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8月, 2022の投稿を表示しています

"這う蝉にがんばれと声かけるなり"俳句小屋の展示作品を入れ替えました(2022.8.22)

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7月末に俳句小屋の展示を入れ替えました。展示させていただいた作品から、数点ご紹介します。 "這う蝉にがんばれと声かけるなり" マモル 詠み手の方のやさしい気持ちが伝わってきますね。暑さが倍増しそうなセミの大合唱も一段落すると、次第に地上での役割を終えたセミの姿を見かけるようになります。そうなるともう秋。ツクツクボウシの声が聞こえてきそうです。 "二株は呼び合ふか月下美人開く" いわや 夜中に数時間だけ優雅な花を開き、甘い香りを放つゲッカビジンの花。時間を合わせて「咲きましょう」と呼び合っているかのようですね^^ (開花調整を行い展示したゲッカビジン 2022年7月2日) "円舞する向日葵種は黄金比" 想太郎 (えんぶするひまわりたねはおうごんひ) 8月は入口花壇に植え付けたヒマワリが一斉に開花しました。今年は猛暑のせいか、やや花期が短くなりましたが、入口花壇を明るく染めてくれました。 (8月5日 入口花壇のヒマワリ) そのヒマワリですが、中心部分にらせん状に並んだタネの並びを数えるとフィボナッチ数とよばれる数字があらわれ、その数字から世界で最も美しい比率といわれる黄金比(1:1.618…)がえられるそうです。まさに黄金の花ですね!?花が美しいだけでなく、美しい法則まで隠されていたんですね。 試しに花壇のヒマワリを数えてみました。青の並びが21本、赤の並びが34本で、その比率は「1:1.619…」となり、ちゃんと黄金比に近い数字になりました。おもしろいですね。  ヒマワリの他にも自然界(特に植物)には、数多くのフィボナッチ数が現れるそうなので、興味がある方はぜひ調べてみてくださいね~ 今回の展示の様子です。 色紙は松尾先生の作品です。ものの数分で描いてくださいました。 俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。俳句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています! ※今回展示している俳句の一覧です。 <俳句係M>

ちいさな大発見No.162(2022.8.19)これが野菜だって?

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京野菜と言うと京都ですが、島野菜は? 島野菜はもちろん沖縄です。沖縄県では、戦前から導入され伝統的に食されてきた地域固有の野菜 28 品目を伝統的農産物に指定し、島野菜と呼んでいます。 例えば、島らっきょう、フーチバー(よもぎ)、ゴーヤー、青パパイヤ、紅イモ、トウガンなどです。 その中にクワンソウがあります。花や蕾、茎、葉も食べられる野菜だそうです。それには、リラックス効果があり、刻んで乾燥させたものを煎じて服用すると、安眠効果があると言われています。もちろん、テンプラやサラダ、おひたしなど多くの食し方があるようです。 クワンソウは別名を「アキノワスレグサ」と言い、中国原産のユリ科ワスレグサ属(キスゲ属)です。 野草園のアキノワスレグサ アキノワスレグサはノカンゾウそっくりな花ですが、冬は地上部が枯れてしまうノカンゾウに比べ、トキワカンゾウ(常盤萱草)の別名の通り、常緑なところが大きく異なります。   トウカンゾウ(唐萱草)の別名 があるナンバンカンゾウ 蕊が弁化して八重咲になった ヤブカンゾウ(藪萱草) 夕方から咲くユウスゲ   ちなみに野生種であるアキノワスレグサを含めたヤブカンゾウやノカンゾウ、ニッコウキスゲ、ナンバンカンゾウ、ユウスゲなど、東アジア原産のワスレグサ属の植物たちは大変、交雑しやすい性質をもっています。 それらの性質を利用し、花の形や模様などの花形、色、草丈、開花時期などを工夫して、欧米、特にアメリカで品種改良が進み、現在のヘメロカリス誕生に生かされています。  園内で開花したヘメロカリスを照会します。 色とりどりのヘメロカリス 【解説員K】

~花緑の園~「日日のまなざし」No.003 樹木だって脱皮する(2022.8.16)【前編】

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 8月も立秋を過ぎ、福岡市植物園のセミの大合唱も少し落ち着いてきた感じがします。 さて、初夏のある日、植物園のハーブ園を散策していると、ちょっとおしゃれな薄緑色が目に飛び込んできました。色の表現がしづらいのですが、昨今、トレンドカラーとして取り入れられている「くすみカラー」とでもいいましょうか、薄い緑白色。 このステキな色を身に纏っているおしゃれさんはというと、葉っぱの香りが良い「レモンユーカリ」の樹。そして、そのきれいな色を発しているのは、レモンユーカリの「樹皮」なのでした。 レモンユーカリ 学名:Eucalyptus citriodora フトモモ科ユーカリノキ属  (*1) でも、あれれ?  レモンユーカリの樹皮って、こんなきれいな色をしていたかしら? ふと、辺りを見回すと、レモンユーカリのまわりに剥がれた樹皮がたくさん落ちている!(図a) 幹や枝のあちらこちらの樹皮(表皮)が剥れていて、剥がれたところは、青白い木肌が見え隠れ。すっかり脱皮が終わった後の幹を触ってみると、スベスベしていて、気持ちがいい。剥がれていない枝や、剥がれた表皮を観察してみると、ざらざらとしていて茶色(図b) なぜ、こんなにも樹皮(表皮)が剥がれた後の木肌はキレイな色をしているのかしら?         図a         図b                   図a:剥がれた表皮が幹の周りに散乱 図b:剥がれていない枝は剥がれた幹と色が違う  脱皮というと、昆虫や爬虫類を思い浮かべると思いますが、樹木も生長に応じて脱皮するんです。樹木の脱皮で有名なのは、その脱皮っぷりが大胆な「バクチノキ」。 一気に脱皮するその姿が博打で負けて身ぐるみ剥がされたようだということでその名がついた程。  樹木も肥大生長し、一回り大きくなるときには、サイズの合わなくなった服を脱ぎ捨てるかのごとく、樹皮の外側を覆っている表皮を剥がします。 その剥がれ方や、剥がれた形は樹木によってさまざま。 レモンユーカリのおかげですっかり樹木の脱皮の魅力に憑りつかれてしまった私。 ここから、樹木の脱皮と木肌の色のなぞを探るべく園内を探索する日々が始まりました。 植物園内をあちこち歩き回った結果、 その中から、脱皮っぷりがステキだなと思う樹木をまとめてみました。 ◆きれいにペリッと一気に脱皮するもの ◆ジグソーパズルのように

~花緑の園~「日日のまなざし」No.003 樹木だって脱皮する(2022.8.16)【後編】

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 さて、『~花緑の園~「日日のまなざし」No.003 樹木だって脱皮する』【前編】では、 樹木の脱皮と木肌の色の謎を探るべく植物園内を巡る旅に出て、 そこで出会った、脱皮っぷりがステキな樹木たちをご紹介いたしました。 何とも、自然が生み出す色や造形美の美しさには、心を揺さぶられますね。 では、 「なぜ、脱皮後の木肌はこんなにもキレイな色をしているのでしょう?」 の謎解きの答えですが・・・ 一言でいうと、幹も枝も光合成をしているからなんです。  光合成=葉だと思いがちですが、どうも樹木は葉っぱだけでなく、幹や枝でも光合成をしているらしく、葉でみられる色素成分が樹皮にも含まれていて、樹皮が剥がれると栄養の供給が途絶え、色素の分解が始まるのだそう。そう紅葉の仕組みと同じ。 もちろん葉っぱのほうが光合成の量は多いし、効率も良いらしいのですが、幹や枝の光合成にも意味があって、春に芽吹くエネルギーを生み出すのに大きな影響を与えてるとのこと。 幹や枝の光合成が春の芽吹きに一役買ってるってことですね。 ちなみに、樹皮が分厚い松などは、残念なことに枝や幹では光合成を行えないのだそうです。 ところで、世界には、七色の樹と呼ばれる、レインボー・ユーカリという樹があります。 レインボー・ユーカリ (出典:Fodors Travel(https://www.fodors.com/) 何ともカラフルで、新進気鋭の画家が絵具で描いたみたいでしょう? でもこれ、自然の樹木の色なんです。 この木も樹皮が剥離して剥がれる樹木の一つ。 剥けたばかりの樹皮は緑色、時間経過と各色素の優劣により 「緑」→「紫」→「赤」→「茶色」の順に変化するとのこと。 なぜこのようなカラフルな幹かというと、部分部分で樹皮がはがれる時期が違うから、 らしいのです。何とも神秘的ですよね。  実は、今回樹皮の探索をするまではサルスベリの脱皮後の樹皮は薄肌色だとばかり思っていました。 しかし、下記サルスベリBの写真にある通り、脱皮した後の木肌は「赤茶色」。 では、なぜこんなに色彩が違うのか。 樹木の樹齢や育つ環境、時間の経過によって、剥がれた後の木肌の色は変化するようで、 このサルスベリ木は、若木ではなく、樹齢を重ねた樹木であったこと、 また、すでにサルスベリの脱皮は5月頃から始まっており、表皮が剥がれてから時間の経過とともに色素分

「親子体験教室 葉脈標本づくり」を実施しました。

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開催日 令和4年8月5日 金曜日 13時30分から15時30分 講 師 緑の解説員 加来 孝 園内の植物の葉を使って、親子で葉脈標本づくりを体験します。スライドで葉の構造や葉脈の働きなどをしっかり学んだら標本づくり開始です!薬剤を使う下準備を終えた状態から始めるので小学生のお子さんでも楽しく安全に標本づくりが出来ますよ。 葉脈標本づくりをするうえで大事なことは葉っぱ選びです。葉っぱにも葉脈を取り出すのに適した種類と適さない種類があるんですね。そこで今回は園内にたくさんあるヒイラギ、ヒイラギモクセイ、ナンテンの葉を使って標本づくりをおこないました。他にもツバキやクチナシなど、葉に厚みがあってしっかりした葉でしたら葉脈を取るのに向いています。どれも身近にある植物なので、どれがキレイに出来上がるのかいろいろな葉を試してみても面白いですよ。 葉脈標本のつくり方は、煮る→葉肉を落とす→漂白→乾燥の4ステップで完成です。漂白しなくても黄色味がかった自然な色合いに仕上がりますが、今回は色付けもするので色をキレイにだすために漂白もおこないました。 煮る工程は時間がかかるので、ここでは葉肉を落とすところから始めます。 事前に水酸化ナトリウムで煮て、水で洗った葉っぱを歯ブラシで優しく叩き葉肉を落としていきます。この時、葉脈が破れてしまうのでこすらないことがポイントです。 葉肉を落とし終わったら漂白をかけ、染色液で色をつけた後アイロンで乾燥させます。 それを色紙と一緒にフィルムに挟んでラミネートしたら完成です! 中にはグラデーションに色づけをした子もいて、カラフルなオリジナル葉脈標本がたくさんできていました。ご家庭ではパイプ洗浄剤でもできますのでぜひチャレンジしてみてくださいね。 参加者の感想 初めてでしたが上手にできてびっくりしました。とても楽しかったです。 大切に使いたいです。歯ブラシでトントンするところが楽しかったです。 水酸化ナトリウムで葉肉が溶けることを初めて知りました。  (運営係 A)