2021年4月30日金曜日

ちいさな大発見No.125(2021.4.30)かわいいなぁ!

  毎年、園内の水路や池でマガモのペアをよく見かけます。 

水生植物園にて


 さて、温室中庭の温帯スイレンを植えている池で、7羽のマガモの赤ちゃんが孵化しました。場所は池の中にある直径1mほどの円型ポットです。 


 雛が確認されたのが29日とのことですが、元気に7羽の赤ちゃんが一生懸命に母マガモのあとを追いかけています。 


 じっと、見ていて気付いたことがあります。えさを探したり人の気配を感じたりすると、雛たちは水の中に潜るのです。まだ、生まれて数日だろうに・・・泳ぎも上手でちょっと驚きました。 


 途中、カラスが1羽飛んできましたが、カラス除けの効果音(撃退音)が効いたのか、どこかへ飛んでいきました。

 孵化後、50~60日くらいで飛べるようになり巣立っていくそうです。天敵のカラスに襲われないよう何とか生きのびてほしいと思います。

 ところで、巣の中にはまだ3つの卵が残っていました。もしかしたら、無精卵かもしれません。しばらく観察を続けたいと思います。

追伸

 昨日(4/30)の午後、大勢の人が見守る中、マガモの親子は温室中庭から芝生広場にある池へと引っ越しをしたそうです。

【解説員K】


2021年4月29日木曜日

緑鮮やかなクスノキの若葉(2021.4.29)


  今日は「昭和の日」、午前中はあいにく雨模様でしたがお昼近くには雨があがり薄日も差してきました。園内はフレッシュな新緑に包まれていますが、その中でも緑鮮やかで大きく存在感を示しているのはクスノノキの若葉です。 

  クスノキは福岡市の「市の木」の一つ、九州地方の代表的な照葉樹として古くから神社仏閣などに多く植えられ、また公園や街路にも植栽されているので皆さんにも身近な樹木だと思います。

東区香椎参道のクスノキ

  クスノキは大きくなるのが早く雄大な樹形になる樹木ですが、その成長の秘密は葉にあります。艶々として厚い葉は光合成の効率が高く、栄養を続々と本体に送り込みます。その代わり葉の消耗は激しいことから、常緑樹ですが1年ごとに一斉に古葉を落として葉を更新します。


 そのため、私たちは毎年クスノキの鮮やかな緑色の若葉を見ることができる訳です。

 ところで明るい色のクスノキですが、よく見てみるとその明るさは若葉だけではありません。

 枝先に、大型の樹形に似合わず意外と小さく可愛い花が咲いているので、若葉が一段と明るく見えています。花被片が6枚ある淡黄色の花が円錐花序についています。

 秋には液果が黒く熟します。

 園内は久しぶりの雨に洗われて、クスノキをはじめ新緑が鮮やかさを増しています。
 バラ園のバラも早くも見頃を迎えている植物園にどうぞお越しください。
                                 (解説員)

2021年4月28日水曜日

ちいさな大発見No.124(2021.4.28)植物園デビュー?

 みなさんは、この花の名前がわかりますか。

 
4月21日撮影

4月27日撮影

 マメ科フジ属のアメリカフジ(園芸品種名:アメジストフォール)です。

 市民花壇に2株植えられており、開花が始まったばかりの状態です。アメリカに自生しているマメ科フジ属のつる性の落葉樹です。つる性と言っても日本で見ることができるフジとは異なり、花穂はほとんど垂れることはなく、樹高も3m程で棚も不要です。遠目に見ると、ブドウの房のように見えます。

 また、現地では5月と10月の2季咲きらしく、ここ福岡でも10月頃に咲くのか、今から楽しみです。


 次は日本で見られるフジを紹介します。ノダフジとヤマフジの2種類です。

 ノダフジは花穂が長いものでは1mほどになり、藤祭りなどで多く見ることができます。

 植物園には植樹されていないので、先日、筑紫野市の武蔵寺に行ってきました。4月末が見頃だと聞いていましたが、今年はやはり開花が早く、ぎりぎり間に合いました。


 

4月26日、武蔵寺のノダフジ


 もう一つは花穂があまり伸びないヤマフジです。植物園の展望台では、青紫と白色の園芸種であるカピタン(花美短)が咲きました。白花のヤマフジは白花美短(シロカピタン)、青紫種は赤花美短(アカカピタン)と言います。 

4月3日撮影のアカカピタン 

4月3日撮影のシロカピタン

 おもしろいのは蔓の巻き方で、ノダフジが時計回りなのに対して、ヤマフジは反時計回りになっています。


 もう一つ、今、野草園で咲いているニワフジを紹介します。同じマメ科ですが、コマツナギ属に入り、上述した3種類とは少し違います。 


 アメリカフジとニワフジは今も園内で見ることができますよ。

【解説員K】

 

2021年4月25日日曜日

続々とドングリの花(2021.4.25)

 4月5日のブログでドングリ(ブナ科の樹木がつける果実)の花を紹介しましたが、その後もいろいろな種類が続々と開花しています。

 最初はシラカシ【白樫】の花です。雄花が尾状に垂れ下がり、雌花は新枝の先にちょこんとついています。

 秋には実が熟す一年成のドングリで、殻斗(お皿状のもの)はリング状(縞模様)です。

 イチイガシ【一位樫】の花です。シラカシと同じく花粉を風で飛ばす風媒花ですので、目立たない雄花が垂れ下がっています。

 これも一年成のドングリです。葉の裏の白っぽい毛に特徴がありますが、リング状の殻斗にも毛がありフワフワ感があります。

 ところで、次の写真は何だかわかりますか?

 答は芝生広場のカシワ【柏】にびっしりと咲いた花です。これだけの開花を見たのは私が植物園に勤務して(9年目ですが!)初めてです。これまでも花は咲いていましたが数が少なく、いわんや秋のドングリもほとんど見ることはなかったのでびっくりしています。

 この写真は4月10日頃の撮影で現在は花のピークは過ぎていますが、当園としては珍しい開花ですので紹介しておきます。この花も風媒花なので、新枝の付け根からたくさんの雄花が垂れ下がります。

雌花は新枝の先につきます。

 この写真は平成25年(2013)に撮影された、園内で熟したカシワのドングリの数少ない写真です。一年成なので、この秋にはモシャモシャの殻斗に包まれたドングリを見ることができるのではないかと思います。ご期待ください。

 最後にご紹介するのは、虫媒(昆虫が花粉を媒介)のドングリの花です。

 この時期、みなさんお住い近くの雑木林でこのように黄色くなった樹木を見かけませんか?これは、樹冠全体に「カリフラワーのような黄白色」と形容されるスダジイ【すだ椎】の花がびっしりと咲いているんです。

 虫媒花なので、雄花が垂れ下がる風媒花と違い、昆虫たちにアピールするために花序を立てているのがわかります。

 これも同じく虫媒のツブラジイ【円椎】の花です。スダジイよりは白っぽい花ですが、どちらも匂いを放って昆虫たちを呼び込みます。ドングリはどちらも来年の秋に熟す二年成です。

 今年は、サクラをはじめ春の花たちは咲くのが早く、またそれぞれが駆け足で開花していく傾向がありますが、ドングリの花たちも続々と咲いています。

 秋に熟すドングリたちが楽しみです。                  (解説員)





2021年4月16日金曜日

“面接へ高鳴る胸と添う桜”俳句小屋の展示作品を入れ替えました(2021.4.16)

(令和3年3月22日 芝生広場のソメイヨシノ)

先月末に俳句小屋の展示作品を入れ替えました。3月もたくさんのご投句、ありがとうございました。展示させていただいた作品から、数点ご紹介します。

3月は展示させていただいた35作品のうち、15作品でサクラが詠まれていました。それらの中から、まずはこちら。

“面接へ高鳴る胸と添う桜” しをり

入学試験や就職活動の最終関門の面接、ドキドキしますよね。サクラの花芽は秋から冬にかけて休眠しますが、休眠からの目覚め(休眠打破)には、冬の間の一定期間の寒さが必要だと考えられています。人生にも通じるところがあるからこそ、サクラは一層私たちの心に寄り添ってくれる気がしますね。

こちらは、のどかな春の様子を詠んだ作品。

 
"ぼんやりと春の昼過ぎ悪くない" 砂月
"陽だまりに猫の目細む春隣" はるこ

カワヅザクラを筆頭に始まったサクラの開花リレーは一段落しましたが、園内では次々に新しい花が開花し、のんびりと散歩を楽しむにはもってこいの季節になっています。耳を澄ますと、時折ウグイスのきれいな鳴き声も聞こえてきますよ。感染症対策を十分に行ったうえで、うららかな春の植物園へお越しください。

最後に子どもさんのものと思われるこちらの作品。

 
"さくら落ちソフトの試合はじまるよ" 尾関宥治郎
"さくらの木ピンクの花をさかせてる" 紗聖

サクラ舞い散るグラウンドでの歓声が聞こえてきそうですね。コロナ禍で今は応援も拍手でしょうか?試合はうまくいったかな。これからも練習がんばってくださいね!

俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。投句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受けつけています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています!

※今回展示している俳句の一覧です。

<俳句係 M>



2021年4月15日木曜日

ちいさな大発見No.123(2021.4.15)魅了する野草編Part.5

 今号ではカタバミ科カタバミ属のカタバミを紹介します。漢字で書くと「片喰」ですが、葉や茎にシュウ酸が含まれているところから、「酢漿草」とも書きます。

 ガーデニングを楽しんでいる人にとってカタバミは、とても厄介な植物です。


 園内でも多くのカタバミの仲間が繁茂しています。増える理由は主に次の3つです。

・種子ができると、何と1ⅿ以上はじき飛ばして拡散する

・茎がはうように四方八方に広がっていく。

・地面深く根が入り込み、途中でちぎれても、そこから増えていく。


 まず、カタバミの仲間を紹介します。

花径約8mmのカタバミ

太い茎で直立するオッタチカタバミ

葉や花弁の中心部が赤くなるアカカタバミ


 ここからは、チューリップのように鱗茎(球根の一種)で増えるカタバミの仲間を紹介します。

 まず、ピンクの花がかわいい南アメリカ原産のムラサキカタバミです。


 よく似ているイモカタバミを探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。違いは雄しべの葯が白いのがムラサキカタバミ、黄色いのがイモカタバミです。


 次は南アフリカ原産のオオキバナカタバミです。草丈は30cm、花径は3~4cmあります。 


 花は朝から開花し、午後の早い時間には閉じてしまいます。ポリネーターとしてのハチなどが活動しない雨の日も開花しません。 

 また、夜はハート形の葉が閉じる就眠運動をします。これは、光合成できない夜は昆虫などから食べられないよう身を守っているのです。他にも光が強すぎると、葉焼けや蒸散による水分量を確保するために葉を閉じるそうです。


 これまでに紹介したカタバミの仲間は雑草(?)の部類に入りますが、こちらは花壇などに植えられます。

 南アメリカ原産のオキザリス・プルプレアです。花径が3cm位ある大輪種です。白花もあります。 


 我が家では鉢植えしていたものがこぼれて、今では庭中のあちらこちらで花が咲いています。

【解説員K】


2021年4月10日土曜日

ちいさな大発見No.122(2021.4.10)サクラソウの秘密?

 サクラソウ(サクラソウ科サクラソウ属)はプリムラ・シーボルディ【Primula sieboldii】と言い、学名にシーボルトの名前がついています。 

水生植物園で可憐に咲くサクラソウ

 シーボルトはプラントハンターとしても有名で、江戸期にヨーロッパに持ち帰り、その種子を交配して作られたのが西洋サクラソウ、つまり、プリムラ・ポリアンサやプリムラ・ジュリアンなどです。 

プリムラ・ポリアンサ(針葉樹園花壇で)


 また、日本のサクラソウに大変良く似ているのが、プリムラ・マラコイデスです。こちらは中国原産です。 

他にもピンク色があります!


 実はこれらサクラソウ属(プリムラ属)には共通のすごい秘密があります。

 次は別々の株からとった2つのプリムラ・ポリアンサの花を、半分に切った写真です。 

長短、2本のめしべ

 左の写真は、花筒の上部にある雄しべはちょっと隠れて見えないのですが、雌しべは半分の長さしかありません。逆に右の写真は雌しべが花筒の上部にあり、雄しべはチラッと見えていますが、半分ほどの長さです。

 つまり、左は雌しべが短い短花柱花(スラム型)で、雌しべが長い右は長花柱花(ピン型)と言い、すべてのサクラソウの仲間はこのように異型花柱性をもっています。

 ではなぜ、このような2型花を持つのかと言うと、自家受粉を防ぐ目的からです。受粉はハチなどの虫によって行われますが、ピンからスラム型へ、またはスラムからピン型へと言うように、違う型でしか実を結びません。

すごい!

【解説員K】