ちいさな大発見No.92(2020.7.3)大陸系遺存植物って…?

 今、野草園西ではキク科の「アソノコギリソウ」(阿蘇鋸草)が白い花を咲かせています。阿蘇という名前が付いていますが国内の限られた場所に生息し、環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧(NZ)に分類されています。
 ノコギリソウなどに比べると、花は大きく、葉の切れ込みも浅いようです。
舌状花は5~6枚

 次は野草園東で大きな蕾をつけているキク科の「ヒゴタイ」です。アザミそっくりな葉をもち、球形の花は小花がたくさん集まっている集合花です。こちらも絶滅危惧II類(VU)に分類されています。
 阿蘇のヒゴタイ公園は有名ですね。まだ行ったことがないので、是非一度行ってみたいと思っています。
現在の様子
過去の写真(7月31日撮影)

 次は、ユリ科の「ヒメユリ」です。名前の通り、他のテッポウユリやヤマユリなどに比べ、全体的に小ぶりなユリです。こちらも、絶滅危惧ⅠB類に分類されています。英名は「スターリリー」と言います。
昨年の6月に郷土樹木園で撮影

 もう一つ、キンポウゲ科の「タンナトリカブト」(耽羅鳥兜)を紹介します。
 日本では本州、四国、九州に自生しています。「丹那鳥兜」と記載された図鑑もありますが、「耽羅鳥兜」の方を多く使用しています。「耽羅」は、韓国済州島の古い呼び名だそうです。
昨年10月末、水生植物園で撮影

 これらの植物は大陸系遺存植物と言われています。
 今からおよそ15万年前の氷河期に大陸から朝鮮半島に自生していた植物が、温かさを求めて南下し、当時陸続きだった日本に分布を移してきたと考えられています。
 ですから、日本列島が大陸と陸つづきだったことを証明する貴重な植物と言えます。
 今はアソノコギリソウを見ることができます。是非、植物園においで下さい。
【解説員K】

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