2018年6月22日金曜日

みどり色の風船たち(2018.6.22)

  


 この時期、園内でみどり色の風船のような実をつけた植物を見ることができます。
 野草園で見られるのがフウセントウワタ【風船唐綿】(ガガイモ科)。原産は南アフリカの多年草です。初夏に乳白色の不思議な形をした花を下向きに咲かせ、その後表面に柔らかいトゲが生えた袋状の実をつけます(袋果)。この空気の詰まった実の中には綿毛があり、種子を飛ばします。

             





 展望台エリアで見られる風船はフウセンカズラ【風船蔓】(ムクロジ科)。北アメリカ南部原産のつる性一年草です。
            
 白色の小さな花を咲かせた後、内部が3室に分かれた風船状の実をつけます。(蒴果)
 種子は黒色でハート形の白い紋様が入るのが特徴です。
            
 最後にご紹介するのはホオズキ【酸漿・鬼灯】(ナス科)です。東アジア原産の多年草で野草園西側で見られます。 
           

 この風船は前の2種と違って実ではなく、萼(がく)が発達して実を包んで袋状になったものです。
 中の実が熟すと風船も鮮やかなオレンジ色になってお盆の飾りなどに使われます。



うっとうしい梅雨空が続きますが、園内でちょっと不思議な植物たちをご覧ください。(解説員)

2018年6月15日金曜日

“うぐいすが春がきたよとつたえてる” 俳句の展示入れ替えました。(2018.6.14)

 野草園の休憩所内に展示している俳句の作品を入れ替えました。

 今回もとてもたくさんの句を投稿いただきました。
 俳句の選者でいらっしゃる松尾先生曰く、「以前よりだんだんレベルが上がっているような気がします。選ぶのが大変です。」
 園としてはうれしい限りです。

 展示した句の中から、俳句の素人の私が、独断と偏見で、いくつかご紹介します。

 今回も、まずお子さんの作品を紹介します。










“うぐいすが春がきたよとつたえてる”
(うぐいすがはるがきたよとつたえてる) 
  4年 田中しあん















“ライオンはつねに王者だかっこいい”
(らいおんはつねにおうじゃだかっこいい)
  永瀬りと











 何がいいって、絵付きのところがいい!しかもかわいい!(笑)
 あんまりかわいかったんで、松尾先生はこの2句を「色紙額」に選ばれました。
 “ライオン…”の句は季語が無いけれど、そんなことはどうでもいいんです!
 動植物園で見て、聞いて、感じたままを、ストレートに表現しています。
 子どもの感性や素直さ、ほほえましく、うらやましいです。
 展示が終わったら是非、色紙に飾られた自分の作品を持って帰って、自宅に飾ってほしいです。



 「見て」「聞いて」「感じて」ときたので、五感つながりで「嗅覚」に関する句を紹介。

 福岡市植物園内ではいろいろな香りがします。
 五月の香りの「王者」は、何といっても園の目玉「バラ園」。
 250種1100株のバラが、色だけでなく、様々な香りを競っています。
















“紅バラの香りに風と蝶が舞う”
(べにばらのかおりにかぜとちょうがまう)
  作者不詳

“雨しとど万の薔薇の香沈めたる”
(あめしとどまんのばらのかしずめたる)
  邦子





 
 園では、春と秋に「ばらまつり」を開催しています。
 次の開催は10月です。バラの香りを楽しみに是非お越しください。



 「バラ園」を北に抜けて少し下った「庭木園」では4月、甘い香りが漂っています。
 「ホオノキ」です。

   “しばらくは朴の香りに立ち憩う”     政弘
   (しばらくはほおのかおりにたちいこう)


 「ホオノキ」はモクレン科モクレン属(Magnoria)で、同じ属のハクモクレン、タイサンボクなども、いい香りがする白い大きな花を咲かせます。  
タイサンボクの花






 5月11日、「しだれ月下美人」の花が咲きました。

  “夏の夜に月下美人の花香る”        たくろう
  (なつのよにげっかびじんのはなかおる)

 月下美人はサボテン科で、夜咲いて朝にはしぼんでしまう「一日花」です。
 はかなく美しい純白の花は、甘い香りを強く放ちます。
 福岡市植物園では、暗室で昼夜を逆転し育て、昼間でも見ていただけるように開花調整しています。10月頃まで、運が良ければ一日しか咲かない花を見られるかも。



 6月は梅雨ですが、特に雨の日は香りが立ちます。
 雨の日は植物達はいきいきとしていますし、いろいろな香りがします。
 梅雨だからこそ、是非植物園へ足をお運びください。

(園長 井上)

*今回展示している俳句の一覧です。

 







2018年6月13日水曜日

 梅雨の晴れ間の白花競演(2018.6.13)

             


 梅雨の晴れ間、今日はさわやかな青空が広がっており、園内「香りの道」では涼しげな白い花が咲き誇っています。
 まず目立つのがタイサンボク【泰山木】(モクレン科)です。学名はMagnolia grandiflora
(マグノリア グランディフロラ)種小名は「大きな花」を意味します。例年高いところに花を咲かせるのでなかなか観察しづらいのですが、今年は開花位置が低いので花の中心にある特徴的な雌しべや雄しべを間近に見ることができます。



 道をはさんだ反対側で芳香を漂わせているのはオオヤエクチナシ【大八重梔子】(アカネ科)です。園芸名「ガーデニア」で流通しています。

 温室前には基本種である一重咲きのクチナシもあります。



 この時期、園内では花以外の器官で「白」を強調している種類も見受けられます。

 ドクダミ【毒溜】(ドクダミ科)は淡黄色の穂状花序の下側に花びらに見える4枚の白い苞をつけて花序の存在をアピールしています。



 ハンゲショウ【半夏生】(ドクダミ科)は総状花序に向き合った葉を白く変化させることによって花序の存在を際立たせています。




 梅雨の真っ最中に咲くタイサンボクやクチナシ類は、残念ながら雨で花が傷みやすいのでどうぞお早目にご覧になってください。                                (解説員)

2018年5月20日日曜日

背高のっぽ~食虫植物の花(2018.5.20)


  大温室の一角で食虫植物たちが花を咲かせています。白い5弁の花を咲かせているのは捕虫葉(ほちゅうよう 虫をとらえる葉)で虫をはさみこむハエトリグサです。

 
薄い紫色の花弁の花は、べたつく粘液で虫をつかまえるモウセンゴケです。

  
その他現在は咲いていませんが、モウセンゴケと同じく粘液で虫をつかまえるムシトリスミレの花はこのように咲きます。

 
このように並べてみると、食虫植物たちのの花には共通する形・・背高のっぽ=花の柄が長いという特徴があることがわかります。食虫植物たちは虫をつかまえて養分を吸収していますが、一方花を咲かせたあとの受粉に関しては虫たちに媒介してもらう必要があります。そのため花を捕虫葉から十分に離して、受粉を手伝ってくれる虫たちは誤ってつかまえないようにしています。つまり養分にする虫と受粉を手伝ってくれる虫を使い分けていることになります。食虫植物たちの生き残るためのすごい知恵ですね。
  ちなみに落とし穴を使って虫をつかまえるタイプの食虫植物の花も背が高いです。

サラセニア
ウツボカズラ
  
ユニークな形で独特な生き方をしている食虫植物たち。大温室の食虫植物コーナーでその魅力を発見してください。                                    (解説員)

2018年5月15日火曜日

“四月にねさくらさいたら春が来た” 俳句の展示入れ替えました。(2018.5.15)

 野草園の休憩所内に展示している俳句作品を入れ替えました。
 展示した句の中から、いくつかご紹介します。


 今回も展示しきれないほどのたくさんの句を投稿いただきましたが,
 今回は,特に“ 桜 ”と“ チューリップ ”の句が多くみられました。










 
 「春の花は?」と聞かれて真っ先に思い出すのが“ 桜 ”という方も多いでしょう。




  “ 四月にねさくらさいたら春が来た ” とくいかちさえ
   (しがつにねさくらさいたらはるがきた)






 お子様が書かれた句でしょうか,“さくらさいたら春が来た” 当たり前の事ですが,
 季節を感じる心を大切にしながら,育ってほしいものです。
 
 “ 桜 ”には多くの品種がありますが,植物園内には約60種が植えられています。
 来年の春には,ぜひ探してみてください。







 子どもたちに花の絵を描いてもらうと,“ チューリップ ”の絵を描く子が多いのではないでしょうか。それほど“ チューリップ ”は誰にでも身近で親しみやすい花なのでしょう。








  “ 画用紙の中いっぱいのチューリップ ” 大長清子
   (がようしのなかいっぱいのちゅーりっぷ)










 春は遠足シーズン。園内の芝生広場には多くの園児たちが楽しそうに遊ぶ声が響いています。
芝生広場の近くにトチノキの大木があります。






  “ ピラミッド園児の声と栃の花 ” 靜雄
   (ぴらみっどえんじのこえととちのはな)


 トチノキは,トチノキ属の落葉高木で,花は4~5月頃咲き,一つひとつの花が集まって円錐状に立ち上がった形はこの時期とても目立ちます。まるでピラミッドのような形にも見えます。
 園内を散策していた作者が,芝生広場で元気に駆け回る園児たちを微笑ましい眼差しで眺めていると,ふと近くの天に昇るようなトチノキの三角錐の花に気づき,その姿と同化させたのでしょうか。







*この展示は、植物園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃主宰のご協力のもとに展示しており、約1か月おきに入れ替えを行っています。

*今回展示している俳句の一覧です。













(園長 井上)

2018年5月3日木曜日

 花を咲かせたその後は・・・(2018.5.3)




風薫る五月になりました。今年は2月ごろに厳しい寒さがあり、その後3月から4月にかけて暖かい日が多かったせいでしょうか、この春はサクラ類をはじめさまざまな花の開花が早まり、そして一気に咲いたように感じます。
 次々に咲いて私たちを楽しませてくれた春の花たちですが、花を咲かせたあとには大事な、そして大きな仕事が待っています。子孫を残すための種子づくり、そしてそれを広げていくための実づくりです。園内で目立つ実を探してみました。






 入口から入ってすぐ、水生植物園で実をつけているのはカリン【花梨】(バラ科)です。秋には黄色に実り、せき止めなどの効能があります。


カリンの花
香りの道で実をつけているのはソシンロウバイ【素心蝋梅】(ロウバイ科)です。




ソシンロウバイの花
頂部に雄しべなどの跡が残っているのがおもしろいですね。

モデル庭園のハクモクレン【白木蓮】(モクレン科)も変わった実をつけています。



ハクモクレンの花
 雌しべが多数らせん状に並んで集合果になります。


 バラ科サクラ属の実と花です。
 アンズ【杏】

スモモ【李】





シナミザクラ【支那実桜】




  ウワミズザクラ【上溝桜】




 春から初夏に向かうこの時期、次々に花を咲かせ実をつけていく植物たちから目が離せません。                               (解説員)