チョット気になります,路傍の花たち No.16(2018.10.11)

 今回は「ツユクサ」の仲間を紹介します。当植物園でもあちらこちらで顔を出し,小学生でも知っている野草です。ほぼ群生して咲いていることが多いようです。
写真①
 実はツユクサをじっくりと見ると,とても不思議な花のつくりになっています。
 花弁は2枚と思いがちですが,実は3枚あります。2枚の大きな青い花弁の他に,下向きについた白い花弁があります。
 そして,何より不思議なのは3種類の異なった役割を持つ6本のおしべです。最も長いおしべは2本,次に長いおしべが1本,先っぽが黄色くなったいちばん短いおしべが3本あります。この先っぽが黄色くなった3本のおしべは実は花粉を持たず,昆虫を引き付ける役目があると言われています。
 機会があれば監察会で,もう少し詳しくお話できると思います。
 ところで,ツユクサと言えば写真①が一般的ですが,実は白花もあるのです。今回,見つけましたよ。写真②です。
写真②

 さて,当園モデル庭園脇の斜面では,エリアを分け合うようにツユクサの隣に群生している「マルバツユクサ」を見付けました。名前の通り,葉が丸いのが特徴で,花はツユクサよりも一回り小さく,色もうす紫です。
マルバツユクサ(ツユクサ属)
 この野草の特徴は秋になると地下にできる閉鎖花でも種を作るという,すごいパワーの持ち主です。その分,繁殖力が強く,農家さんには大変厄介な草花です。

 次は水生植物園で8月上旬まで見ることができたオオボウシバナを紹介します。
オオボウシバナ(ツユクサ属)
 ツユクサよりもはるかに大きく,その特性を利用し,花の色素から青花紙を作り、友禅染の下絵の絵の具として利用されたのが「オオボウシバナ」です。滋賀県草津では古くから栽培され,近江の特産品として記載された江戸期の文献もあり,現在も栽培されているそうです。
 
ムラサキツユクサ(ムラサキツユクサ属)
 次は立ち姿が美しい「ムラサキツユクサ」です。北米原産の園芸種で野生化しています。以前は小学校の理科の学習で気孔の観察によく使われていました。

ノハカタカラクサ(ムラサキツユクサ属)
 南アメリカ原産の多年草で、昭和初期に観葉植物として導入されたシロフハカタカラクサが野生化し斑がぬけたものです。別名を「トキワツユクサ」と言います。可憐な白花ですが,繁殖力が旺盛で要注意外来生物に指定されています。
 郷土樹木園で4月中旬から7月中旬まで3カ月も咲いていました。

ムラサキゴテン(ムラサキツユクサ属)
 別命を「パープルハート」と言い,メキシコ原産で茎も葉も全身,紫色をしています。カラーリーフとして人気があります。
ヤブミョウガ(ヤブミョウガ属)
 おまけです。
 6月上旬から8月末まで郷土樹木園で見られたヤブミョウガもツユクサ科でしたよ。
 【解説員K】

コメント

このブログの人気の投稿

秋でもないのに・・春の紅葉(2020.4.4)

「卯の花」ってどんな花?(2017.5.31)

さまざまな樹皮の表情(2017.12.14)