雪中四友(2021.1.10)

 


 九州北部地方には、数年に一度という記録的な寒気が流れ込んで各地で大雪になっています。当園内もすっかり雪景色になって来園者が少ない中、訪れられたカメラを愛好される常連お客様から素敵な言葉を教えてもらいました。

 「雪中四友」(せっちゅうしゆう)。中国で古来より文人画に好んで描かれた早春に咲く四つの花、梅(うめ)、蝋梅(ろうばい)、水仙(すいせん)、山茶花(さざんか)を指す言葉だそうです。

 早速「四友」を求めて園内を廻ってきました。

 トップの写真はロウバイの園芸品種ソシンロウバイ【素心蝋梅】です。中国原産のロウバイは花被の内片が暗紫色ですが、ソシンロウバイは黄色のみです。


 次は紅葉樹園の斜面に咲いているニホンズイセン【日本水仙】です。地中海原産のものが古くシルクロードを通って中国にもたらされた後、我が国に渡来したとされています。

 サザンカは元来我が国西南地域に自生していましたが、江戸時代前期から多数の園芸品種が栽培され、現存品種数は約300にも達するといわれています。写真のものは「有希(ゆうき)」という福岡で選出された園芸品種です。

 「四友」の一番目に挙げられているウメは、この時期はまだつぼみでした。花を楽しめるのは例年だと2月初め頃からだと思われます。ちなみに、このつぼみは園芸品種「大牟田」で、福岡県天然記念物に指定されている普光寺(大牟田市)の臥龍梅と同じ品種です。

 最後に紹介するのは「四友」の一つサザンカの種間雑種であるカンツバキ【寒椿】です。積もった雪の間から真っ赤な花びらをのぞかせています。園芸的にシシガシラ【獅子頭】と呼ばれている種類で、横張り性で生け垣によく使われています。

 「雪中四友」の説明として「何れも雪中、厳寒を冒して開き香気馥郁(ふくいく)たるもの」という文があります。寒さの中で懸命に咲いている(あるいは準備をしている)花たちの凛とした姿をどうぞご覧ください。(解説員)                     


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