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3月, 2019の投稿を表示しています

ちいさな大発見!? No.28(2019.3.28)満開を迎える桜たち!

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 当植物園では,「ソメイヨシノ」はもちろん,「シダレザクラ」や「アーコレード」,「ヤマザクラ」などが満開の時期を迎えています。その一部を紹介します。  植物園の改札口を入ると,エドヒガンの枝垂れ品種と言われている「シダレザクラ」や「ベニシダレ」が目に入ります。いちばん豪華な「ヤエベニシダレ」は数輪の開花が始まったばかりです。  7分咲きの「ベニシダレ」  こじんまりと咲いているのは,「ウスズミ」です。咲き初めがピンクで、後に清楚な白い花ビラとなり、散る間際には墨をさしたような色に変わると言われています。  7分咲きの「ウスズミ」  その隣では,ベニヤマザクラとコヒガンの交配によりイギリスで作出された「アーコレード」が咲いています。2期咲きで大輪の半八重咲です。花弁が外側にかけてうっすらと,ピンクになる特徴があります。  満開の「アーコレード」  さらに先に進むと,サトザクラ系の園芸品種である「シロタエ」がボリュームのある花を咲かせています。一般にサトザクラは観賞用として改良されてきたため、花弁の数の多いものや、見栄えのするものが多いです。  5分咲きの「シロタエ」  同じく,その先には「ベニユタカ」が目に入ってきます。花は淡いピンク色で花弁の外側は濃いピンクになり、八重咲きの大輪花で、芳香があります。  2分咲きの「ベニユタカ」  その近くで、いったん日本では昭和の早い時期に絶滅してしまい、その後イギリスの桜研究家イングラム氏から日本に送られた接ぎ穂から増やされた「タイハク」が巨大な花を見せています。何と,花径が5cmくらいあり,最大の桜です。  2分咲きの「タイハク」  そして,江戸期の駿河台(東京都千代田区)の庭園に原木があったと言われている「スルガダイニオイ」が咲いています。名前に「ニオイ」がついているくらいですから,強い芳香があります。  5分咲きの「スルガダイニオイ」  温室の側では,日本のサクラの原種の1つで,花と葉が同時に開く「ヤマザクラ」が姿をみせてくれます。  7分咲きの「ヤマザクラ」  最後は芝生広場にある「ソメイヨシノ」です。エドヒガンとオオシマザクラが交雑してできた桜です。その歴史は実は浅く,江戸期に染井村で作られたと言われています。

バスから見えるチョット気になる花~春編(2019.3.23)

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 通勤途上にバスから見える景色、冬の間は変化が乏しかったのですが、本格的な春を迎えてチョット気になる花が増えてきました。浄水通り「上智福岡中高前」のバス停付近、南公園樹林地の縁のところで白い花が目立っていました。近くに寄って見るとバラ科の典型的な5弁花であるクサイチゴ【草苺】でした。  5~6月頃赤い実が熟します。子供時代には学校の帰りに寄り道してよく食べたものです。実の時期になったら、また観察したいと思います。  少し「動物園前」バス停の方に下ったところに、黄色っぽい花が目につきました。  バスから見えるのは一瞬なのでなかなか判別がつかないのですが、近くに寄ってみるとニワトコ【庭常】(スイカズラ科)の花でした。  3~5ミリの小さい花が円錐状に群がって咲いて存在をアピールしています。別名はセッコツボク【接骨木】といい、枝や幹を煎じたものを骨折したところに湿布すると効果があるとの伝承があるそうです。  園内では待望のソメイヨシノも開花して春の花が続々と見ごろになります。春の植物園にどうぞお越しください。                                          (解説員)

チョット気になります,路傍の花たち No.24(2019.3.23)

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 植物園ではソメイヨシノが開花し,園内の花たちも賑わいを増してきました。  一方,路傍の花たちも気温の上昇とともに次々に花を咲かせ始めました。愛犬と散歩しながら目についた雑草(?)を少しずつ紹介したいと思います。  まず,田の畦道で見つけたのがキンポウゲ科キンポウゲ属の「ウマノアシガタ」です。この花は「キツネノボタン」や「タガラシ」などと大変よく似ていて,区別が難しい植物です。決め手は葉の形かな?  花弁が愛らしい「ウマノアシガタ」  次は,ホトケノザを豪華(?)にしたようなケシ科キケマン属の「ムラサキケマン」です。橋の側のちょっと湿ったところで見つけました。ケシ科ですので,全草に強い毒性があります。  筒状の花がきれいな「ムラサキケマン」  次に見つけたのが,イグサ科スズメノヤリ属の「スズメノヤリ」です。細長く密集した葉の中から10cm位の細長い花茎を伸ばし,その先っぽに茶褐色の固まりが目に入ります。小さな花が集まって咲く頭花をつくっています。 よく目を凝らして見ると,群生している「スズメノヤリ」  次は最近,よく見かけるアカネ科ヤエムグラ属の「ヤエムグラ」です。茎は四角柱をしており,下向きの小さなトゲがたくさん付いています。所謂,「くっつきむし」の類です。先端に小さな白い花を咲かせますが,まったく目立ちません。  結構な勢いで繁茂している「ヤエムグラ」  次はよく見ないと見落としてしまいそうなキンポウゲ科ヒメウズ属の「ヒメウズ」を紹介します。漢字では「姫烏頭」と書きます。「烏頭」はトリカブトのことで,小さなトリカブトの意味です。しかし,トリカブトの仲間ではなく,オダマキ属に分類されることもあるそうです。10~20cmほどの草丈で,花径は5mmもなく,しかもうつむいて咲くので本当に目立ちません。   可憐な「ヒメウズ」  最後はセリ科ヤブニンジン属の「ヤブニンジン」です。藪の中に咲いて,葉がニンジンの葉に似ているところから「ヤブニンジン」の名が付いたそうです。白い線香花火(?)のように1つの小さな花序に,種をつける5つの両性花と,その中心に5~8つの雄花をつけます。  白い小花をたくさんつける「ヤブニンジン」 ※ヤエムグラとヒメウズは植物園でも見られます。また,ヤブニンジンは植物園(

ちいさな大発見!? No.27(2019.3.20)「ソメイヨシノ」の開花!

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 本日,福岡市植物園では,待望の「ソメイヨシノ」が開花しました。うすいピンクの5弁花が風に揺れ,春の到来を告げています。 「ソメイヨシノ」  3月1日から毎朝の10時30分頃,南公園花見広場にある3本の標本木を観察してきました。  3本それぞれの主幹,側幹,下幹の3ヶ所を,11段階でチェックします。1は「つぼみ」を,2が「ふくらむ」,3が「ちらほら」で今回の開花にあたります。そして,途中は省略しますが,5が「三分咲き」,8が「満開」,10が「落花盛ん」,11が「散り終え」となっています。  なお,園内芝生広場や花木園Bにあるソメイヨシノの開花状況は2にあたり,ずいぶんと蕾も膨らんできましたが,写真のような状況です。  開花が待たれる芝生広場の「ソメイヨシノ」  今見頃の桜は,「アマギヨシノ」と「カンヒザクラ」を交雑させて作ったと言われる園芸品種の「ヨウコウザクラ」です。カンヒザクラの系統が残っているので,とても濃いピンク色をしています。  一重咲きで大輪の「ヨウコウ」  是非,植物園に足を運んでみませんか。 【解説員K】

ちいさな大発見!? No.26(2019.3.19)

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 みなさん,プルメリア(写真①)をご存知ですか。  キョウチクトウ科インドソケイ属で熱帯花木を代表する種類として,世界中の熱帯地域で広く植えられています。花には芳香があり、ハワイではレイにも使われています。 写真①「プルメリア・ルブラ・アクティフォリア」  先日,本園ボランティアガイドの方から,温室で拾ったプルメリアの実(写真②)をいただきました。枝先から左右に1つずつ2つの実がついています。1つの実で約12cmもあります。まるで,水牛の角のようです。あの可憐な花から,こんな実ができるとは・・・本当に驚きです。 写真②「プルメリアの実」  早速,片方をカッターナイフで切ってみると,白い乳液が出てきました。これは有毒だそうです。そして,実は早すぎたようで,まったく熟していませんでした。むりやり果肉を剥がすと,種(写真③)がいくつか取れましたよ。本来なら,うろこ状に40から50個くらいの種ができるそうです。 写真③「プルメリアの種」  現在のプルメリアは葉をすべて落としています。やがて気温の上昇とともに,花芽をつけ,6月以降にきれいな花(写真④)を咲かせてくれることでしょう。 写真④「ピンクのプルメリア」   【解説員K】

ちいさな大発見!? No.25(2019.3.14)カタカナ名のツバキたち!

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 ツバキは学名を【 Camellia japonica 】と言い,立派な日本原産の植物です。  しかし、桜や梅に比べると,文化的にはあまり重要視されていませんでしたが,足利義政や豊臣秀吉などの時の権力者に愛され,さらに江戸期に入って2代将軍徳川秀忠によって絵画等芸術面で広く一般市民にも知られるようになりました。  その後,18世紀頃の鎖国中,中国を経てヨーロッパへと持ち出されたそうです。そして,世界中で品種改良がなされ,その地に応じた品種が数多く作り出されました。  そこで,本園で見られる逆輸入版となったカタカナ名のツバキを3つ紹介したいと思います。  先ず,アメリカで作出された「エレガンス・シュープリーム」です。極大輪で花径が10cmを軽く超えます。おしべや葯が花弁化した唐子咲きです。名前の通り,優雅で上品なツバキです。  あまりの重みで下向きに咲く「エレガンス・シュープリーム」  次に紹介するのが,フランスで作出された「ビルドナンド」です。八重咲の大輪で白い斑入りのツバキです。  「ビルドナンド」  最後は,アメリカで作出された,一重咲きの「ラムマーティ」です。海外で品種改良された種は大型のタイプが多いのですが,珍しく小輪です。白無地ではなく,淡いピンク色のボカシが入っています。  フワッとした(?)「ラムマーティ」  せっかくですから,日本代表種(?)ということで,今ちょうど見頃の「都鳥」を紹介します。八重咲きの,一つのタイプである蓮華咲きです。純白な花弁に薄い黄色の蕊がとてもきれいです。ちょうど蓮の花のような咲き方ですね。    清楚な「都鳥」  梅はもう散り終えましたが,ツバキはまだあだ見頃ですよ。桜も早咲きの種類が順次開花しています。是非,植物園へおいでください。 【解説員K】

“つくし出る平成最後の春が来た” 俳句の展示入れ替えました。(2019.3.7)

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 野草園の休憩所内に展示している俳句の作品を入れ替えました。  その中からいくつかの作品をご紹介します。  2月は閑散期にもかかわらず,たくさんの俳句の投稿をいただきました!  特に,一人で10首も投稿してくれた伊東滉輔君,8首も投稿してくれた高倉光太君など,お子様の投稿も目立ちました。  本当にありがとうございます。   “つくし出る平成最後の春が来た” 伊東晃輔   (つくしでるへいせいさいごのはるがきた)   “風やさし鶯乗せて溢れてく” 高倉光太   (かぜやさしうぐいすのせてあふれてく)   「平成最後の」というキーワード,昨年から度々テレビなどでも耳にしますよね。  つくしを見て,春を感じて,「平成最後だな~」と思う感性。さらに新しい時代をも感じさせる句に感心しました。  「つくし」については,2/28の植物園ブログで紹介していますので,引用します。   今の時期,目につくツクシ(土筆)は胞子茎,スギナを栄養茎と言います。花木園Cの斜面にビッシリと顔を出していました。ツクシはスギナに付く「付く子」や袴のところから「継ぐ子」,他にも地面を突くように出る「突く子」からツクシになったと言われています。おもしろいですね。  ちなみに,ちょっと気になる路傍の花No.20(2月11日)で詳しく紹介しています。(解説員K)    こちらもお子様の句でしょうか,「バレンタインデー」に関する俳句もたくさん投稿いただきました。    “バレンタインデー待っても待ってもただ悲しい” 荒木   (ばれんたいんでーまってもまってもただかなしい)   “バレンタイン一人泣く泣く孤独な日” えいた   (ばれんたいんひとりなくなくこどくなひ)   “バレンタインむなしく響く男の飢” 某詩人   (ばれんたいんむなしくひびくおとこのこえ)  私はもうバレンタインデーに心動かす歳ではなくなりましたが,昔はワクワク,ドキドキしたことを思い出します。  それにしても投稿いただいた句は,悲しい句ばかりですね…(苦笑)   “伊都からの寄り道期せずパンヤ花” 眞理   (いとからのよりみちきせずぱんやはな)  温室の珍しい植物を俳句に詠んでいただいたので紹介します。  

チョット気になります,路傍の花たち No.23(2019.3.2)

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 前前回,前回に引き続き,園内における「チョット気になります,路傍の花たち」です。  先ず,キク科ノゲシ属の「ノゲシ」です。別名を「アキノノゲシ」に対し、「ハルノノゲシ」(写真①)と言います。  写真①「ノゲシ(野芥子)」 写真②「茎を抱いてる様子」  特徴は葉の鋸歯(ギザギザ)がやさしく,葉柄がないので,茎を抱くように付きます。近縁種の「オニノゲシ」は葉の鋸歯が荒く,触れると痛いです。ノゲシは痛くありません。  次は,タデ科ギシギシ属の「スイバ」(写真③)です。ヨーロッパでは「ソレル」と呼ばれ,野菜として食べられています。本種は雌雄異株で,蕾が赤っぽいので雌花だと思います。漢字では「酸い葉」と書き,文字通り、葉を噛むと酸味があります。子どもの頃,学校の帰りに罰ゲームでよく噛まされていましたよ。  写真③「スイバの雌株」  次はアブラナ科ナズナ属の越年草の「ナズナ」(写真④)です。別名をペンペングサと言い,春の七草の1つです。種が三角形のようにもハート形にも見えます。  写真④「ナズナ」  次はナデシコ科ハコベ属の「ハコベ」(写真⑤)です。  写真⑤「ハコベ」  こちらも春の七草のひとつとして有名です。花は直径6~7mmで小さく,白い花弁が基部近くまで2裂するので10枚の花弁があるように見えます。一般にやや小型で茎が暗紫色の「コハコベ」も含めて、ハコベと呼んでいます。  最後はタンポポです。  いわゆる雑草の世界も外来種が増え,在来種は絶滅したり,その数を減らしています。タンポポも同じで,今や「セイヨウタンポポ」が圧倒的に増えてきています。理由は大きく3つです。  1 花粉が付かなくても受粉できる単位生殖ができること。  2 春にしか咲かない在来種に比べ,通年咲いている。  3 種(綿毛)が在来種の半分ほどの重さなので,より遠くへ運ばれる。  写真⑥「カンサイタンポポ」  そこで,植物園内では在来種のカンサイタンポポがたくさん咲いていました。見分け方はいくつかあるのですが,いちばん簡単な見分け方は蕾を包み込んでいる総苞片が反り返っていれば外来種,蕾にくっついていれば在来種(写真⑦)ということになります。しかし,最近は交雑も進んでおり,その中間的なタイプも存在するそうです。