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第28回福岡市植物園 植物画コンクールの入賞作品決定!

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厳正な審査の結果、第28回福岡市植物園植物画コンクールの入賞作品が決定しました。 28回目を迎えた当コンクールに、一般の部34点・中高の部61点、併せて95点の作品を応募いただきました。審査員一同、全ての応募者の熱意と努力に敬意を表し、心から御礼申し上げます。  植物画は、植物の特徴を正確に伝達するツールとしての面、作者の個性や技倆が詰まった芸術作品としての面の両方を併せもっています。植物学の専門家として審査基準の中心に据えたのは、植物がもつ様々な特徴が、第一は明晰に(誤りがあれば誤りだと分かるように)描写されていること、第二は正確に再現されていることです。さらに、植物画の特性を生かしていること(植物写真では為し得ない描写がされていること)、全体図と部分図との関係(部分図が拡大率・視点・精細さ等で全体図を補完している)等も考慮しました。 では、入賞作品を講評を添えてご紹介します。 【一般の部】 福岡市長賞 矢口 里子 様  「ノゲシ」 (福岡県遠賀郡)  葉の脈や縁の鋸歯、根系、果序の精密で再現性の良い描写や構図の工夫等、見所満載の作品ですが、最も眼を惹いたのは、右下の茎を斜めに切った断面のあたりです。葉のつけねに続く部分で茎が角張った稜(りょう)となり大形の葉を力学的に支える構造がよく分かって、何回見ても心を打ちます。 西日本新聞社賞 髙倉 明子 様  「メグスリノキ」 (大阪府池田市)  春から秋までの間に樹種が示す姿をほぼ洩れなく明晰に描いており、植物画としての完成度は随一です。特に、雌花からカエデ類特有の翼果が発達し、ついには2つに割れて散布寸前に到るまでの変化は圧巻です。この植物は雌雄異株なので、雄花の描写がついていればさらに完璧でした。 (公財)福岡市緑のまちづくり協会賞 石田 敬子 様  「ダイコン」 (福岡県北九州市) 薹立ちした大根を描いていて、隅々に到るまで安定した描写が高く評価されました。特に、右下の肥大部は胚軸と根の遷移、縦一列に並ぶ側根など特徴が余すところなく表現されています。花の解剖図(分解図)は正確さに申し分がないので、さらに拡大して強調されていれば、また果実の断面があればと感じました。   福岡市教育委員会賞 松居 広子 様  「シュウカイドウ」 (福岡県太宰府市) 拡大図と断面図をふんだんに使った作品です。多数の雄しべが毬状に束生す

"フルートや心を癒やす冬芽あり"俳句小屋の展示を入れ替えました(2024.03.22)

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先月末に俳句小屋の展示作品を入れ替えました。 展示作品から、数点ご紹介いたします。 "フルートや心を癒やす冬芽あり" 思草 春に成長するためにつけた花芽や葉芽は冬芽と呼ばれ、寒さや乾燥から身を守るため、植物ごとにそれぞれの工夫がみられます。   こちらはコブシの冬芽、まさにもふもふのコートといったところで、とても温かそうです。 そしてこの冬芽ですが、、、よく見ると音符の記号に似ています♪ コブシは3月21日現在、冬芽が開き、香りの道と温室手前で開花しています。 香りの道のコブシ   こちらはアジサイの冬芽。 植物ごとに違うメロディーが聞こえてきそうですね!? "空晴れてしゃんと胸張るふきのとう" そら "ふきのとう頭ひょっこりこんにちは" 悠紀 フキノトウは、日本全国に分布するフキの、若い花序のこと。 2月には俳句小屋の裏手に顔を出しましたが、それを見て詠んでいただいたのでしょうか!? フキは傘のように広げるハート型の葉が特徴的ですが、そんな葉の形にちなんで Petasites japonicus(日本のつば広の帽子)なんていう、おしゃれな学名がついています。 園内でも見られるフキノトウ おなじみのフキの葉 春の日差しの心地よい季節になりました。園内のソメイヨシノは3月末頃に見頃になりそうです。ぜひお花見にお越しください。 俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。俳句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。 今回の展示の様子です。  (松尾先生の今月の作品です) ※今回展示している俳句の一覧です。 次回の入れ替えは4月上旬を予定しています。 みなさまのご投句を、お待ちしています! <俳句係 M>

"七種をじいじばあばにおそわる日"俳句小屋の展示を入れ替えました(2024.02.22)

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先月末に俳句小屋の展示作品を入れ替えました。 展示作品から、数点ご紹介いたします。 "七種をじいじばあばにおそわる日" 小5女子ちゃん 七草をスラスラいえるようになると、うれしいですよね!^^ 1年の無病息災を祈り、正月料理や祝い酒で疲れた胃を休めるといった意味合いで食される七草粥。 当園では1月6日に七草粥の試食会を行い、1月いっぱい春の七草を展示していました。 最近では、七草おはぎ、七草せんべいといったスイーツも出ているそうで、ぜひ来年こそは食べてみたいな~と思っています。 本来の趣旨とは少し違う気もしますが・・・^_^; (こちらは七草の一つのセリ)   "白梅やきのふと違ふけふの吾" みよ (はくばいやきのふとちがふけふのわれ) 何か様子が違うなと思っていたら、変わっていたのは自分の方だった、なんていうことありますよね。同じ花を観るその時の気持ちも変わるのですね。 ウメの作品は1月最も多く寄せられました。      "早梅や香りほのかにしみるかな" よしひろ "日をうけてはや白きこと雪月花" こまち "植物園彩を配りて梅の花" 秀徳 "夕暮れの家族の足音梅白き" "水滴のひかりて雨後の濃紅梅" 政弘 "紅梅の一輪なれど見頃かな" 英世 梅園では早咲きの品種が1月上旬から咲き始め、ホームページ等で紹介するよりも先に、来園者の方が今年一番のウメの花を見つけられていました。 万葉の時代から数多くの和歌に詠まれてきたウメが、21世紀になってもこうして詠まれていると考えると感慨深いものがありますね。 梅園にはまだ蕾がある品種もあり、もう少しの間、観梅を楽しめそうです。 (紅白に咲き分けるウメ‘思いのまま’ 2月22日撮影) 今回の展示の様子です 俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。俳句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています! ※今回展示している俳句の一覧です。 <俳句係 M>

"冬の日の植物達の生きる音"俳句小屋の展示を入れ替えました(2024.01.20)

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昨年末に俳句小屋の展示作品を入れ替えました。 展示作品の中から、数点ご紹介いたします。 "冬の日の植物達の生きる音" 千 (ふゆのひのしょくぶつたちのいきるおと) 空気がピンと張って澄んだ冬の日は、音もよく通りますね。 音がしても意識していないと耳に入らないもので、野鳥観察の方とお話をすると、私の聞いていない小さな鳴き声を聞きわけていらっしゃることに、驚かされます。 最近、植物も動物とは違う方法でコミュニケーションを取り合っていることがわかってきたという番組があったのですが、もし植物達の声が私たちにも聞こえたら、うるさくて仕方ないかもしれませんね! ^^; "花八つ手神々しきや銀細工" とうこ (はなやつでこうごうしきやぎんざいく) 手のひら状に裂けた大きな葉からテングノハウチワの別名があり、厄除けとしても植えられるヤツデの木。 日当たりのよくない家の北側や物陰でもよく育ち、雄花から雌花へ性転換するといった特徴も持っています。 幾何学的な構造の整った花と合わせると、どことなく神秘的に見えてきますね。 (ヤツデの花) 今回の展示の様子です 。 寒い時期にも関わらず、たくさんのご投稿ありがとうございます。 本年も俳句コーナーをよろしくお願いいたします!! 俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。俳句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています! ※今回展示している俳句の一覧です。 <俳句係 M>

"どんぐりのころがる先に出会いあり"俳句小屋の展示を入れ替えました(2023.12.20)

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11月末に俳句小屋の展示作品を入れ替えました。 11月はひと際たくさんの投句がありました。展示できなかった方、申し訳ありません。 展示作品から、数点ご紹介いたします。 "どんぐりのころがる先に出会いあり" とんがり 秋にナラやカシのそばを歩いていると、時々ドングリが落ちた 音が聞こえますね。 落ちたあとのドングリの行き先に思いを巡らせるのも、いいものですね。     "どんぐりのクラブ楽しいなうれしいな" 山本あやな "どんぐりがたくさんあってあそびたい" 阿比留快人 "どんぐりやもみじいっぱい美しい"  莉央 どんぐりクラブって、あるんですね。 響きからして楽しそうですね^^ 使う用途がなくても、不思議とドングリって集めたくなるんですよね・・・ デジタルがあふれている今、ドングリを集めて笑顔になる子どもたちを見るとどこかホッとします。   (緑の相談所に展示しているドングリの作品) "冬が行く生きている全てまた生きる" タナワット 私はうまく読み取ることができなかったのですが、松尾先生によると「冬が去ると、また植物が芽吹いて、動物達は活動を始める」といった意味かなということでした。 「なるほど~!」ですね。 今年は外国の方のものと思われる投稿も増えました。 俳句で表現することも交流のきっかけになると思いますので、ぜひこれからも挑戦していただきたいですね^^ (様々な言語の投稿があります) 今年最後にご紹介する作品はこちら!  "柿よりも濃く色づきて柿落葉"  政弘 (かきよりもこくいろづきてかきおちば) 黒ずみや黄色が混じるカキの落葉。 光沢があり、モミジとはまた違った趣があります。 葉が落ちて実だけ残ったカキの木を見かけるようになると、紅葉の季節も終わり、本格的な冬の到来です! (ケーブルカーの昇降口から見えるカキ) 今回の展示の様子です。  俳句の展示は、当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており、約1か月おきに入れ替えています。俳句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と、緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を、お待ちしています! ※今回展示している俳句の一覧です。