テイカカズラの実 熟しました(2021.12.6)

 当ブログで「バスから見える花」というテーマで6月以来観察してきたテイカカズラ【定家蔓】(キョウチクトウ科)の細長い実(袋果[たいか])が、初冬のこの時期、遂に熟して縦に裂開しました。
 中から出てきたのがこれ。


 長い毛をつけた種子です。
 植物の花や実をつけた後の大事な仕事、それは、子孫を残すために種子を広い範囲に散布させることです。テイカカズラは長い綿毛(種髪[しゅはつ]といいます)により、風を利用して種子を広い範囲に広げます。
 このような種髪をつける植物で当園で観察できるものとしては、他にトウワタ【唐綿】やフウセントウワタ【風船唐綿】(共にガガイモ科)などがあります。
トウワタ

フウセントウワタ
 ちなみに、いわゆる「綿毛」をつけて種子散布をする植物で、皆さん真っ先に思い浮かべられるのはタンポポだと思います。
 どちらも風を利用するのは共通ですが綿毛の成り立ちは異なっており、テイカカズラなどの種髪は種子に直接つきますが、一方タンポポは種子のように見えるのは実は果実(痩果[そうか])で綿毛は萼が変化したもので「冠毛[かんもう]」といいます。
 なお、果実につく綿毛状のものとしては、雌しべの花柱にある毛が成長するパターンもあり、こちらは「穂綿[ほわた]と呼ばれ、当園ではセンニンソウ【仙人草(キンポウゲ科】で観察することができます。
 園内では、テイカカズラは「香りの路」、センニンソウは「モデル庭園」で見ることができます。

 冬になって花物がめっきり少なくなりましたが、植物たちの子孫を残すためのさまざまな姿を観察してはいかがでしょうか。                  (解説員)








 

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