ちいさな大発見No.94(2020.7.25)ユリの仲間!

 今,植物園ではカノコユリやカサブランカなどのユリが咲いています。春以降に咲いたユリの仲間も含め紹介します。
 まず,郷土樹木園ではカノコユリが咲いています。漢字では鹿の子百合と書きます。日本固有種で花弁にバンビ柄の斑紋が入るのが特徴です。ちなみにカノコユリは宗像市の花に指定されているそうです。
1本の雌しべに6本の雄しべ
真っ白いシロカノコユリ

 ところで,江戸期に活躍し,日本近代医学の父と言われたシーボルトは日本固有の多くの植物をヨーロッパに持ち出しています。その中にヤマユリやタモトユリ,カノコユリなどもあり,それらを元に品種改良され誕生したのが百合の女王と言われるカサブランカです。
針葉樹園で咲くカサブランカ

 同じく針葉樹園花壇ではオニユリが咲いています。中国から食用として入ってきたと言われています。花弁が大きく反り返ることと黒い斑点が入ること,そして,むかごができることが大きな特徴です。
 また,オニユリの変種で対馬に自生する黄花種のオウゴンオニユリがあります。こちらもむかごができます。
変種のオウゴンオニユリ

 さて,日本固有種のテッポウユリは,明治期に海外にたくさん輸出されています。特にヨーロッパに伝わると,キリスト教の祭事にテッポウユリが使用されるようになったそうです。
別名をイースターリリー

 テッポウユリに似たユリに外来種のタカサゴユリがあります。花弁の外側に紫の筋が見えることと,葉が細いのが特徴です。台湾原産で発芽から開花までの期間が短く,繁殖力がとても強い特徴があります。
外来種のタカサゴユリ!

 また,テッポウユリと交雑して生まれたシンテッポウユリもよく見かけるようになってきましたが,その区別が大変難しくなっています。

 ところで,ユリの花はふつう下向きや横向きに咲きますが,上向きに咲くユリを紹介します。スカシユリです。中部地方より北に自生しているため,暑さに弱く,寒さに強いという特徴があります。
他に白やピンク,オレンジ色も

 最後にハカタユリを紹介します。13世紀頃,日宋貿易で博多にもたらされ,日本全国に広がりました。しかし,ウイルス病に弱いため,幻のユリと言われています。特徴は朝の開花時は黄色ですが,午後には白に変わります。
中国では野百合!
【解説員K】

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