ちいさな大発見!? No110(2020.12.13)こんな寒い時季に!?
温室入り口の右端に、大きな葉を広げ、球状の白い花がたくさん咲いている植物が目に入ります。
中国、台湾原産でウコギ科カミヤツデ属のカミヤツデ(紙八手)です。温室内のランの小庭にもあり、この時季、たくさんの花を咲かせます。
こちらはバックヤードにあったものを昨年、1株植え付けたものです。幹から直接伸びた葉柄が1m近くあり、葉径が60~70cmほどもある大きな葉です。
幹にはクリーム色の星状毛がびっしりと付き、葉柄の上部からは、毛で覆われた花軸が70~80cm近く伸び、さらに枝分かれした花軸にたくさんの球状の花が咲いています。
星状毛に覆われている
球状の花といっても、よく見てみると1つの球状の花には、花弁が4枚、雄しべが4本、そして、雌しべは2本ある小花がたくさん集まっています。
ちなみに、自家受粉を避けるため雄しべと雌しべの熟し方に時間的なズレが生じ、雄しべ(葯にある花粉)が先に熟す雄性先熟という性質をもっています。上の写真はめしべの柱頭がまだ伸びておらず、雄性期を迎えようとするタイミングの写真です。
ところで、同じウコギ科ヤツデ属のヤツデは、学名にファットシア ヤポニカ(Fatsia japonica)とあるように日本原産ですが属がちがいます。
さて、このカミヤツデは地下茎で子株を増やし、さらに鳥等によって種が運ばれるため大変、生育が旺盛です。
以前は茎の髄を取り出し、通草紙と言う紙を作っていましたが、利用されなくなると野生化していった実態があります。管理されていない山間部などでは増加傾向にあり、群生すると葉が大きいため、地面に光が差し込まなくなり、林床に生えるような植物が光合成ができずに枯れてしまう問題があるそうです。
【解説員K】
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