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11月, 2018の投稿を表示しています

皇帝たちの競演(2018.11.30)

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 入口広場から温室の方に進むと、針葉樹園前花壇で背の高い薄紫色の花が皆さんを出迎えてくれます。  コウテイダリア【皇帝ダリア】(キク科)です。メキシコ~中米原産で高さは3~5mほどになります。学名は Dahlia imperialis (ダーリア・インペリアリス)で、種小名の“皇帝の”とか“威厳のある”という意味から和名がつけられています。  この花壇では、皇帝ダリアの近くで高さを競い合っている黄色の花も咲いています。  コウテイヒマワリ【皇帝向日葵】です。コウテイダリアと同じくメキシコ~中米原産で高さもほぼ同じです。どちらも短日植物で日照時間が短くなるのを感じて花を咲かせる性質なので、この時期に開花します。  ちなみに、この皇帝たちは高く伸びた茎の頂部に花序を出すので花の細部はなかなか見づらいのですが、皇帝ダリアの一部については花壇管理担当さんがピンチ(摘芯)をして仕立てたので、比較的低い位置で花を見ることができます。  秋になって園内の彩りが少なくなる中、皇帝たちの堂々とした威厳のある姿の競演をお楽しみください。                                             (解説員)

ちいさな大発見!? No.7(2018.11.23)

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 ある日のことです。  庭木園を歩いていると,芝生の上に目玉焼き(写真①)がたくさん落ちていました。 写真①  「なんでこんなところに目玉焼きが?」と思い,よくよく見てみると,何とそれは,「タイワンツバキ」の花でした。しかも,規則正しくどれも上向きに着地(?)しているのです。名前の通り,花の根元で合着しているツバキの仲間なので,サザンカのように花弁が散ることなく,花ごと落ちます。 写真②  さすがにⅤ字(写真②)に並んでいるのは誰かが上向きに置いたのだと思いますが,枝から落ちた後も,地面で花を咲かせるとはすごいですね。  タイワンツバキは台湾や中国、ベトナムなどに分布し,「ゴードニア」という名前で流通しています。   「タイワンツバキ」  英名では,「Fried egg tree」,「目玉焼きの木」と言われています。見たまんまですね。  本園では9月20日から開花し,10月中旬から11月中旬がピークでしたが,まだまだ見頃ですよ。  この花の特徴は花後にできる実が蒴果で、種子は平たく、一方の側に翼がある翼果なのです。そう言えば,7月頃だったか,ボランティアスタッフの方々が去年咲いた花の実(写真③)を採取していたのを思い出しましたよ。どこかにまいたのでしょうか。 写真③  【解説員K】

ちいさな大発見No.6(2018.11.21)

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 今,植物園では二期咲きの桜が咲いています。  ジュウガツザクラやアーコレイド,コブクザクラの3種類です。もちろん,春の桜のイメージには程遠い咲き方ですが,秋晴れの中,精一杯,可憐な花を咲かせています。  今回はコブクザクラに注目しました。 「コブクザクラ」  コブクザクラはシナミザクラとジュウガツザクラ,またはエドヒガンとの雑種と考えられています。花の特徴としては,八重咲きで花弁数は20片以上あり,何と雌しべは1つ(写真②)ではありませんよ。 写真②  今回はデジタル顕微鏡を使って撮影してみました。写真②のほぼ中央に2本の雌しべが確認できます。ちょっと見にくいですね。それでは,写真③をご覧ください。下の雌しべの先っぽは朽ちていますが,2本の雌しべが確認できます。 写真③  ちなみにジュウガツザクラの雌しべをご覧ください。真ん中に1本だけです。 写真④  一般に八重咲きの桜は実ができないと言われていますが,コブクザクラは複数の果実ができるのです。  このように一つの花に実が二つ以上できることから,子宝に恵まれる桜に例えられ「子福桜」と書きます。  【解説員K】

ちいさな大発見!? No.5(2018.11.16)

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 野草園に巨大昆虫出現!  大きいもので体長8cm,触角(?)の長さは12cmはあります。真っ黒なトゲトゲの胴体をもって背中が2つに割れ,2本の反り返った大きな角(写真①)が見えます。正に「新種の昆虫」に見えませんか? 写真①  メキシコから南アメリカに自生する「キバナツノゴマ」の実です。当園では6月下旬から9月末まで釣鐘状の黄色い花(写真②)をたくさん咲かせました。 写真②  英名を「devil's claw」,2本の悪魔の爪と言います。「エッ,こんなかわいい花がなぜ?」と思いませんか。 写真③を見てください。花後の結実した様子です。この段階では「unicorn plant」,一角獣植物などと言われます。 写真③  そして,やがて,枯れて乾燥してくると,表皮が割れて中から悪魔の爪(写真④)が出現します。この時点では,角はまだ1本ですが,やがて2つに裂け,中にある種を巻き散らすという仕組みになっています。 写真④  実はキバナツノゴマは食虫植物です。茎,葉,花全体がネバネバした粘液で被われています。昆虫は、その分泌物に捕らえられて死んでしまいます。しかし,消化酵素をもっていないため,昆虫から栄養素をとることができません。ですから,キバナツノゴマは食虫植物になりきっていない「原始の食虫植物」と言われています。  そのため、サヤについている鋭い爪は、大型動物に引っ付くことにより、種を散布するのです。  【解説員K】

ちいさな大発見!? No.4(2018.11.8)

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 植物の葉っぱの色といえば緑が一般的ですが、その他にも赤や黄、斑入りなど様々見られます。そんなカラーリーフの中でも、銀白色の白っぽい色の葉を持つ植物を「シルバーリーフ」と呼んでいます。これらの植物の特徴は花自体にはあまり観賞価値がないということです。  そこで1つ紹介したいのが、キク科の「モクビャッコウ(木百紅)」です。寄せ植え植物のわき役として栽培品種が多く出回っていますが、実は環境省より絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。  本来は日本では沖縄県や鹿児島県の南西諸島、硫黄島などの海岸の波しぶきがかかるような場所に自生し、隆起した珊瑚礁の上などにその姿が見られるそうです。 写真① 写真②  ちょうど,今,針葉樹園花壇で花弁を持たない黄色の頭花(写真①)を付け始めています。葉はまさに銀白色でとても美しい(写真②)です。高さは30cmほどですが,直径は1m以上,円錐状に広がっています。  是非,見に来てください。  【解説員K】

ちいさな大発見!? No.3(2018.11.4)

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 さて,問題です。  写真①の植物は何か,御存知ですか。 写真①  9月上旬から10月中旬まで楽しませてくれたハマウツボ科の「ナンバンギセル」です。1年生の寄生植物で葉緑素を持たないため光合成をすることができず,生長するための養分をつくりだすことができません。そこで,宿主であるススキやミョウガなどに寄生し,栄養分をもらって生長するのです。  今はもう立ち枯れしていますが,写真②を見てください。花後に実が膨らみ,中にはパウダー状の種がびっしりと詰まっていました。 写真②  そこで,さっそく野草園の「タカバネススキ」と芝生広場のススキの根元を,移植ごてでほじくり,根にその小さな小さな種をこすりつけていきました。  写真③   来年も是非,写真③のような花をたくさん咲かせてほしいと思います。  【解説員K】

“どんぐりをトトロのようにひろってく” 俳句の展示入れ替えました。(2018.11.2)

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 野草園の休憩所内に展示している俳句の作品を入れ替えました。  秋の植物園は,とても賑やかです。  「なにが?」って?  まずは,たくさんの遠足の子どもたちの声。  ブログを書いている今も,窓の外から子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。  (ブログでお伝えできないのが残念…)    そして,バラ。  今年の秋バラは(もちろん春バラには及びませんが)とてもきれいに咲いていて,賑やかですよ。  (福岡バラ会の皆様からもお褒めいただきました(^_^;))  植物園では,10月19日から11月4日まで「秋のバラまつり」を行っています。  約250種1100株のバラが香り高く咲き誇る「バラ園」はもちろん, 「秋のバラまつり」のスタートを彩る,福岡バラ会主催「秋のばら展(10月19日~10月21日実施済み)」や,  福岡中央高校によるガーデンコンサート(10月21日実施済み)  ボランティアによるバラガイド(土日祝日のみ)  ローズカフェ(毎日)や焼き菓子,雑貨の販売(土日祝日のみ)なども行っています。  「秋のバラまつり」は11月4日までですが,その後も11月中旬くらいまではバラは咲いています。    秋のバラは特に香りが売りです! ぜひ足をお運びください。  本題からかなりそれましたが, ここで10月に投稿いただいた俳句の中で,バラにまつわる俳句を紹介しますね。   “なつかしき名前見つけしバラの園” みち代   (なつかしきなまえみつけしばらのえん)   “薔薇の園アリスがやってくるかしら” 朱扇   (ばらのえんありすがやってくるかしら)  バラは19世紀頃から人為的な交雑が始まり,今日まで27000もの園芸品種の記録があり, 2000~3000品種が現存し,毎年約200の新品種が発表されているそうです (「園芸植物大辞典」小学館より)。  こんなに多くの品種がある中で,人の名前を冠したものもたくさんあります。  ジョン・F・ケネディ,オードリー・ヘップバーン,マリリン・モンロー,プリンセス・ミチコ,ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ,などなど。   【プリンセス・ミチコ】  作者のみち代さんはどんな名前を見つけたんでしょうね。  賑やかなのは,コスモスも負けてませ

ちいさな大発見!? No.2(2018.11.1)

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 さぁ,いよいよ今日から11月です。  ラン室入り口花壇では,今,ミニトマトくらいの小さな実がついた植物を観ることができます。実は9つ,そのうち1つはまだ緑色をしています。正にカラスウリのミニチュア版(?)と言った感じですが,蔓性ではなく,高さ1.2mくらいの立派な木です。  名前は「ロウヤガキ」。中国原産のカキノキ属の植物で,今はオレンジ色をしていますが,やがて真っ黒に変色することから老いたカラス(鴉)にみたてて,「老鴉柿」の漢字を当てています。  別名を「ツクバネガキ(衝羽根柿)」と言います。これは,写真にあるように蕚(がく)がとても長く,その顎を羽根つきの羽になぞらえたところから来ています。      残念ながら実の部分は限りなく少なく,大部分は種です。しかも,渋柿ですよ。 気候もよいですし,植物園に観に来ませんか。もし場所がわからないときは緑の情報館1階にいますので声をかけてください。ご案内します。  【解説員K】