“花楝(あうち)人より来ては見上げては” 俳句の展示入れ替えました。(2017.7.13)


まず最初に、先の7月5・6日の九州北部豪雨災害により甚大な被害を受けられた皆さまに対して、心よりお見舞い申し上げます。
同じ福岡県内という、私たちもよく知り関係も深い場所で起こった災害です。
これからの復興において、できる限りの支援をしていきたいと考えています。

野草園の休憩所内に展示している俳句作品を入れ替えました。
今回展示した句の中からご紹介します。

“花楝人より来ては見上げては” 池田ひさ絵
(はなあうちひとよりきてはみあげては)


“花楝(はなあうち)”の“楝(あうち・あふち)”とはセンダン(栴檀)の木のことです。

センダン科の樹木は熱帯から亜熱帯などに多く分布します。
センダンも南方系の樹木らしく、生長が早く大木になる木で、園内でも最大級の樹に成長しています。


初夏、5月上旬ごろから5月末ころに、淡い紫色の花をたくさん着け、遠目から見るとうっすらと紫色のぼかしをかけたようにも見えます。
古い呼び名である「あふち」とは、花色の「淡い藤(あわいふじ)」色に由来するといわれます。

また、センダンは、林の中の木というよりは、川沿いや海辺などで一本だけ大木となったものを多く見かけます。


句にあるように、フジも終わりかけの五月の中旬ごろ、遠目に涼やかな紫色に染まった大樹を見つけ、「何の木だろう?」と近寄り、花を見上げたという経験をお持ちの方も多いのかもしれません。


また、センダンは秋にたくさんの実を付けます。
数珠(じゅず)のように見えることから「千珠(せんだま)」と呼ばれ、それが「センダン」の名前に変化したともいわれます。
また、センダンの実は、実際にも数珠玉の材料にもされるくらい堅く、人が踏んでもなかなか潰れません。



2月頃、たくさんの実が落ちた園路を歩く時は注意が必要です。足をすくわれて転んでしまい思わず「アウチ!(OUCH!)」と声を上げることがないよう、くれぐれもご注意を。



*この展示は、植物園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃主宰のご協力のもとに展示しており、約1か月おきに入れ替えを行っています。


*今回展示している俳句の一覧です。


(園長 上田)

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