2020年12月25日金曜日

ちいさな大発見No.112(2020.12.25)心が洗われる美しさ!

 今、温室の水生植物室で2鉢、純白のアマゾンリリーが咲いています。

12月23日撮影
開花間もない12月10日撮影

 ギボウシに似た大きな葉の間から太い茎を伸ばし、その先にスイセンのような花を咲かせることから、ギボウシズイセンの別名がついています。

 原産地はコロンビアのアンデス山地です。純白の花は香りもよく、歌手の松田聖子さんが結婚式のブーケに使ったのがきっかけで有名になったそうです。

花の特徴としては

①卵形の大きな葉

②5cmほどある長い花筒

③花の重みでうつむくように咲くこと。

④6本の短いおしべが結合し、カップ形の副花冠状になること。

⑤香りがとてもよいこと。

の5つです。

5cm程ある長い花筒
カップ形の副花冠状になった雄しべ

 名前にリリーと付いていますが、ユリ科ではなく、ヒガンバナ科エウカリス属になります。

 冬の寒さに弱いため、植物園では温室で栽培しています。

【解説員K】


2020年12月22日火曜日

ちいさな大発見No.111(2020.12.22)生きるための知恵?

 1年で最も花が少ないこの時季、目立っているのは赤い木の実たちです。  
 まず、園内で最も目につくのがヤブコウジ科(新分類ではサクラソウ科)ヤブコウジ属のマンリョウです。 
植栽されたものではない株!  

 野鳥に食べられることにより遠くに運ばれ、フンと一緒に排出され、そこで発芽します。園内各所で見ることができます。 
 野草園の大株から発芽?  

 私の家でも一度も植えたことのないマンリョウが3株、シロミノマンリョウが1株根付いています。  

 同じく同属のヤブコウジです。マンリョウに似ていますが、樹高が20cm程で、数個の果実しかつけません。 
別名はジュウリョウ(十両)  

 次はセンリョウ科センリョウ属のセンリョウです。マンリョウやヤブコウジと同じ仲間のように思われていますが、全く異なります。 
果実は葉の上に  

 スイカズラ科(新分類ではレンプクソウ科)ガマズミ属のガマズミです。果実はハクサンボクとそっくりですが、こちらは落葉します。ガマズミは鳥はもちろんですが、人間も食べられるそうです。意外と美味だとか。 
紅葉がすすんでいる  

 そして、同属のハクサンボクも目立っています。日本固有種で常緑のガマズミと言われています。 
葉に光沢がある  

 もう一つ、ミカン科ミヤマシキミ属のミヤマシキミを紹介します。雌雄異株で、植物全体に強い毒性があります。それなら鳥は食べないと思われますが、果肉には毒がないのか、鳥に耐性があるのか・・・はっきりわかりません。 
果実と一緒に蕾が! 
3月に開花する雄株の蕾  

 これらの植物は主に鳥に食べられることにより種を増やしていっているようです。  

 最後にトベラ科トベラ属のトベラを紹介します。トベラも雌雄異株ですから、雌木に赤い果実ができますが、鳥があまり好んで食べないことをトベラ自身が知っているのか、これまで紹介した植物とは少し違った種子散布の方法をとります。 
ネバネバする果実  

 トベラは果実が熟すと3つに割れ、中から粘着性のある液体に包まれた果実が出てきます。果実がはじけても地面には落ちず、食べに来た鳥のくちばしや体に付着させ、運んでもらいます。  

 動物と違って、植物は自分では動けないため、子孫を残すためにいろいろな方法で種子を散布しています。 
 【解説員K】

2020年12月19日土曜日

ヤツデの葉は本当に8裂?(2020.12.19)


 私たちの暮らしの中でありふれた植物の一つであるヤツデ【八手】(ウコギ科)。身近すぎて普段気にしない植物ですが、よく見てみると興味深いポイントがいっぱい。一つ目のポイントは、艶があって手のひらを広げたような葉の裂け方。その姿から「八手」の和名がついていますが、本当に八つに裂けているのか?園内でその裂け方を調べてみました。数えると7裂とか9裂(奇数)になっていて8裂(偶数)の葉は見当たりません。

 7裂の葉

 代表的な参考資料で葉の裂け方についての記述を確認してみました。  

 (1)掌状に7~9裂する(小学館園芸植物大事典、山渓日本の樹木)

 (2)裂片の数は5~9であり、奇数のことが多い(http://had0.big.ous.ac.jp)  

 (3)通常7~9、多くて11くらいに裂けます(ヤサシイエンゲイHP)

 (4)7または9(奇数)に裂けており、8つに裂けることはない(http://ja.wikipedia.org

若い5裂の葉 

 和名については、分裂葉が数多いことを「八」で表現した(八百屋などの用例)、あるいは「八」の 字が末広がりで縁起が良いことからあえて名付けた、といった説がその由来のようで、決して8裂 だからという訳ではないようです。  

               

 ちなみに、この季節になると黄葉がきれいな同じウコギ科のハリギリ【針桐】の落葉を水生植物 園で見てみましたが、5裂あるいは7裂(奇数)で偶数のものは見当たりませんでした。  

 次のポイントはその葉の広げ方。  

               

 下になるほど葉柄を長くして葉を広げて光を受ける面積を大きくしています。ヤツデは秋から 冬、他の花が少ない時期に開花する独特の生活サイクルを持っていますが、この時期の貴重な 日照を効果的に受け止める形なのでしょう。  

注目ポイント、最後は大きな葉の支え方。

               

 大きく広げた葉面と光を受けるために長く伸ばした葉 柄、それらを支えるため茎と葉柄は大きなV字形でつながっています。

                 

 これが葉の落ちた後のアップ。葉痕(ようこん)と呼ばれます。V字の中に見える粒々は維管束 (いかんそく;水分や養分の通る管の集まり)の痕跡です。

 こんな寒い時季に花を咲かせるカミヤツデを前回ブログで紹介しましたが、同じように花を咲か
せるヤツデもなかなか見どころが多い植物です。
                                                     (解説員)

2020年12月13日日曜日

ちいさな大発見!? No110(2020.12.13)こんな寒い時季に!?

  温室入り口の右端に、大きな葉を広げ、球状の白い花がたくさん咲いている植物が目に入ります。

 球体の花がかわいい

 中国、台湾原産でウコギ科カミヤツデ属のカミヤツデ(紙八手)です。温室内のランの小庭にもあり、この時季、たくさんの花を咲かせます。

樹高3m近い

 こちらはバックヤードにあったものを昨年、1株植え付けたものです。幹から直接伸びた葉柄が1m近くあり、葉径が60~70cmほどもある大きな葉です。

 幹にはクリーム色の星状毛がびっしりと付き、葉柄の上部からは、毛で覆われた花軸が70~80cm近く伸び、さらに枝分かれした花軸にたくさんの球状の花が咲いています。

星状毛に覆われている

 球状の花といっても、よく見てみると1つの球状の花には、花弁が4枚、雄しべが4本、そして、雌しべは2本ある小花がたくさん集まっています。

雄しべが目立つ

 ちなみに、自家受粉を避けるため雄しべと雌しべの熟し方に時間的なズレが生じ、雄しべ(葯にある花粉)が先に熟す雄性先熟という性質をもっています。上の写真はめしべの柱頭がまだ伸びておらず、雄性期を迎えようとするタイミングの写真です。

 ところで、同じウコギ科ヤツデ属のヤツデは、学名にファットシア ヤポニカ(Fatsia japonica)とあるように日本原産ですが属がちがいます。

 さて、このカミヤツデは地下茎で子株を増やし、さらに鳥等によって種が運ばれるため大変、生育が旺盛です。

子株が次々に・・・

 以前は茎の髄を取り出し、通草紙と言う紙を作っていましたが、利用されなくなると野生化していった実態があります。管理されていない山間部などでは増加傾向にあり、群生すると葉が大きいため、地面に光が差し込まなくなり、林床に生えるような植物が光合成ができずに枯れてしまう問題があるそうです。

【解説員K】


2020年12月10日木曜日

“木々達が色鮮やかに火の祭り”俳句小屋の展示作品を入れ替えました(2020.12.10)

 

(令和2年12月7日 紅葉樹園にて撮影)

先日、俳句小屋の展示作品を入れ替えました。11月もたくさんのご投句、ありがとうございました。展示させていただいた作品の中から数点ご紹介します。まずはこちら。

“木々達が色鮮やかに火の祭り” ちか

(松尾先生添削後→木々達の色鮮やかに秋祭)

紅葉が火にたとえられて、勢いを感じる作品ですね!紅葉は一般に、最低気温が8度以下になると始まると言われていますが、植物の種類や条件によっては、紅色だけでなく橙色や黄色にも変化します。常緑樹の緑の中に、紅色や黄色のグラデーションが混じったような景色も本当に素敵です。

続いて…

“冬晴れのベンチの上に紅葉山” ポンタ

誰も座ることのないベンチに静かに降り積もるモミジ…あるいはベンチなどの上にこんもりと落葉を積んである光景…目にすること、ありますね。きれいな葉を集めたり、集めた落葉を捨てるに捨てられず積んであるような光景を見ると、季節の移ろいを感じて心が和みます。


モミジを使った作品をもう一点… 

“紅葉らに赤さ負けるな南天よ” 脩

(松尾先生添削後→紅葉らに赤さ負けるな実南天)

モミジとナンテンが赤さを競い合っているようですね。冬が近づくと赤い実をつけるナンテン。子どものころに雪だるまを作り、その目にナンテンなどの赤い実をつけて遊んだという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ナンテンは難を転ずるという語呂合わせから、縁起のいい木ともされています。「災い転じて福となす」、そうありたいですね。


最後にツワブキを詠んだ作品を3点。

“石にそひ水辺にそひて石蕗の花” とし

“戸を出でてすぐ坂の道石蕗の花” 貞昭

“石庭に頓に華やぐ石蕗の花” 政弘

この時期になると、公園や林の縁などでよくみられるツワブキの花。作品では石という漢字が多用されていますが、ツワブキを漢字で石蕗と表記するのは、ツワブキが石や岩の隙間からも生えていることに由来するそうです。花の少ない季節に、スッと伸びた茎の先の黄色の花を見ると、気持ちも明るくなりますね。


俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。投句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています!

※今回展示している俳句の一覧です。

<俳句係M>

2020年12月9日水曜日

ちいさな大発見No.109(2020.12.9)赤や黄色が映える?

 11月の半ば頃から少しずつ始まった紅葉ですが、イロハモミジやサトウカエデなど、水分量の欠乏からか、一部の葉が縮れて枯れてしまい、このまま紅葉せずに終わってしまうのかと思っていました。

 ところが、12月に入り、さすがに最低気温が8度を切るような冷え込みが続くと、一気に紅葉が進んできました。

紅葉樹園のイロハモミジ

 植物は葉を落とすために離層をつくります。すると、葉っぱにわずかに残ったクロロフィルは光合成をしてデンプンを作りますが、行き場を失ったデンプンが分解されて糖になり、それが酵素と反応してアントシアニンを作り出します。それが紅葉です。

 一方、イチョウなどの黄葉はと言うと、葉の中にもともと緑のクロロフィルと黄色のカロチノイドという色素を持っています。光合成量の減少と共にクロロフィルが分解されますが、クロロフィルより分解されるのが遅いカロチノイドの黄色が目立つようになります。それが黄葉です。

 それでは植物園の紅葉をお楽しみください。

水生植物園のイロハモミジ
芝生広場のオオシマザクラ
庭木園のオオモミジ
紅葉樹園のメグスリノキ
紅葉樹園のイロハモミジ
いちばん目立つノムラモミジ
緑葉とのコントラストが美しい
花木園Aのコナラ

 植物園の紅葉を見に来てください。

【解説員K】