2020年1月16日木曜日

俳句の展示作品入れ替えました(2020年1月16日)

昨年12月26日に野草園の休憩所内に展示している俳句の作品を入れ替えました。
その中からいくつかの作品をご紹介します。
(展示スペースの都合上,すべての作品を展示することはできませんので,どうぞご了承ください。)

 “バスを待つコート襟立て息白し” 晴
(バスをまつコートえりたていきしろし)

“讃美歌に突き上げられし冬の空” 晴
(さんびかにつきあげられしふゆのそら)



12月も多くの作品を投稿していただきましたが,その中でも一番投句数が多かったのが晴さんでした。
晴さんには毎月同じくらいたくさんの作品を投稿していただいています。
今年もたくさんの素敵な作品をお待ちしていますね!

“さむいふゆあったかいもの食べたいな” りお


子どもさんの作品だと思いますが,冬の寒さと素直な気持ちが率直に伝わってきますね!

寒さを詠んだ句ですが,今年は例年と比べるとずいぶんと暖かい日が続きました。
当園でも,早くから「ニホンズイセン」は早くから開花し暖冬を感じさせていました。また,今剪定をしていますが,冬のバラも例年よりずっときれいに咲いていて,来園者の方に長く楽しんでいただけました。

今年に限らずここ数年,植物の開花が早くなる傾向にあるようです。
それでも冬は冬,手洗いやうがいをして風邪をひかないよう,みなさん気を付けてくださいね。

その他にも,子どもさんの作品と思われる句がありました。

“こうようだみどりがあってきれいだね” ゆあ
“カバをみた水にはいってたのしそう” ゆき
“とららいおんどんぐりみつけたどうぶつえん” 中川蓮人




感じたことを素直に表現した心が和む句が多く,俳句指導の松尾先生も「今月は子どもが健闘している」と評価されていました。
また,12月は落ち葉を使った作品も多くみられました。

“朴落葉踏んで大地に沈みゆく” 美知子
(ほおおちばふんでだいちにしずみゆく)



当園では12月中旬まで芝生広場におちばのプールを設置していました。
たくさんの子どもたちがふかふかの落葉を踏んだり巻き上げたりして遊び,大好評でした。
いっぱい遊んだ後は靴やポケットの中に落葉が入って,取り出すのが大変だったのではないでしょうか?(笑)

最後に焚火に関する作品を一つ。

“ジャンパーが煙たいごほほ焚火跡” とも
(ジャンパーがけむたいごほほたきびあと)



近頃は目にする機会の少なくなった焚火ですが,当園では,芝生広場にて「焚火の時間」を開催しています。
焚火を楽しむとともに,焼き芋や焼きマシュマロ体験もできるイベントです。

「あったかい!」「けむたい!」と大人も子供もそれぞれに焚火を楽しまれている様子。
2月末までの日祝日に開催(雨天中止)していますので,ご来園の際は,ぜひお立ち寄りくださいね。

俳句の展示は,当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており,約1か月おきに入れ替えをしています。
投句は,野草園休憩所(俳句展示スペース)と緑の情報館1階のポストで受け付けています。
初心者の方も大歓迎ですので,ぜひ挑戦してみてくださいね。
皆さんのたくさんのご投句お待ちしています!

*今回展示している俳句の一覧です。

 

2020年1月13日月曜日

ちいさな大発見!? No.61(2020.1.13)可憐な花が・・・

 針葉樹園花壇で同じ仲間とは思えない2種類のエリカ(ツツジ科エリカ属)が咲いています。
 1つはジャノメエリカです。樹高は1.5m程あります。釣鐘型(ベル型)のピンクの花を無数に咲かせ,株全体がピンク色に見えるほどです。
長い雌しべと,黒い雄しべの葯が目立ちます!

 もう1つは樹高0.3m程のエリカ・ケリントイデスです。長さ3㎝程のピンクの筒状花が、茎の先っぽから垂れ下がるように咲いています。
白やオレンジ色もあります!

 ところが,情報館入り口で最近開花した鉢植えのエリカ・セッシリフローラです。一見するとサボテンのように見えていたのですが,新しい穂の先端からクリーム色の筒状花が咲いて,セッシリフローラと分かった次第です。
 
花の姿がとてもユニークです!

 一般にエリカはツツジ科で700種類以上存在し,ヨーロッパ原産種以外では全体の90%以上が南アフリカ原産です。別名をヒースと言いますが,ヒースは英語で荒地を意味し,エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」に出てくるイギリス北部にあるヨークシャー地方の荒地に咲く植物でもあります。 
 また,エリカは,ヨーロッパでは燃料や屋根ふきの材料,家畜の寝わらなど,生活に欠かせない植物となっています。
 植物園で現在見ることができるエリカは3種類ですが,すべて南アフリカ原産です。
 植物園にお出での際は是非見てください。
【解説員K】

2020年1月2日木曜日

ちいさな大発見!? No.60(2020.1.2)新春にふさわしい・・・?

 新年あけましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願いします。

 朝,園内を廻っていると,「もう梅の花が咲いていましたね。」と,一人の来園者の方から声をかけられました。
 早速,見に行くと,他のウメたちはまだ小さな蕾をつけているだけですが,本種は新年の到来を待っていたかのように上品で清楚な花を10輪ほど咲かせていました。
顔を近づけると,ほのかに梅の香りが・・・

 名前は「雪月花」という野梅系で早咲きの園芸種です。
 皆さんご存知のように梅には花ウメと実ウメがあります。そして,花ウメは野梅系、紅梅系、豊後系の大きく3系統あり,さらに野梅系のウメは野梅性,紅筆性,難波性,青軸性の4つに分類されます。
 雪月花は野梅性の特徴を持ち,原種に近い白色で一重咲きの大輪です。これから,順次,開花が進んでいきます。
 場所は野草園西側の休憩所の正面です。
 植物園にお出かけの際は,是非,お立寄りください。
【解説員K】

子年にちなんだ植物(2020.1.2)



2020年の干支は子(ねずみ)。例年どおり干支にちなんだ植物を紹介します。(トップの写真はねずみの仲間のモルモットです・・福岡市動物園提供)


 まずご紹介するのはトウネズミモチ【唐鼠黐】(モクセイ科)です。和名は、黒くてコロコロしている果実がネズミの糞に似ていることと、葉がモチノキに似ていることから名付けられています。中国原産の常緑樹で、我が国には明治初期に渡来しています。
 当園では、入口広場入って左側の動物園への連絡路脇で見ることができます。


 花は6~7月ごろ、円錐花序に白い小花を多数つけます。
この種は、耐陰性、耐潮性があり大気汚染にも強いことから、高度成長期には緑化木として多用されましたが、あまりに繁殖力が強く在来種のネズミモチと競合するなどの影響があることから、現在では外来生物法で「要注意外来生物」に指定されています。

 次にご紹介するのはネズミムギ【鼠麦】(イネ科)です。ヨーロッパ原産で、イタリアンライグラスと呼ばれて明治時代に牧草として渡来、法面(のりめん)の緑化用としても利用されて野生化し、現在では北海道から九州までの各地の道端などで普通に見られます。
 和名は、ヒゲ(植物的には芒(のぎ)と呼ばれる)が出ている穂の形から名付けられたものでしょうか?

 このネズミムギを牧草として利用しているということで、南区にあるも~も~らんど油山牧場で生育状況を見せてもらいました。


 ロープが張ってある場所が牧草地で、11月頃に種子をまいたそうです。


 現在5~6cmぐらいに生育していますが、翌年5月の連休頃1mぐらいに伸びたものを刈り取るそうです。



 刈り取ったあとはロールの状態で保存して、1年中牛たちの餌として利用されています。


 日当たりの良い肥沃な土地を好んで繁殖力が旺盛なため、牧草や緑化材としては有用な植物ですが、在来植物への生育阻害が懸念され、また花粉症の原因ともなるため、この種もトウネズミモチと同じく「要注意外来生物」に指定されています。




 新年1月2日からは、緑の情報館1階で干支にちなんだ植物や新春にふさわしい「千両」や「金の成る木」など縁起の良い植物を紹介する「新春植物展」を開催しています。
 2020年子年新春にどうぞご覧ください。                      (解説員)

2019年12月22日日曜日

ちいさな大発見!? No.59(2019.12.25)トトロもびっくり?

 温室にあるランの小庭では、今、巨大な葉をもつ中国、台湾原産のカミヤツデに、たくさんの球状の花(写真①)を見ることができます。
 
写真① 綿毛のような花?

 みなさんはヤツデをご存知でしょうか。
 私が子どもの頃、竹で紙鉄砲を作り、湿らした紙の玉の代わりにヤツデの実を詰めて飛ばしていたのを覚えています。
 それはさておき、カミヤツデはヤツデと同じウコギ科(属は別)の植物ですが、何といっても驚かされるのが葉(写真②)の大きさです。ヤツデの2倍以上はありそうです。
 
写真② 葉には深い切れ込みが!

 植物園にあるカミヤツデは、木の高さは3m弱ですが、幹の先っぽの方には薄い茶色の放射状に伸びた星状毛(写真③)がびっしりと付いています。
 
写真③ 毛皮のコートを着ているよう!

 そこから、1m近くありそうな葉柄が伸び、その先には大きいもので直径が約90cmもある葉が付いています。
 さらに、葉柄の上部からクリーム色の毛に覆われた花軸が70~80cm伸び、さらに枝分かれした花軸にビッシリと球状の花(写真④)が付いています。
 
写真④ 触れると、花粉が!

 球状の花といっても、よく見てみると、1つの球状の花には、花弁が4枚で、雄しべが4本、そして、雌しべは何と2本ある小花の集合体(写真⑤)です。
写真⑤ たくさんの雄しべが目立ちます!

 少し下がって全体を見ると、枝がまったくなく、主木(幹)から葉柄も花軸も伸びています。
 名前の由来ですが、かつては紙の原料として使われていたことによるそうです。しかし、現在では利用されることもなくなり、地下茎で子株を増やし、さらに鳥等によって種が運ばれるため、管理されていない山間部などでは増加傾向にあるそうです。
 カミヤツデが群生すると、葉が大きいため地面に光が差し込まなくなり、林床に生えるような植物が光合成できずに枯れてしまう問題があるそうです。

 場所は温室正面入り口から入り、ヴーゲンビリアが咲いている回廊温室の奥ですよ。
【解説員K】

2019年12月13日金曜日

ちいさな大発見!? No.58(2019.12.13)本当にサザンカ?

 花が少なくなったこの時季,色とりどりのサザンカが周囲を華やかにしてくれています。
 一口に,サザンカと言っても300種類以上の園芸品種があり,開花時期や花の形から大きく3つのグループに分けられます。
 1つは,サザンカの自生種がベースになっているサザンカ群,もう1つは獅子頭がベースになっているカンツバキ群,そしてサザンカと主にヤブツバキとの交雑によって生まれたハルサザンカ群です。
 本園ではサザンカ群は4種(金花山,根岸紅,花自慢,有希),カンツバキ群は7種(勘次郎,獅子頭,朝倉,富士の峰,皇玉,乙女サザンカ,新乙女),ハルサザンカ群は5種(笑顔,梅ヶ香,旭,宝塚,飛竜)を見ることができます。

 さて,郷土樹木園を右手に見ながら歩いていると,ちょうど頭の上に八重咲の「サザンカ笑顔」が大輪の花を咲かせています。(写真①)
(写真①)ピンクの花弁が愛らしい「サザンカ笑顔」

 ふと足元に目をやると,すでにいくつかの花弁が落ちていました。(写真②)
 みなさん,この写真を見て何か変だと思いませんか。
写真② ツバキのように花首からポトリと・・・?

 普通,サザンカの花は写真③のように,花弁を1枚ずつ散らして落ちていきます。花首から落ちるのは,正にツバキそのままです。
 
写真③ 普通のサザンカの散り方

 ではなぜ写真②のような散り方をするのでしょうか。
 サザンカ笑顔はハルサザンカ群に属し,ヤブツバキに近い性質をもっているようです。ですから,本種も花弁とおしべが基部でゆるく繋がっており,写真②のような散り方をしていたのです。
 それではハルサザンカ群のサザンカたちがみんなそのような散り方をするのでしょうか。
写真④ 1枚ずつ散っている「サザンカ梅ヶ香」

 すると,写真④のようにハルサザンカ群を含めた15種のサザンカは,ほとんどが1枚ずつ花弁を散らせ,花首から散るのは「笑顔」だけでしたよ。
 ハルサザンカ群の園芸種たちは,交雑を繰り返してきた歴史があるので,よりサザンカに近い種とツバキに近い種があり,同じ仲間とは言え,かなり幅があるようです。ですから「笑顔」は,よりツバキ系に近い性質を持っているのでしょう。

 そして,花弁とおしべが散った跡には,ツバキと同様に複数枚のガクと子房から伸びた1本のめしべだけが残り,その先っぽは写真⑤のように3つに分かれていました。
写真⑤ 雌しべの先が3つに!

 1つの植物をじっくり観察するのも面白いですね。
【解説員K】

2019年12月11日水曜日

宿存萼(しゅくぞんがく)の話(2019.12.11)




 前回「ハーブ園の果実」ブログでゲットウの実を取り上げて、その特徴として「頭にチョ
コンと宿存萼がついている」と説明したところ、「宿存萼」がわかりにくいとの質問をいた
だきました。そこで【しゅくぞんがく:花が枯れ落ちたあとも残っている萼】という説明を
追加しましたが、あらためて「宿存萼」のことを取り上げてみたいと思います。
 そもそも「萼(がく)」とはなにか?シンプルな説明では「花の最も外側にあって、つぼ
みのときは花の内側を保護するもの」と書かれています。
 最初の写真はゲットウの花が終わった直後の状態です。花は茶色になって枯れ落ちます
が、あとに筒状の萼がしっかりと残っているのがわかります。実が成長しても萼がそのまま
残っている状態が次の写真です。



 同じように実の頭に残った萼が目立つものとして、ハマナス(バラ科)とクチナシ(アカ
ネ科)の例をご覧ください。



 なお、果実が実ったあと果柄(果実を支える柄)側に残った萼は蔕(へた)と呼ばれます。
ロウヤガキのへた
タマゴナスのへた

 また、果実が熟す頃に果柄側に残った萼が色づいて、鳥などに果実の存在をアピールする
役割を果たすものもあります。

クサギ(クマツヅラ科)
オクナ・セルラタ(オクナ科)

 オクナ・セルラタは「ミッキーマウスの木」とも呼ばれて親しまれています。

 最後に、残った萼が花期後に成長して果実を包み込むタイプのものを紹介します。

 夏の風物詩として親しまれているホオズキ(ナス科)です。次の写真は以前観察会用に袋
をはずして撮影したものですが、萼が果実を包み込んでいる状態がわかります。

 萼が果実を包み込むものとしては、実は前回ブログで紹介したローゼルも同様です。

 あらためて調べてみると「宿存萼」にはいろいろな形や役割があることがわかりました
が、他にもいろいろなタイプがあるようです。
 植物にはまだまだ不思議がいっぱいです。                    (解説員)