木々たちの芽吹きの表情(2020.2.29)



 「芽吹き(めぶき)」・・意味を調べると「植物の芽が萌(も)え出ること。」と書いてあります。二十四節気の「雨水」を過ぎてもまだ寒い日がありますが、春は確実に近づいています。寒い中で着々と春の準備をしている木々たちの「芽吹き」の表情を紹介します。
 最初に紹介したのはケクロモジ【毛黒文字】(クスノキ科)です。尖った葉芽の基部に黄緑色の小花が集まって、葉が出る前に開花します。


 次も同じクスノキ科のアオモジ【青文字】です。葉が出た下側に散形状に花をつけますが、丸いつぼみがかわいいですね。雌雄異株でこの写真は雄花序です。


 枝先にでた葉の下側に柔らかい絹毛で覆われた花穂をつけているのはイヌコリヤナギ【犬行李柳】(ヤナギ科)です。この写真は雄株ですので、まもなく花穂の中からオレンジ色の葯をつけた雄しべが出てきます。


 葉が出た枝先に総状につぼみをつけているのはリキュウバイ【利休梅】(バラ科)です。
 5弁の白花が枝先に咲きます。和名は茶花として利用されることに因んでいます。


 芽吹いた葉に抱かれて紅色のつぼみを円錐状につけているのはニワトコ【庭常】(スイカズラ科)です。葉が開いた後、クリーム色の小さな花をたくさん咲かせます。
 ところで、歳時記には「芽吹く」「芽立ち」「芽ぐむ」などの季語は、ふつうは木の芽のことで、木の中でも落葉樹の場合が多いとありますが、常緑樹の芽吹きの中にもさまざまな表情があります。


  タブノキ【椨】(クスノキ科)の芽吹き。枝先の芽には葉芽と花芽が同居して「混芽」と呼ばれ、葉と花が一気に芽吹きます。


 クスノキ【楠】(クスノキ科)の葉芽です。クスノキは常緑樹ですが1年で葉が入れ替わります。若葉が出ると古い葉が一斉に落葉するので「春落葉」という季語もあります。


 最後に紹介するのは、葉芽を上に突き出しているアジサイ【紫陽花】(ユキノシタ科)です。小さな芽吹きですが、春に向かっていく力強さを感じます。


 植物園で、木々たちのさまざまな春の準備の表情をご覧ください。    (解説員)

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