうです。  その他、魚類以外の同名異種ではコムラサキ(クマツヅラ科・蝶と同じ名前)やホトトギス(ユリ科・鳥と同じ名前)などが知られています。 コムラサキ ホトトギス 蝶の仲間では、国蝶のオオムラサキもツツジ類のオオムラサキと同じ名前です。  ホトトギス(植物)の和名は、花の紫色の斑点がホトトギス(鳥)の胸の模様を思わせることからつけられています。  現在コムラサキは野草園で、ホトトギスは庭木園で見ることができます。       (解説員)

ちいさな大発見!? No.1(2018.10.30)

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 空気が澄み渡り,園内入口花壇では赤やピンク,白,黄のコスモスが風に揺れ,250種類,1000株以上のバラが豪華に咲き誇っています。  また,園内の落葉樹の葉も日ごとに赤や黄に彩りを増し、秋の深まりを感じる今日この頃です。  先日,園内を廻っているとモデル庭園の一角でモニュメントとして置かれた1本の切り株の上に,数個の玉石にナンテンの実,ホソバヒイラギナンテンの花,キンモクセイの葉,バークチップなどが置かれてるのに気づきました。  あくまでも私の想像ですが,家族で来園して,モデル庭園内にある四阿でお弁当を食べたのでしょう。そして,先に食べ終えた女の子がその近くで見つけたこれらの素材を持ち寄って造形遊びに親しんだのではないでしょうか。  本来ならば注意しなければいけないところでしょうが・・・。    実は以前も雨上がりの午前中に園内を廻っていたとき,同じくモデル庭園の踏み石に人の顔を表現したオブジェ(?)を見つけました。敷かれた砂利を使い,目や口,顔の輪郭をつくり,鼻は小さな柿を使っているようでした。  子どもの発想は豊かで楽しいですね。  【解説員K】

チョット気になります,路傍の花たち No.19(2018.10.28)

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 前号のNo.18で紹介したかった花です。  中央アメリカ原産,キク科の多年草で帰化植物です。毎年,護岸の同じ場所で,一株の中に白とピンクの2色の花を咲かせるので以前から気になっていました。  名前は「ペラペラヨメナ」。へんてこな名前ですが,葉が薄いヨメナのようだということから名前が付いたそうです。  咲き始めは白で次第にピンクに変わることから,源氏と平家に見立ててゲンペイコギク(源平小菊)とも言われています。草丈も30cm程でとても可憐な花です。他にも「ペラペラヒメジョオン」、「メキシコヒナギク」と言う別名があります。 【ペラペラヨメナ】  同じく,「ペラペラヨメナ」とは近縁種になります「ヒメジョオン」です。  初夏から晩秋まで咲き,道端を歩けば必ず見かける花です。ヒメジョオンはキク科の植物で草丈は1mを超えるものもあります。大変よく似た花に「ハルジオン」があります。開花時期や花弁の様子,葉のつき方,茎の断面などから簡単に区別がつきます。残念ながら要注意外来生物に指定されているようです。 【ヒメジョオン】  この時期,よく目につく「カラスウリ」です。ウリ科の多年草で木々に絡みついて蔓を伸ばします。オレンジのラグビーボールのような形ですが,食用にはむいていません。雌雄異株で実をつけるのは雌株だけです。  花は暗くなってから咲き,日の出前にはしぼんでしまうのでなかなか目にすることはありません。しかし,レース模様の5つの花びらはとても神秘的です。  是非,来年は写真に収めたいものです。 「カラスウリ」  最後に,初めて見つけた野草を紹介します。  駐車場の斜面に1カ所だけ群生していた「ヤマハッカ」です。シソ科のハッカ(ミント)に似ているということで名前が付けられたそうですが,ハッカの仲間ではないため,匂いは特にありません。  特徴は花穂を伸ばし,小さな青紫の唇形花をたくさんつけるところです。たくさん咲くと,なかなか見ごたえがあります。 「ヤマハッカ」 【解説員K】

チョット気になります,路傍の花たち No.18(2018.10.25)

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 南区の樋井川上流を愛犬と散歩中,護岸のコンクリートの隙間から根を張って,立派に花を咲かせている植物をたくさん見かけます。その一部を紹介したいと思います。  青や紫,白,薄青など,様々な色合いに熟す宝石のような美しい実が目に入ってきました。「ノブドウ」です。藍色とか群青色などと言うのでしょう。ブドウ科ですが,食べられません。 【ノブドウ】   地中海,ヨーロッパ原産でロックガーデン用として入ってきた「ツタバウンラン」。石垣や河川の護岸などのコンクリートに茎を這わせ、根を出して広がっていきます。  【ツタバウンラン】  北アメリカ原産の帰化植物で観賞用として導入された「セイタカアワダチソウ」です。秋の花粉症を発症させるという悪いイメージが一時,定着しましたが,ミツバチ等の蜜源植物であることから風で花粉を飛ばすことはなく,まったくの濡れ衣だったことがわかってきました。  最近では葉や茎にポリフェノールを多く含むことがわかり,また,漢方薬として使われるなど,多くの薬効成分があることが知られています。  ただし,外来生物法により要注意外来生物に指定されています。  【セイタカアワダチソウ】  タデ科の多年草でヒマラヤ原産の「ヒメツルソバ」です。明治期にロックガーデン用として取り入れられたそうで,護岸にもびっしりと繁茂していました。匍匐性があり,夏場は花が絶えますが,5月から11月頃まで咲き続けます。 【ヒメツルソバ】  アオイ科の落葉低木で言わずと知れた福岡市の花「フヨウ」です。朝からきれいなピンクの花を咲かせていますが,夕方にはしぼんでしまう1日花です。 【フヨウ】  以前,No.15で2度楽しめると紹介した「クサギ」です。花弁が落ちた後,ガクは残って実を包み,実が熟してピンクのガクが星形に開きました。 【実を付けたクサギ】  このほかにも,サルスベリやイタドリなども見つけました。  これらの植物は風によるものか,鳥によるものか定かではありませんが,種から発芽したと考えられます。  厳しい条件の中でも懸命に根をはり,わずかな雨水や養分を吸収して生長しているこれらの植物。本当にたくましいの一言に尽きます。  尚、ノブドウやヒメツルソバ、フヨウは園内でも今、見ることができます。

チョット気になります,路傍の花たち No.17(2018.10.18)

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 種の散布には風によるものや雨,川などの水によるもの,どんぐりのように自然落下するものなど,いろいろなパターンがあります。  そこで,今回は動物による散布,中でも動物に付着して種の保存を図ろうとする,いわゆる「くっつき虫」型の植物を紹介します。  まず,くっつき虫と言えば,やっぱり「オナモミ」です。  子どもの頃,トゲトゲのオナモミをよく友だちの衣服に投げて遊んだ記憶があります。しかし,今やオナモミは絶滅危惧種に指定され,代わりに増えたのがオオオナモミです。残念ながら今,探しているところです。  今,いちばん目にするのがヒユ科の多年草の「イノコズチ」です。「ヒナタイノコズチ」と言われています。実の根元に刺状の苞がついていて,動物や私たちの衣服に付着します。 「ヒナタイノコズチ」  花木園Bで見つけたのがキク科1年草の「コセンダングサ」です。北アメリカ原産の帰化植物で明治期に入ってきたようです。先っぽの3〜4本の冠毛に逆刺があります。 「コセンダングサ」  同じ仲間に「アメリカセンダングサ」があります。コセンダングサとの違いは,葉っぱに似た総苞が花を取り囲んでいるところです。また,茎が暗紫色になっているので,すぐわかりますよ。 「アメリカセンダングサ」  以前,No.10で紹介した「アレチヌスビトハギ」です。いつのまにか花は散り終え,実がびっしりと付いていました。よく見ると,実が3~5個連なっています。かぎ状の毛があり,これにふれると,付着します。 「アレチヌスビトハギ」の実   次は野草園東で見られる「キンミズヒキ」です。花がまもなく終わりますが,すでに実がたくさん付いています。実にはかぎ形の刺があります。ちょっと触れるとご覧の通り! 「キンミズヒキ」の実  最後に,しっかりと根を張り,強くてなかんか抜けないため「チカラシバ」と言う名前が付けられています。イネ科の多年草です。実は先端の毛と一緒に外れ、これが動物などの毛に引っ掛かります。 「チカラシバ」  おまけです。  植物園入り口に皆様をお迎えする寄せ植えの円形プランターが数個置かれています。その中にひと際目を引く全身紫色の花があります。名前は「パープルファウンテングラス」です。イネ科のチカラシバ属です。 花穂が垂れている

チョット気になります,路傍の花たち No.16(2018.10.11)

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 今回は「ツユクサ」の仲間を紹介します。当植物園でもあちらこちらで顔を出し,小学生でも知っている野草です。ほぼ群生して咲いていることが多いようです。 写真①  実はツユクサをじっくりと見ると,とても不思議な花のつくりになっています。  花弁は2枚と思いがちですが,実は3枚あります。2枚の大きな青い花弁の他に,下向きについた白い花弁があります。  そして,何より不思議なのは3種類の異なった役割を持つ6本のおしべです。最も長いおしべは2本,次に長いおしべが1本,先っぽが黄色くなったいちばん短いおしべが3本あります。この先っぽが黄色くなった3本のおしべは実は花粉を持たず,昆虫を引き付ける役目があると言われています。  機会があれば監察会で,もう少し詳しくお話できると思います。  ところで,ツユクサと言えば写真①が一般的ですが,実は白花もあるのです。今回,見つけましたよ。写真②です。 写真②  さて,当園モデル庭園脇の斜面では,エリアを分け合うようにツユクサの隣に群生している「マルバツユクサ」を見付けました。名前の通り,葉が丸いのが特徴で,花はツユクサよりも一回り小さく,色もうす紫です。 マルバツユクサ(ツユクサ属)  この野草の特徴は秋になると地下にできる閉鎖花でも種を作るという,すごいパワーの持ち主です。その分,繁殖力が強く,農家さんには大変厄介な草花です。  次は水生植物園で8月上旬まで見ることができたオオボウシバナを紹介します。 オオボウシバナ(ツユクサ属)  ツユクサよりもはるかに大きく,その特性を利用し,花の色素から青花紙を作り、友禅染の下絵の絵の具として利用されたのが「オオボウシバナ」です。滋賀県草津では古くから栽培され,近江の特産品として記載された江戸期の文献もあり,現在も栽培されているそうです。   ムラサキツユクサ(ムラサキツユクサ属)  次は立ち姿が美しい「ムラサキツユクサ」です。北米原産の園芸種で野生化しています。以前は小学校の理科の学習で気孔の観察によく使われていました。 ノハカタカラクサ(ムラサキツユクサ属)  南アメリカ原産の多年草で、昭和初期に観葉植物として導入されたシロフハカタカラクサが野生化し斑がぬけたものです。別名を「トキワツユクサ」と言います。可憐

チョット気になります,路傍の花たち No.15(2018.10.6)

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 今日は台風25号による臨時休園日です。  そこで予定を繰り上げ、NO.15をアップします。  先日、小学校の近くを散歩していると,西側の丘陵地にピンクがかった白い花が咲いている花木を見つけました。高さは2~3mほどあり,こんもりとした立ち姿です。  近づいてみると,大文字形の白い花弁と3~4cmはありそうな4本のおしべ,その中心には1本のめしべが存在感を示し,ピンクに見えたのは萼のようでした。ククマツヅラ科の「クサギ」です。 クサギ  漢字では「臭木」と書きます。文字通り,葉をもむと独特な臭気を発します。  実は、この木は2度楽しめます。もう少しすると,萼の色が濃紅になり星形に変化します。そして,紺色の実をつけます。その姿が別の花のように見えるのです。 クサギ(実)  そして,クサギ関連で登場するのが,同じくククマツヅラ科の「ボタンクサギ」です。遠目で見ると,ボタンのようにもアジサイのようにも見えます。ボタンクサギがどこかに咲いていないかなぁと思って探していると,何と2カ所で見付けることができました。 ボタンクサギ  大文字形の薄いピンクの花と,それよりも濃いピンクの蕾がマッチングしてとても豪華です。葉や茎にはわずかに臭気がありますが,花は意外や意外,よい匂いがしましたよ。  さて,足元に視線を向けると,秋を代表する野草を見つけました。「ヨメナ」です。キク科シオン属の多年草ですが,いわゆる野菊です。実は同じ仲間に「ノコンギク」などがあります。これらは大変よく似ています。 ヨメナ    この近縁種で,今,植物園で見られる花を紹介します。  1つは野草園東で見られる「コンギク」です。ノコンギクの栽培品種ですが一見するとまったく同じように見えます。 コンギク  そのすぐ近くでは1.5mくらいに育った大株の「シオン」がたくさん咲いています。漢字で「紫苑」と書くように紫が多いようですが,白花もあります。本種はやや紫がかった白花です。 シオン  最後は温室周辺花壇にある「クジャクソウ」です。別名を「クジャクアスター」と言います。北アメリカ原産の多年草です。枝分かれを繰り返し,多くの花を孔雀の羽のように広げて咲いています。花色は白,ピンク,青,紫など豊富です。本種は白花です。

チョット気になります,路傍の花たち No.14(2018.10.5)

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 今朝,散歩をしていると,どこからともなく秋の到来を感じさせてくれるキンモクセイの香りが漂ってきました。辺りを見回すと,すぐ近くの民家にキンモクセイの大木を見つけました。蕾がびっしりとついていました。開花直前なのでしょうか。本当にいい香りです。  さて,あれだけ多くの「アレチヌスビトハギ」が川面を占拠していた場所には,いつのまにかピンクのかわいいミゾソバが群生していました。タデ科の1年草で茎にはトゲが見られますが,花はまるでガラス細工のようにきれいです。 ミゾソバ  実はNo.13で紹介したオオイヌタデも近縁種になります。他にも今,野草園やモデル庭園などで見ることができる「ママコノシリヌグイ」や「オオケタデ」,「ミズヒキ」,「イヌタデ」,「ヒメツルソバ」なども同じ仲間ですよ。 ママコノシリヌグイ オオケタデ ミズヒキ  次は,空き地のフェンスにからまる小さなアサガオ(?)を見つけました。花びらの形が星型そのままの「ホシアサガオ」です。 ホシアサガオ   熱帯アメリカ原産でヒルガオ科1年草の帰化植物です。花の中心部が濃い紫になっています。花径は2cmもありません。よくよく見ると結構びっしりと咲いています。花柄がずいぶん長いのでびっくりしました。戦後,穀物に交じってタネが入ってきたそうです。  へぇ,あんな小さなアサガオがあったんだと驚いていると,すぐ近くで同じくらいの大きさで5角形の白いアサガオ(?)を見つけました。これはホシアサガオと少し違うぞと思い調べてみると,こちらは北アメリカ原産で同じくヒルガオ科の「マメアサガオ」でした。 マメアサガオ    意外と見えているようで見えていないことに気づかされました。また,外来種がいかに多いかも痛感しているところです。  【解説員K】

“かみなり様おこらないでねデート中” 俳句の展示入れ替えました。(2018.10.4)

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 野草園の休憩所内に展示している俳句の作品を入れ替えました。  植物園では,10月に入ったというのに,まだツクツクボウシが鳴いています。  ようやく涼しさを感じるようになり,季節感のない私の半袖シャツも, そろそろ長袖に衣替えしなきゃいけないなあ,と思ってる今日この頃ですが, まだ蝉が鳴いているならいいかな…(笑)  まだまだ暑かった9月に,植物園に来て投稿いただいた俳句をいくつかご紹介しますね。   “涼風につくつくぼうしの命声” ひさこ   (りょうふうにつくつくぼうしのいのちごえ)   “夏深し法師ばかりの声しきり” 勝行   (なつふかしほうしばかりのこえしきり)   “セミの音の聴ゆる内は夏感じ” あさ   (せみのねのきこゆるうちはなつかんじ)  ツクツクボウシは秋の季語なんですね! 恥ずかしながら,知りませんでした…  少し調べてみると,ツクツクボウシは「秋を告げる蝉」とも言われているそうで, ほかの蝉が少なくなる8月下旬ごろから9月上旬ごろ鳴き声が際立つようになるとのこと。  10月上旬まで鳴き声が聞かれることもあるそうで, 私がこれまで気づかなかっただけなのかもしれませんね。  “かみなり様おこらないでねデート中” ますみ   (かみなりさまおこらないでねでーとちゅう)  “夏休みあなたに会えてよかったわ” 桂太郎&美夏  (なつやすみあなたにあえてよかったわ)  園内で若い男女のカップルの方をお見かけします。  春と秋の気候のよい時期ももちろんなんですが, この時期は遠足などの子どもたちや親子連れのお客様でとても賑わっているので, 人の少ない夏場や夕方などは,静かにゆっくり二人の時間を過ごせるんだと思います。  私が4月に植物園に着任したことを知り合いに話したら, 「初デートが植物園だったんよ! お弁当を作って植物園で一緒に食べたな