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ちいさな大発見!? No.151(2021.12.26)南アフリカ原産?その2

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 前号では南アフリカ原産で日本に定着している植物を紹介しました。今号はその続きとなります。春から開花順に紹介します。  まず、早春に花壇を彩るハマミズナ科で1年草のリビングストン・デージーです。花弁に見えるのは雄しべが変化した仮雄蕊(かゆうずい)です。近縁種にマツバギクがあり、こちらも南アフリカ原産ですよ。  キク科ではありません!  次は4月中旬から咲き始めるアヤメ科のヒメヒオウギです。6枚の花弁のうち、3枚の基部に濃い斑点が入ります。  フリージアの仲間!  同じく5月から7月くらいまで咲くサトイモ科のカラーです。花に見える部分は仏炎苞と言い、萼が変化したものです。中心部の黄色い部分が花の集合体となります。  サトイモ科特有の仏炎苞   6~7月頃、爽やかなブルーの花をつけるユリ科のアガパンサスです。  別名はムラサキクンシラン  6~8月頃、オレンジの鮮やかな花を空き地や野原でよく見かけます。アヤメ科のクロコスミア、別名をモントブレチアと言います。園芸種で真っ赤な花を咲かせるクロコスミア・ルシファーがあります。  ヒメヒオウギズイセンの和名をもつ  6月に開花し、7月には花と果実が一緒に見られ、10月上旬頃まで風船状の果実を楽しめるガガイモ科のフウセントウワタです。  果実が熟すと、中から綿毛が…  サボテン室では6~9月頃にかけて、ガガイモ科のサイカクが咲きます。ヒトデのようなユニークな形をしていますが、花から悪臭を放ち、ハエを呼び寄せて受粉させます。  ツボミがサイの角に似ている…  6~7月にヒペリカムに似た黄色い5弁花をつけ、その後、花弁が落ちて、やがて受粉した子房が膨らんで緑色の果実ができます。それが黒く熟すとミッキーマウスノキの完成(?)です。  学名はオクナ・セルラタ    No.150、151で紹介した植物以外にもイキシアやオリヅルラン、ガザニア、ガーベラ、クンシラン、カネノナルキ、キダチアロエ、ゼラニウム、ディモルホセカ、フリージア、ペラルゴニウム、ホメリア、ルリマツリ、ロベリアなど、南アフリカ原産の植物は私たちのまわりに数多くあります。 【解説員K】  

ちいさな大発見!? No.150(2021.12.25)南アフリカ原産?その1

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 バラ園花壇でスタッフと話している際、たまたま球根植物の話から・・・  ・解説員K:「南アフリカ原産の植物が数多く日本に入ってきているんですよ。」  ・スタッフ:「本当ですか、熱帯の植物が日本の冬を越せるんですか。」  実は南アフリカは、暑くて砂漠が多いと思われがちですが、世界有数の植物の宝庫と言われています。例えば、最南端の喜望峰があるケープタウンは、最も寒い7月の最低気温が9度で、最も暑い1月の最高気温が25度程です。夏は雨が少なく乾燥し、冬は比較的温暖で雨が多い地中海性気候なのです。うらやましい!  そこで、今回は2度にわたり、南アフリカ原産で日本に定着している植物を紹介します。  先ず、南アフリカの国花であるヤマモガシ科のキングプロテアです。花径が最大で30cmにもなる常緑低木です。主に切り花で見かけます。 花の王様と称される!  次はブルニア科のバーゼリアです。ドライフラワーにしてリースなどにも使われます。 晩秋になると、緑色の蕾が・・・  そして、ツツジ科のエリカです。エリカは世界中で700種類以上存在し、一部、ヨーロッパ原産種を除くと、そのほとんどが南アフリカ原産です。  エリカ・カナリクラータ(和名:ジャノメエリカ)   エリカ・セシリフローラ エリカ・ケリントイデス  次は今、園内で咲いている南アフリカ原産の植物を紹介します。  まず、ゴマノハグサ科のネメシアです。1年草と多年草があり、花色も含め、多くの園芸品種が作られています。  四季咲き性の強い品種も!  そして、キク科のユリオプスデージーです。開花期間が長く、8月末から咲き始め、翌年の5月くらいまで咲いています。 乾燥気味に育てるのがポイント!  次はちょっとやっかいな野草です。カタバミ科のオオキバナカタバミです。すでに紅葉樹園の北斜面で開花が始まっています。  オキザリスの仲間です!  ついでに温室で咲いている食虫植物も1つ紹介します。タヌキモ科のウサギゴケです。高山地帯の湿地の岩壁に根を張り付かせて自生しています。  コケの仲間ではありません  No.151に続きます! 【解説員K】

園芸講座「レモングラスでしめ飾りづくり」を実施しました。

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 開催日 令和3年12月21日 火曜日 13時30分から15時30分  講 師 植物園ハーブボランティアの皆さま  内 容 今回はレモングラスの生育状況により定員数を増やして受付しましたが、それを優に上回る100件以上の応募がありました。こちらの講座では、実際にレモングラスを編みこむところから始め、稲穂やナンテンの実、ダイダイなどで飾り付けてお正月のしめ飾りを作ります。会議室内でレモングラスのいい香りが漂う癒しの空間の中、今年もたくさんの素敵なしめ飾りができました。 参加者の感想 とても貴重な体験をさせていただき有難うございました。しめ縄の知識も深まりました。 初めてのしめ飾りづくりでしたが楽しく参加させていただきました。レモングラスの爽やかな香りに癒されました。また来年も参加したいです。 (運営係 A)

気になる落葉(2021.12.19)

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 先日、緑の情報館相談コーナーに中央区在住の女性がお見えになり「熊本に出かけた時、気になるイチョウの葉があったので拾ってきました」とのこと。トップの写真がそれですが、葉の幅が大きいものは約15cmもあって切れ込みも深く、確かに気になる葉です。ちなみに、この葉は熊本市南区にある光徳寺というお寺さんで拾ってきたということです。そして気になる話をもう一つ「博多駅前の住吉通方面のイチョウの街路樹にもこのように変わった葉がある」との情報をいただきました。  私は通勤でJR博多駅を利用しているので、早速帰りに調べに行きました。  冬になって黄葉した葉はすっかり落ちていましたが、木枯らしに吹かれて植樹帯の中の吹き溜まりに重なっている葉をかき分けて探すと、ありました!  いろいろな切れ込みの葉です。  そして大形サイズの葉も発見。  葉の幅は大きいものは15cm近くもありました。ちなみに上の写真は下側に標準的な葉(と考えられる)として当園内で採集した葉(幅約10cmほど)を比較のため並べています。なお博多駅前に落ちていた葉の多くは、扇形で切れ込みがないか、浅く2裂している標準的な形で幅も10cm未満のもので、このような変形・大形の葉は一部ではありますが、なぜこのような変わった葉が発生するのでしょうか?  ヒントとして考えられるのが、このエリアの街路樹の樹形です。  残念ながら、イチョウ本来の樹形にはほど遠いヒョロヒョロの姿をしています。  このエリアのイチョウは、道路というさまざまな制約がある空間の中で維持管理していくために、樹形を小さくコントロールする剪定がかなり強く行われているようです。  一般的に、強度の剪定をした後に伸びる枝につく葉は、葉が減って失われたエネルギーを補おうとして光合成量を増やす必要があり、通常より大形になります。  この写真は、枝をぶつ切りにされた後に出てきたケヤキの葉の例です。  ということで、強剪定の後に出てくる大きな葉というのは、樹木にとってはSOS信号になっているんです。  ちなみに、最初にお持ちいただいた熊本のお寺さんのイチョウは、お聞ききすると過去に雷が落ちたことがあるとのこと。あの大形の葉は、雷で受けたダメージから回復するための姿だったということが考えられます。  また深い切れ込みについては、大形化した葉は風の抵抗を受けやすくなり、風で葉がむし

“花たちが肩すくませる冬初め” 俳句小屋の展示作品を入れ替えました(2021.12.18)

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先月、俳句小屋の展示を入れ替えました。今回もたくさんのご投句、ありがとうございます。展示させていただいた作品の中から数点ご紹介します。 まずはこちら。 "花たちが肩すくませる冬初め"  杏菜 コートの中に身体をうずめるように、花たちも寒い寒いと縮こまっているようですね^^ ですが、そんな厳しい時期に咲いている花は、ひときわ目立ちますね。園内ではツワブキ、サザンカ、ツバキなどの花が目を引き、紅葉樹園ではニホンズイセンも開花を始めました。 また、冬は落葉樹の葉が落ち、野鳥も観察しやすいですよ。 (キセキレイと思われる野鳥 2021年12月18日 園内にて) つづいて  "椋鳥のうねりとなりて街の空" 貞昭 (むくどりのうねりとなりてまちのそら) 「右に旋回!」「左に旋回してUターン!」、この時期にキュルキュルキュルと大音量でさえずりながら大群で弧を描いているムクドリを見ていると、お互いにそんな指示を出し合っているのかなと想像したりします。あの群れで右へ左へ飛び回り、衝突することもないのが本当に不思議です。波のようなうねりは芸術のようでもありますね。 (ムクドリの群れ 2021年12月11日 市内にて) こちらはキンモクセイを詠まれた作品 "金木犀マスク越しでもいい香り" しろ (きんもくせいますくごしでもいいかおり) 書体もイラストもかわいらしいですね!ふりがなもつけてくださっています。確かに犀の字は珍しいので、漢字で書くと「かね、、ぼく??わからん・・・」となりそうな難しい樹木名ですよね。キンモクセイ【金木犀】は作品の通り、マスクをしていても感じられるほどの甘い香りを11月に漂わせていました。 最後にこちら。 "十一月ほくほくふうふうさつまいも" 七海 "ふうふうとはふはふ喰らふ大根を" 孝太郎 おいしそうにあつあつの焼きいもを食べている様子が目に浮かびますね^^ 大根もおいしそうです。やけどにはご注意を~ 俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。俳句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています

「冬の野鳥観察会」を実施しました。

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開催日 令和3年12月12日 日曜日 10時00分から12時00分 講 師 日本野鳥の会福岡市部長 小野 仁 先生 内 容 日本野鳥の会の方々と園内をまわりながら冬の野鳥を観察します。観察後は、見つけた野鳥の話や鳥に関する漢字の雑学などのお話がありました。例えば鳩はクゥクゥ(キュウキュウ)鳴くから九の漢字が入っていたり、カラスは全身が黒で目の位置が分かりづらいから鳥の字から線を一本消して烏と書く等、誰かに話したくなるような楽しい内容になっています。 参加者の感想 鳥の特徴や名前の由来を知り親しみがわきました。 気づいていない鳥がたくさんいることがわかり朝の散歩が楽しみになりました。 観察するポイントを教えていただき今後自分で来た時の参考にしたいです。  (運営係 A)   

園芸講座「プチ盆栽づくり2」を実施しました。

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開催日 令和3年12月11日 土曜日 13時30分から15時30分 講 師 手のひら盆栽教室櫻苑主催 櫻木(横大路) 千絵 先生 内 容 管理方法を学びながら実際に苗の状態から、器に移し替えて盆栽をつくり上げていきます。大きさは手のひらサイズで、今回はベニシタン、黒松、ハクチョウゲ、ヒメナンテン等の盆栽をつくりました。 参加者の感想 いろいろと勉強になりました。自然な形の盆栽は美しいですね。 とても親切な内容で大事に育てていく自信がわきました。 去年も参加しましたが今年も楽しかったです。 質問コーナーもたくさん質問がでて参考になりました。  (運営係 A)   

園芸講座「冬のバラの手入れと管理」を実施しました。

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 開催日 令和3年12月7日 火曜日 13時30分から15時30分  講  師 園芸研究家 吉田 博美 先生 内 容 冬に休眠期にはいるバラの手入れの仕方や、つるバラの誘引の仕方等を学ぶ講座になります。座学にて剪定の仕方を学んだ後、園内に出て実演をおこないます。2月1日にある春に向けてのバラの講座も申込不要で受講可能ですので、興味のある方はぜひご参加ください。 参加者の感想 本を見ても中々わからなかったことが現地での実際の様子を見れてとても参考になりました。特に鉢の植替えがわかりやすく説明が為になり参加できて感謝しています。つるバラの剪定とつるのはわせ方を初めて見ました。勉強になりました。  (運営係 A)   

ちいさな大発見!? No.149(2021.12.13)幸せをみつけよう?!

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  「今年はキチジョウソウが咲かないなぁ。」と話していたのが、11月の下旬頃。  実はここ数年、福岡市植物園では10月下旬に開花し、11月中旬から下旬が見頃、12月に入ると散り終えていました。  ところが、12月1日になって落ち葉に埋もれた株元で、やっと赤紫の花を見つけました。例年よりも1ヵ月以上も遅い開花となりました。原因はやはり秋口の高温により、茎葉が育つ栄養成長から生殖成長への切り替えが遅れたのではないか・・・と考えています。 満開です!  さて、ユリ科のキチジョウソウは、漢字では「吉祥草」と書きます。「吉祥」はキッショウとも読み、幸福、繁栄を意味する言葉、幸先のよいこと、よいことが起こる前兆、この上なく縁起のよいことという意味があります。  ですから、この花を見つけると幸せが訪れるとか、花が咲くと縁起が良いなどと言われているのです。   つぼみの状態  さて、この花の特徴は、  ①10cmほどの花茎に6本の雄しべと1本の雌しべを持つ両性花と、6本の雄しべのみの雄花をつけること。 雌しべが目立つ両性花   6個の葯をもつ雄花  ②両性花は株元に集中し、雄花は花序の先っぽに咲くこと。  ③花は株元の両性花から開花し、徐々に雄花へと移っていくこと。  ④種子でも増えますが、地下茎でどんどん株数が増えること。  今後、受粉した実は1月以降に真っ赤な実を付けます。しかし、こちらも葉に埋もれ、なかなか見つけることが難しいようです。  正に今が見頃です。植物園にお越しの際は是非、キチジョウソウの花を見つけてください。ちなみに、キチジョウソウが咲いている場所はこんな様子です。 【解説員K】