秋のなごり~ハーブ園の果実(2019.12.4)

暦のうえではまもなく「大雪」。本格的な冬の訪れが間近ですが、ハーブ園では秋のなごりの果実たちをまだ見ることができます。
オレンジ色の丸い実を鈴なりにつけているのはゲットウ【月桃】(ショウガ科)です。頭にチョコンとついているのは宿存萼(しゅくぞんがく:花が枯れ落ちたあとも残っている萼)です。黄色い唇弁に赤い縞模様が入った筒状の花を6月ごろ咲かせます。
葉には芳香性の精油成分がありアロマオイルなどに利用されますが、種子も乾燥させて主に健胃、整腸の薬として利用されます。
黒紫色の艶々とした液果をつけているのはマートル(フトモモ科)です。和名はギンバイカ【銀梅花】、6月ごろ梅の花に似た白い花を咲かせます。糸のように細い雄しべが特徴的な花です。
葉は揉むとユーカリに似た芳香があることから、原産の地中海地方では料理や酒などにハーブとして使われていますが、この黒い液果も果実酒に漬け込む材料として古くから利用されていました。
先がやや尖った艶のある暗赤色の実をつけているのはローゼル(アオイ科)です。実と紹介しましたが、目立っているのは花のあと萼片が果実を包み込んで厚く肥大したもの。熟した萼は多汁質でクエン酸などを多く含み、乾燥させたものがハイビスカスティーの原料になります。短日植物で、10月ごろ径10cmほどの淡いピンク色の花を咲かせます。

皿に萼が山盛りになった写真は、実はタイを訪れた時に街角の屋台で見かけたものです。
タイでは、この萼を煮て作ったジュースは体を冷やす効果があるとしてポピュラーな飲み物の一つで、ジュースを取ったあとも砂糖をまぶして子供のおやつにするそうです。


寒くなってきましたが、ハーブ園のちょっとユニークな果実たちをどうぞご覧ください。 (解説員)

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