続々とドングリの花(2021.4.25)

 4月5日のブログでドングリ(ブナ科の樹木がつける果実)の花を紹介しましたが、その後もいろいろな種類が続々と開花しています。

 最初はシラカシ【白樫】の花です。雄花が尾状に垂れ下がり、雌花は新枝の先にちょこんとついています。

 秋には実が熟す一年成のドングリで、殻斗(お皿状のもの)はリング状(縞模様)です。

 イチイガシ【一位樫】の花です。シラカシと同じく花粉を風で飛ばす風媒花ですので、目立たない雄花が垂れ下がっています。

 これも一年成のドングリです。葉の裏の白っぽい毛に特徴がありますが、リング状の殻斗にも毛がありフワフワ感があります。

 ところで、次の写真は何だかわかりますか?

 答は芝生広場のカシワ【柏】にびっしりと咲いた花です。これだけの開花を見たのは私が植物園に勤務して(9年目ですが!)初めてです。これまでも花は咲いていましたが数が少なく、いわんや秋のドングリもほとんど見ることはなかったのでびっくりしています。

 この写真は4月10日頃の撮影で現在は花のピークは過ぎていますが、当園としては珍しい開花ですので紹介しておきます。この花も風媒花なので、新枝の付け根からたくさんの雄花が垂れ下がります。

雌花は新枝の先につきます。

 この写真は平成25年(2013)に撮影された、園内で熟したカシワのドングリの数少ない写真です。一年成なので、この秋にはモシャモシャの殻斗に包まれたドングリを見ることができるのではないかと思います。ご期待ください。

 最後にご紹介するのは、虫媒(昆虫が花粉を媒介)のドングリの花です。

 この時期、みなさんお住い近くの雑木林でこのように黄色くなった樹木を見かけませんか?これは、樹冠全体に「カリフラワーのような黄白色」と形容されるスダジイ【すだ椎】の花がびっしりと咲いているんです。

 虫媒花なので、雄花が垂れ下がる風媒花と違い、昆虫たちにアピールするために花序を立てているのがわかります。

 これも同じく虫媒のツブラジイ【円椎】の花です。スダジイよりは白っぽい花ですが、どちらも匂いを放って昆虫たちを呼び込みます。ドングリはどちらも来年の秋に熟す二年成です。

 今年は、サクラをはじめ春の花たちは咲くのが早く、またそれぞれが駆け足で開花していく傾向がありますが、ドングリの花たちも続々と咲いています。

 秋に熟すドングリたちが楽しみです。                  (解説員)





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