ちいさな大発見No.111(2020.12.22)生きるための知恵?

 1年で最も花が少ないこの時季、目立っているのは赤い木の実たちです。  
 まず、園内で最も目につくのがヤブコウジ科(新分類ではサクラソウ科)ヤブコウジ属のマンリョウです。 
植栽されたものではない株!  

 野鳥に食べられることにより遠くに運ばれ、フンと一緒に排出され、そこで発芽します。園内各所で見ることができます。 
 野草園の大株から発芽?  

 私の家でも一度も植えたことのないマンリョウが3株、シロミノマンリョウが1株根付いています。  

 同じく同属のヤブコウジです。マンリョウに似ていますが、樹高が20cm程で、数個の果実しかつけません。 
別名はジュウリョウ(十両)  

 次はセンリョウ科センリョウ属のセンリョウです。マンリョウやヤブコウジと同じ仲間のように思われていますが、全く異なります。 
果実は葉の上に  

 スイカズラ科(新分類ではレンプクソウ科)ガマズミ属のガマズミです。果実はハクサンボクとそっくりですが、こちらは落葉します。ガマズミは鳥はもちろんですが、人間も食べられるそうです。意外と美味だとか。 
紅葉がすすんでいる  

 そして、同属のハクサンボクも目立っています。日本固有種で常緑のガマズミと言われています。 
葉に光沢がある  

 もう一つ、ミカン科ミヤマシキミ属のミヤマシキミを紹介します。雌雄異株で、植物全体に強い毒性があります。それなら鳥は食べないと思われますが、果肉には毒がないのか、鳥に耐性があるのか・・・はっきりわかりません。 
果実と一緒に蕾が! 
3月に開花する雄株の蕾  

 これらの植物は主に鳥に食べられることにより種を増やしていっているようです。  

 最後にトベラ科トベラ属のトベラを紹介します。トベラも雌雄異株ですから、雌木に赤い果実ができますが、鳥があまり好んで食べないことをトベラ自身が知っているのか、これまで紹介した植物とは少し違った種子散布の方法をとります。 
ネバネバする果実  

 トベラは果実が熟すと3つに割れ、中から粘着性のある液体に包まれた果実が出てきます。果実がはじけても地面には落ちず、食べに来た鳥のくちばしや体に付着させ、運んでもらいます。  

 動物と違って、植物は自分では動けないため、子孫を残すためにいろいろな方法で種子を散布しています。 
 【解説員K】

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