2019年8月22日木曜日

ちいさな大発見!? No.50(2019.8.22)見つけました、感激です!

 園内を巡回中,まだ早いだろうなぁと思いながら,芝生広場の一角にあるススキの群生を覗いてみると,その株元に何と,大きいもので高さ10cmほどの目的のものが5~6株,目に入ってきました。さらに,横に目をやると,そこにも3株,2株,さらに3株と立ち上がっています。
今、現在,開花している1本!
 中心部に見えるのは雌しべの柱頭
 萼が膨らんできている!
 立ち上がったばかりの様子

 そうです。待望の「ナンバンギセル」です。アジアを中心に日本全国の草地などに自生するハマウツボ科の寄生植物です。別名を「オモイグサ」と言い,花の形が頭を下げて物思いに耽っているように見えるというのが名前の由来です。22日現在,全部で3ヶ所に30本くらい確認できましたよ。
 葉は退化しているので葉緑素を持ちません。ですから主に,イネ科などの植物に寄生して,必要な栄養分をもらっています。具合的には,根の一部の寄生根とよばれる根を宿主の根にくっつけて、養分を奪って生活しているのです。そうとう,ずる賢いやつです。
 ちなみに,沖縄などではトウモロコシに寄生し,栄養分をとってしまうので,生産農家の方からは大害草として嫌われているそうです。

 ところで,『万葉集』に作者不詳ですが,
「道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今更々に 何か思はむ」の一句があります。
 ここで言う尾花とはススキのことです。つまり,万葉の人はススキとナンバンギセルとの関係をよく知っていたのではないでしょうか。
 ナンバンギセルはこれからが見頃です。是非,植物園においでください。
ー追伸ー
 ナンバンギセルの観察をしやすくするために、ススキを少し剪定していたら、奥のほうに多くの個体を発見することができました。今年は豊作(?)ですよ。
【解説員K】

2019年8月20日火曜日

ちいさな大発見!? No.49(2019.8.20)誰です,こんな名前をつけたのは?

 猛暑の中,ひときわ元気なつる性の植物が目に留まりました。
 写真①をご覧ください。名前がわかりますか?
 写真① 開花前,つぼみの状態!

 ご覧の通り,つぼみの状態だとよくわからないかもしれません。それでは,写真②をご覧ください。 
写真② 花弁の先がフリンジ咲?

 もうわかりましたね。アカネ科のヘクソカズラ(屁糞蔓),別名を「ヤイトバナ(灸花)」,「サオトメバナ(早乙女花)」と言います。
 しかし,こんなにかわいい花なのにヘクソカズラとは・・・ひどい名前が付けられたものです。実は,奈良時代末期から平安時代ぐらいまでは「クソカズラ」と呼ばれており,現に万葉集にも登場しています。

 「ざうけふに 這いおおどれる屎葛 絶ゆることなく宮仕えせむ」  高宮王(たかみやのおおきみ)

 現在のヘクソカズラになったのは江戸期になってからと言われ,さらに強烈な名前になりました。ちなみに,英名はSkunk vine,「スカンクの蔓」と言い,スカンクが発する臭いと同じ成分だとか。世界中でくさい植物と思われているようです。

 ところで,筒状の花をじっくりと見ているとあることに気が付きました。写真③から⑦を見てください。
写真③ 中心部が丸い! 
写真④ 中心部が5角形! 
写真⑤ 5角形の変形、先が尖っている! 
 写真⑥ 中心部が星形!
写真⑦中心部が四角形!

 花は基本,合弁花で5裂し,中心部は赤紫色です。ところが,その赤紫色をしている部分が丸形や四角形,5角形,星形など多様な形をしているのです。写真②の右上の花は6角形をしています。
 さらに,写真⑦は花弁が5裂ではなく4裂しています。いろいろと調べてみると,ヘクソカズラは変種が出やすいのだそうです。

 さて,これらの写真はすべて同じ時期に撮っているのですが,蕾から実まで見ることができます。
写真⑧ 花と実が同居している!

 特に見るだけなら匂いも発しません。そもそも匂いを発するのは,食害する虫などの外敵を追っ払うための自己防衛なのです。もちろん人間もしかり。
 みなさんも,じっくりと観察してみませんか。新しい発見があるかもしれませんよ。

【解説員K】

2019年8月15日木曜日

七夕イベントのご報告(2019.8.15)



植物園では,7月2日から7日まで,七夕イベントとして,笹にかける短冊を募集しました。
普通の短冊に加えて,文字が書ける不思議な葉っぱ「タラヨウ(多羅葉)」を短冊として用意しました。




期間中は雨に見舞われたものの,7月6日(土),7日(日)と晴れ間がのぞいたこともあり,入口広場の笹には,願いの込められたたくさんの短冊を飾っていただくことができました。




タラヨウの葉に書いていただいた短冊は300枚近くにのぼりましたが、数日置いてもまだ写真の通り,皆さんの願いごとがしっかりと文字として残っていました。







写真:タラヨウの短冊

タラヨウがハガキの語源になったともいわれる所以がわかりますね。
イベント終了後,短冊は全てコヨリを外し,たい肥にして花壇の土にすきこみました。

今,園内ではみなさんの願いが植物の栄養となり,きれいな花を咲かせています。
皆様の願いが叶いますように!

2019年8月10日土曜日

夏でも元気!「つる植物」(2019.8.10)

























 立秋を過ぎましたが連日猛暑が続いています。園内の植物たちは全般的にバテ気味ですが、暑さにもかかわらず元気なのが「つる植物」たちです。
 「つる植物」とは、他の植物や物に取り付くことで身体を支えながら、光が当たる有利な位置まで葉を広げていく植物たちで、光と温度が豊富な夏場は勢力を拡大していく絶好の季節です。
 紅紫色でマメ科特有の蝶の形をした花を咲かせているのはクズ【葛】です。花は花序の下側から順次咲き上がっていきます。盛夏の最も生育が旺盛な時には1日に1メートルほども伸びます。


 巻きひげを伸ばして他の物に取り付いていくのはヤブガラシ【薮枯らし】(ブドウ科)です。花弁は薄緑色で地味な花ですが、花弁が脱落したあとにはオレンジ色の花盤が目立ち、基部から蜜も分泌されるので昆虫たちがよく集まります。


 白い筒形で中心が紅紫色の花を咲かせるのはへクソカズラ【屁糞蔓】(アカネ科)です。可愛い花の割にちょっと気の毒な和名は葉や茎の独特の匂いからついています。花の中央の色からヤイトバナ(ヤイトとはお灸のこと)の別名もあります。


 これまで紹介した種類はツツジなどの低木に取り付いたりして生育や美観を損ねるので園としてはいわば「やっかいもの」扱いですが、「つる植物」の中には実や花で楽しませてくれる種類もあります。


 ハーブ園で鉄製の支柱に取り付いているのはホップ(クワ科)です。道端で見かけるカナムグラと同属で茎に下向きについているトゲで他物に絡んで伸びていきます。乾燥させた雌花はビールの苦みの原料になります。


 展望台で巻きひげで低木に取り付いているのはフウセンカズラ【風船蔓】(ムクロジ科)です。薄緑色の風船(果実)は3室に分かれ、中には黒に白いハート模様がある可愛い種子ができます。


 園南側の外周フェンスでラッパ形のオレンジ色の花を次々に咲かせているのはアメリカノウゼンカズラ【アメリカ凌霄花】(ノウゼンカズラ科)です。茎から出した気根(付着根)でがっしりとフェンスに取り付いています。


 暑さの中たくましく育っている「つる植物」たちをご覧ください。ただし園内を回るときは水分補給をくれぐれもお忘れなく!                                  (解説員)



2019年7月28日日曜日

花から実に・・鮮やかな変身!(2019.7.28)

 
梅雨が明けて植物園に本格的な夏がやってきました。この時期、花を咲かせたあとに特徴的な実をつけて目立っている種類を園内で探してみました。




 展望台エリアで一見ミニトマトのような色の実をつけているのはハマナス【浜梨】(バラ科)です。


 今年は5月20日前後が花の見頃でした。この実は花床が肥大したもので本当の実ではないので偽果(ぎか)と呼ばれます。ビタミンCを多く含み健康食品として利用されるそうです。




 同じく展望台エリアで3稜のある細長い実をつけているのはアガパンサス(ユリ科)です。
 南アフリカを中心に分布している宿根草で、梅雨のジメジメした時期に見た目が爽やかな水色の花を咲かせます。9月頃細長い実が裂けて中から黒い種が現れます。




 モデル庭園でうつむき気味にひっそりと4個の実をつけているのはシロヤマブキ【白山吹】(バラ科)です。この種はバラ科の植物にしては珍しく4数性で(バラ科の多くは5数性)、花弁が4枚、雌しべも4個、今年の花の見頃は4月10日頃でした。
 この実は黒く熟した後なかなか落ちず翌春まで残ることもあります。ちなみによく見かける黄色のヤマブキは花弁は5枚(八重咲もあり)、葉は互生です(シロヤマブキは対生)。




 野草園で緑色の丸い実をつけているのはハマユウ【浜木綿】(ヒガンバナ科)です。厚い葉が似ているのでハマオモト【浜万年青】とも呼ばれます。
 花は花粉を媒介するガの仲間にアピールするように夕方から強く香ります。丸い実の中の種は厚いコルク質で覆われているので海水に浮き、海流により分布域を広げていったと考えられています。




 花が終わったあともさまざまな表情を見せてくれる植物たちをどうぞご覧ください。  (解説員)

2019年7月26日金曜日

ちいさな大発見!? No.48(2019.7.26)みんな,リコリス!

 梅雨が明け,真夏の空の下,温室に向かう香りの路入り口でピンクのユリのような花が咲いています。「ナツズイセン」です。
 清楚なピンクが愛らしい「ナツズイセン」

 名前に‘スイセン’が付いていますが,スイセンの仲間ではなくヒガンバナ科のリコリス属の仲間です。別名を「リコリス」,「ハダカユリ」と言います。ナツズイセンは春に葉を出して,初夏には葉が枯れ,それから花が咲きます。

 次に今週の初めまで咲いていた「キツネノカミソリ」と「オオキツネノカミソリ」を紹介します。
キツネの体色をイメージする「キツネノカミソリ」
「オオキツネノカミソリ」

 この2つの植物の違いは蕊(しべ)の長さです。キツネノカミソリは花びらと同じくらいですが,オオキツネノカミソリは写真のように倍くらいの長さがあり,長く突き出ています。こちらも,リコリスの仲間です。

 他にも,9月以降に咲く「ヒガンバナ」や「ショウキズイセン」などがあります。
「曼殊沙華」の別名もある「ヒガンバナ」
クリーム色もある「シロバナマンジュシャゲ」
花弁の縁が波打つ「ショウキズイセン」

 これらは,すべてヒガンバナ科のリコリス属(ヒガンバナ属)の仲間なのです。

 ところで,今,野草園で「スパイダーリリー」が咲いています。こちらもヒガンバナ科の仲間ではありますが,リコリス属ではなくヒメノカリス属になります。北アメリカ原産で,クモの足のような花弁が特徴です。
「スパイダーリリー」と言っても花弁は6枚!
【解説員K】

2019年7月18日木曜日

ちいさな大発見!? No.47(2019.7.18)ハイビスカスの仲間たち!

 アオイ科フヨウ属の総称を「ハイビスカス」と言います。これらに共通しているのは,
 ・1日花であること
 ・5弁花であること
 ・花の中心には多数の雄しべがくっついて筒状になり、その先っぽに雌しべが突き出ていることです。

 それでは,アオイ科フヨウ属の花たちを紹介します。
 先ず,温室に入ると,ハワイ諸島や熱帯・亜熱帯地方原産のハイビスカス(写真①)がところせましと咲いています。花色も赤やピンク,黄色,オレンジ,白,大きさも6~15cmくらいと多種多様です。
  
写真① 南国の花,ハイビスカス

 同じく,東アフリカ原産のフウリンブッソウゲ(写真②)を紹介します。花が下向きに長い柄で垂れ下がる様子から'風鈴のようなハイビスカス'という名前が付けられています。こちらは1日花ではなく,数日咲きます。
 
写真② 深い切れ込みがあり、後ろに反り返るフウリンブッソウゲ

 次は福岡市の花にも指定されているフヨウ(写真③)です。園入り口で迎えてくれます。また,フヨウの園芸品種で開花と共に白からピンクに変化する八重咲きのスイフヨウも(写真④)あります。写真は昨年の9月23日に撮ったものです。
写真③ 中国原産のフヨウ 
写真④ 「酔った芙蓉」と書いてスイフヨウ

 次はバラ園南で見ることができる「ムクゲ」です。写真⑤ 白花も咲いていますよ。
写真⑤ 中国原産で韓国の国花だそうです!

 それでは,今,植物園で最も元気な植物を2つ紹介します。
 1つめは日本原産で海岸近くに自生する塩生植物のハマボウ(写真⑥)です。
写真⑥ 花弁がスクリュー状に並ぶハマボウ

 2つめが写真⑦のアメリカフヨウです。ハーブ園や温室入り口で20cm近い大輪の花を咲かせています。北アメリカ原産ですが,こちらは草本の宿根草になります。 
写真⑦ 丸い1枚の花弁に見えますが,5弁花です! 

 さらに野草園では,同じく北アメリカ原産のモミジアオイ(写真⑧)が咲き始めました。アメリカフヨウに比べ,花弁がやや細くすきまがあります。こちらも草本です。
写真⑧ モミジの葉に似たモミジアオイ

 また,アメリカフヨウとモミジアオイを交配してできたタイタンビカスの開花が待たれます。他にもハーブ園で9月中旬に咲くローゼルやケナフなどもフヨウ属の仲間です。
 毎日,蒸し暑い日が続いていますが,きれいな花を見に来ませんか。
【解説員K】