ちいさな大発見No.108(2020.11.23)きれいな実には〇〇がある?
野草園では,パステル調の様々な色合いをした小さな実がついた,つる性の植物がみられます。
ブドウ科ノブドウ属のノブドウです。ちょっとややこしいのですが,ブドウ属のヤマブドウはとても美味で食べられますが,ノブドウの方は食べられません。もちろん,毒性はありませんが,それ以上に食べられない理由があるのです。
さて,ノブドウの実ですが,花後はすべて緑色の果実ができます。
問題はその後の色の変化です。定点カメラでも設置して観察できれば確実なのでしょうが,先ずはいろいろな図鑑で調べてみました。
①白,紫,青に変わる。(APG牧野植物図鑑、原色牧野植物大図鑑)
②緑白色から帯紫色,碧色に変わる。(小学館 園芸植物大辞典)
③はじめ桃紫色で,やがて鮮青色になる。(A-Z園芸植物百科事典)
④碧色または紫色で後には白色に変わる。(誠文堂新光社 最新園芸大辞典)
結論から言うと,青っぽい果実が白く変化していることを確認しましたので,①や②よりも④の情報がいちばん合致する結論に至りました。
それから,花序の中で,少しだけ大きくなった果実が確認できるかと思いますが,これは虫が果実の中で卵を産んでいる可能性があります。いわゆる虫えい果なのです。本当はカッターで切って中を確認したいところですが,・・・やめておきます。結局,いろいろな色に変化するのは虫が寄生することに起因するようで,白くなった果実には寄生していないとの記述が多かったようです。
名だたる大辞典でもこれだけ記述にずれがあるということに驚かされます。葉は正にブドウの葉にそっくりで,見た感じもカラフルでとてもきれいなのですが,こんなおどろおどろしい理由があったのです。
ちなみに,葉や根は漢方の生薬として有名で、日本でも民間伝承の薬草として、多くの効能が知られているそうです。
ついでに,マンサク科のイスノキは虫こぶ(虫えい)ができやすい樹木として有名です。寄生するのはアブラムシ類で,植物体の一部が異常に発育をし、写真のようなこぶ状になるそうです。不思議ですね。
【解説員K】
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