2020年4月4日土曜日

秋でもないのに・・春の紅葉(2020.4.4)



 サクラをはじめ花が次々に咲いてまさに春爛漫の園内ですが、庭木園の一角ではモミジが紅葉しています。普通紅葉といえば秋なのでちょっと不思議な光景です。
 実は、このモミジはイロハモミジの一つ「静崖(せいがい)」という品種で、鮮やかな紅色の若葉が特徴です。この若葉は、生長につれて徐々に緑色に変わっていきます。そして、秋になったら他のモミジ類と同じように紅葉するので、1年で2回紅葉が楽しめます。


 庭木園には他にも鮮やかな若葉が楽しめるイロハモミジがあり、こちらはやや紅色が濃い「出猩々(でしょうじょう)」という品種です。古来より、モミジの中でも特に若葉の紅色が美しい種類を「春もみじ」と呼んでいます。
 ところで、秋の紅葉はアントシアニンという赤い色の色素が葉の中に蓄積されることによって色が変化します。「春もみじ」も秋と同じくアントシアニンによって紅葉しますが、この時期のアントシアニンの役割としては、若くてまだ柔らかい組織を強い紫外線から防いでいるという説があります。葉が生長するにつれて紫外線を防ぐアントシアニンが不要になって、緑色に変わっていきます。

 「春もみじ」と同じように、若葉が紅色で後に緑色に変わるものとしてチャンチン【香椿】(センダン科)もあります。福岡市内では街路樹にも使われているのでご存知の方もおられると思いますが、当園では「香りの道」で見ることができます。


 また皆さんの身近なところでは、住宅の生け垣に植えられているベニカナメモチ(園芸品種名レッドロビン)(バラ科)の紅色が、この時期よく目につくと思います。


 このような春の紅葉ですが、葉が生長していくにつれて刻々と普通の緑色に変わっていきます。春先の限られた間に見られる、木々たちの若葉を守るための工夫をどうぞお見逃しなく!                                                                                                                                                                                 (解説員)

2020年4月3日金曜日

『ステージガーデンからこんにちは!』Vol.2 ~主役オーディション~(2020.4.3)




「個性豊かなキャスト(植物)が,それぞれの役割を演じながら,時の変化とともに風景というストーリーを紡ぎだす。」
そんなガーデンを目指し,ステージガーデンの春の主役としたのはラナンキュラス“ラックス”です。


ラナンキュラス(Ranunculus asiaticus)はキンポウゲ科・キンポウゲ属に分類される球根植物です。
従来のラナンキュラスは夏の加湿に弱く,花後に球根を掘り上げますが,品種改良されたこのラックスシリーズは,土に植えたまま夏・冬を越せるとのことでした。

そこで,2019年春にオーディション(生育過程の確認)として,数株入手し,寄せ植えとして展示しました。(寄せ植えの写真は撮り忘れました。)

5月に花が終わると,木陰になる場所に球根を植え替え,冬場に無事葉が出てきたことを確認! 葉がついた状態で園内の花壇に植え替えました。
夏・冬を越えてぐんと株が成長した現在の写真はこちらです。



「このパフォーマンスを多くの方に見て欲しい!」
結果を受けて2020年冬,ステージガーデンに100株のラナンキュラス・ラックスを植栽しました。今年は植えたままでの夏・冬越しに挑戦したいと考えています。



ところで,こちらはラナンキュラス・ラックスの球根の写真。
塊根(かいこん)と呼ばれるタコの足のような形の球根です。
球根から子球が出ています!



厳しい季節を地中で乗り切る植物の力。知恵と労力をかけ品種改良をする人間の力。今,世界中で大変な状況にありますが,植物たちの姿を見ると力をもらいます。

キラキラした花びらが特徴です。ラナンキュラス+ワックス=ラックスというのが名前の由来とか。



背が高いため,パンジーやアリッサムなど春の定番の花と合わせても変化がつきます。薄いピンク,濃いピンク,黄色やオレンジなど種類も豊富です。



茎が長く,風に揺れる姿,茎の間から背面の植物が見え隠れするのも良いですね。
球根1個で咲かせる花数は驚くほどたくさんで,なるべく花が散る前に切り戻していますが,今でも次々に蕾がついています。

実は,このラックスは九州宮崎の綾町で品種改良された花です。
福岡市植物園と同じ,都市緑化植物園フローランテ宮崎さんのHPでは動画でラックスガーデンの様子も紹介されています。大株のラックスが見事です。
ブログ「ステージガーデンからこんにちは!」では,個性あふれるキャスト(ステージガーデンの植物たち)の変化の様子や,お手入れの様子をお伝えします。
「私も一花育ててみようかな」という植物との出会いにつながりますように!
                        
          【植物展示係S】


2020年4月1日水曜日

ちょっと気になる路傍の花たちNo.31(2020.4.1)園内の雑草たちPart.3

 前号,前前号からの続きです。
 先ずは路傍の花No.29で紹介した「ホトケノザ」の白花を見つけましたよ。
(こちらは園外です)
割と珍しい「シロバナホトケノザ」

 さて、バラ科キイチゴ属の「クサイチゴ」を紹介します。名前から草本と間違いやすいですが,立派な落葉小低木です。野イチゴの代表格で,黄色い花が咲くヘビイチゴと違って食べることができます。
立派な樹木ですよ!

 ついでに「ヘビイチゴ」も紹介します。共にバラ科ですが,キジムシロ属になり,クサイチゴとは別属です。毒性はなく,ただ食べてもおいしくありません。花弁の間からガクが見えています。
毒性もないのに,別名「ドクイチゴ」 
少し大形の「ヤブヘビイチゴ」

 それから,園内でシソ科の「キランソウ」を見つけました。地面に広がったロゼッタ状の葉が目立ちます。
別名が「ジゴクノカマノフタ」すごい!

 そして,園内ではありませんが,前から気になっていた植物です。
 ヨーロッパ原産でナデシコ科の「シロバナマンテマ」です。全体に毛が多く,5弁花を一方に偏ってつける特徴があります。
壺状のガクに赤い線が入る

 次は田の畦道などでよく見かけるゴマノハグサ科の「ムラサキサギゴケ」です。水生植物園ではは今,「シロバナサギゴケ」を見ることができますよ。
よく群生しています! 
ちょっと上品な「シロバナサギゴケ」

 次はイグサ科の「スズメノヤリ」です。普通に空き地などで繁茂していますが,小さくて目立ちません。種にエライオソームをつけるアリ散布植物になります。
大名行列で使った毛槍に似ていることから命名

 最後はキク科の「ハハコグサ」です。言うまでもなく,春の七草の1つ,「ゴギョウ」のことです。
茎の先に黄色の小さな頭花が多数

 そこで,「チチコグサ」を探したのですが,「チチコグサモドキ」と「ウラジロチチコグサ」を見つけましたが,写真は省略します。
 コロナ対策で家にいることが多いかと思いますが,近所の空き地や原っぱに野草図鑑を手に散策してみませんか。
      【解説員K】

2020年3月30日月曜日

ステージガーデンからこんにちは! No.1 (2020.3.30)


『個性豊かなキャスト(植物)が,それぞれの役割を演じながら,時の流れに乗って風景というストーリーを紡ぎだす。』
そんなガーデンを目指して,展望台カフェ前の花壇に2020年1月下旬,苗を植えました。
1月28日 小雨降る寒い中での作業でした


2月11日(火・祝)には,通りがかったお客様にお声掛けして,ご希望された方に芽出しチューリップを植え付けていただきました。

チューリップはピンク、白、赤の順に人気でした!
言葉のキャッチボールが弾みます
「大きくなあれ」と思いを込めて

初めて植物を植えるという小さな子どもさんや、「学校で植えたよ!」とてきぱきと苗を扱う男の子。

ご家族で会話を楽しみながら、植えられたチューリップも花開き,ステージガーデンは第1幕のクライマックスを迎えています
3月23日の様子

3月29日の様子


ブログ「ステージガーデンからこんにちは!」では,個性あふれるキャスト(ステージガーデンの植物たち)の変化の様子や,お手入れの様子をお伝えします。
「私も一花育ててみようかな。」という、植物との出会いにつながりますように!
                          【植物展示係S】

2020年3月27日金曜日

ちいさな大発見!? No.70(2020.3.27)世界3大花木の1つが…?

 コロナ対策による温室閉鎖がとかれるや否や,大温室で世界3大花木の1つとされる西アフリカ原産でノウゼンカズラ科の「カエンボク(火焔木)」の花が咲きました。
かぎ爪のようなツボミ!

 花がチューリップのように見えることから,英名を「アフリカン・チューリップ・ツリー」と言い,現地では高さが20mを超える常緑の高木です。ノウゼンカズラ科と言っても,つる性ではありません。そう言へば花の感じが「ユリノキ」に少し似ているような気がします。

 大温室では,すでに天井まで到達し,緑色の肉厚な複葉の間から鮮やかなオレンジ色の花を咲かせています。少しオーバーな言い方ですが,灯りを灯した松明のように見えなくもありません。
肉眼だとこんな感じで見えるかな?

 さて,「カエンボク」はハチドリなどの吸蜜植物でもありますが,その反面,世界の侵略的外来種にも指定されています。樹勢が相当強いようです。

 観賞スポットは2階に上がって一番奥からみるのがおすすめです。

【解説員K】

2020年3月24日火曜日

風に揺れる黄色いすだれ~ナンバンキブシ(2020.3.24)






 展望台の一角で、淡い黄色のすだれのようなものが春風に吹かれて揺れています。釣鐘型の小さな花が総状について垂れ下がっているナンバンキブシ【南蛮木五倍子】(キブシ科)です。関東以西の海岸近くに多く分布しており、春先の花の少ない時期に一面に花序が垂れるので良く目立ちます。早春を代表する花の一つで、その形や色から「黄色の暖簾(のれん)」、「金色の鎖」、「花かんざし」などとも例えられています。


 小さな花を観察すると、4枚の花弁と同じく4枚の萼片がかわら状に重なっています。
 雌雄異株で当園のものは雌木のようですが、1株だけですので結実は見られません。


 この時期、ナンバンキブシと同様に花を下向きにつける種類を園内で探してみると、あちこちでアセビ【馬酔木】(ツツジ科)とトサミズキ【土佐水木】(マンサク科)が見つかります。
アセビ
トサミズキ


 野草園にも下向きの花が咲いています。スノーフレーク(ヒガンバナ科)とオキナグサ【翁草】(キンポウゲ科)です。

スノーフレーク
オキナグサ


 植物の花の形は、花粉を運んでくれる昆虫たちと切っても切れない関係がありますが、このような下向きの花にはどんな虫たちが寄ってくるのか興味がわきます。


 春がいっぱいの園内でいろいろな花を見つけてください。                    (解説員)

2020年3月21日土曜日

ちょっと気になる路傍の花たちNo.30(2020.3.21)園内の雑草たちPart.2

 前号からの続きです。
 先ずは野草の定番,「オオイヌノフグリ」です。漢字では「大犬の陰嚢」と書きますから,意味はおわかり(?)だと思います。虫が飛び交う15℃くらいを目安に開花し,蜜で虫を誘引します。また,虫がいなくても自家受粉で種をつけるという強者(?)です。「雑草という植物はない」という言葉を残された牧野富太郎先生が名前を付けたそうです。お酒でも飲んでいたのでしょうか。
名前とのギャップが・・・?

 次はフウロソウ科の「アメリカフウロ」です。ゲンノショウコの葉とよく似ているなぁと思って調べてみると,同じ仲間でしたよ。ジャガイモやトマトの青枯病対策に有効な成分があるということで最近,注目されているそうです。
秋には紅葉しますよ!

 バラ園南花壇ではヨーロッパ原産の「ヒメオドリコソウ」が群生していました。No.29で紹介したホトケノザに似ていますが,これもムラサキケマン同様,種にエライオソームをつけ,アリに運んでもらうアリ散布植物の1つです。
半日陰では葉は緑色に!

 次はマメ科の「ヤハズエンドウ」です。「カラスノエンドウ」と言った方がよくわかるかと思います。葉の先っぽから巻きひげを伸ばし,隣の草木にからみついていきます。
茎は四角柱です!

 次はアブラナ科の「ミチタネツケバナ」です。花が終わると,実(長角果)が上に伸び,熟す頃になると,人や動物が触れることでパチパチとはじけ飛びます。
細長い鞘が長角果です!

 その隣で咲いていたムラサキ科の「タビラコ」,別名を「キュウリグサ」と言います。キク科の「タビラコ」は「コオニタビラコ」,つまり春の七草の1つである「ホトケノザ」のことで,混同してしまいますね。ですから,少しだけキュウリの匂いがしたことから「キュウリグサ」と付けたのかな。
あまり,キュウリの匂いは???

 ここからは少しだけ大きな植物を紹介します。キク科の「オニタビラコ」です。ロゼット状に広がった葉から花茎をまっすぐに伸びし,タンポポよりも小さな黄色い舌状花をたくさん咲かせます。ちなみに名前の「オニ」は大きなという意味であり,「タビラコ」はキュウリグサで述べたように春の七草の「ホトケノザ」のことです。ですから,大きなホトケノザの花ということになります。
タンポポのような冠毛で,風で運ばれます!

 そして,キク科の「ノゲシ」,別名を「ハルノノゲシ」と言います。葉柄がなく,茎を抱くように葉がつき,触ってもいたくありません。近縁種に「オニノゲシ」がありますが,こりらは葉のギザギザ(鋸歯)が荒く,触れると痛いです。
花弁の1枚1枚にあるおしべとめしべ!

 最後はキク科の「ハルジオン」,漢字では「春紫苑」と書きます。とても良く似ている植物に「ヒメジョオン」,漢字では「姫女苑」があります。「ヒメジオン」と発音し,よく間違います。「ハルジオン」の方が開花が少し早く,花弁がやや長め,葉が茎を抱き,茎はストロー状になっています。
環境省の要注意外来生物に指定!

 4月からの講座も開催が決まりました。
 園をあげて新型コロナウイルスの感染予防対策に取り組みますので,どうぞ植物園に足を運んでください。
      【解説員K】