2020年8月8日土曜日

独特な形の雄花と雌花~ソテツ(2020.8.8)


 暦の上では立秋を過ぎましたが、連日うだるような暑さが続いています。園内の植物は全体的にバテ気味の様子ですが、暑さにもめげず濃い緑色の羽状葉をびっしりと繁らせて、たくましい存在感を示しているのが温室前のソテツ【蘇鉄】です。九州から南西諸島にかけて自生が見られ、幹の先端部分に葉を広げる特徴的な姿は、暑い南国の雰囲気を感じさせます。
雄花
 ソテツは、イチョウやマツなどと同じ「裸子植物」です。裸子植物とは、胚珠(はいしゅ;成長して種子になる)がむき出しになっているもので、現在生きている植物の中では、イチョウと並んで最も原始的なものの一つとされています。雌雄異株で、幹の頂部に独特な雄花・雌花をつけます。
温室前では通路を挟んで左右に植栽されており、温室に向かって左側が雄株、右側が雌株です。
雌花
 雄花は、円柱状で表面は鱗(うろこ)で覆われたようになります。その形は「松ぼっくりを長く引き伸ばしたようなもの」とよく説明されますが、雄花が出てきて間もない姿を見てみると、その意味がよくわかります。
7月初めの雄花
 雌花は、幹の頂部に折り重なってドーム状に膨らんだ形になりますが、秋には種子が成熟してオレンジに色づきます。
オレンジ色の種子
 この種子は有毒ですが、澱粉質も多く十分な処理をすれば食用になるので、かつて南西諸島などでは飢饉の際の救荒食物とされたとの伝承があります。

 学名は「Cycas revolute」で、属名シカスは「ヤシに似た植物」、種小名リヴォルタは「反巻した」という意味から付けられており、種小名は出たばかりの若い葉を見ると、その意味がよくわかります。
 ちなみに和名の「蘇鉄」の由来とは、枯れかかった時に幹に鉄クギを打ち込むと元気によみがえるとの伝承によるといわれています。

 ソテツを観察する時には、葉先が鋭く尖っていて刺さると痛いのでご注意ください。
(解説員)


2020年7月30日木曜日

ちいさな大発見No.96(2020.7.30)No.95の回答です!

 前号では9種類の花後の結実した写真をアップし,花の名前を問うクイズ形式で行いました。今号では開花の写真を提示し,花の名前をお知らせします。

① 言うまでもなく,中南米原産でノウゼンカズラ科のジャカランダです。キリの花に似ているので,キリモドキの別名もあります。 
6月4日撮影

② エゴノキ科のハクウンボク(白雲木)です。丸い大きな葉と,葉柄の中に来年の冬芽をつくる葉柄内芽という特徴をもっています。 
5月5日撮影

③ スイカズラ科ガマズミ属のゴモジュです。葉を噛んでみると,本当にゴマの香りがします。
4月7日撮影

④ センダン科のセンダン(栴檀)です。ことわざに「栴檀は双葉より芳し」とありますが,本種のことではなく,別種のビャクダン(白檀)のことです。 
5月12日撮影

⑤ ノウゼンカズラ科のネコノツメです。別名は「トラノツメ」だそうで,それくらい,鋭い爪をもっているということでしょうか。 
5月5日撮影

⑥ ムクロジ科のモクゲンジです。センダンの葉によく似て,硬い種子は数珠に利用され寺院にもよく植えられたことから、別名をセンダンバボダイジュと言います。菩提樹の木とはまったくちがうのですが。 
6月20日撮影

⑦ バラ科のハマナス(浜茄子),ハマナシ(浜梨)とも言います。これは牧野富太郎博士が東北で採取した際,現地の人がハマナシのつもりで言った言葉がハマナスと訛って聞いた言葉を,そのまま採用したと言われています。ちなみに,実はローズヒップとして食用になります。 
5月1日撮影

⑧ ツバキ科のヤブツバキです。日本固有種で古くから茶花として利用されてきました。また,この種子からは良質の油が採れ、かつては食用、整髪用、薬用、工業用に使われていました。
4月7日撮影

⑨ ブルニア科ベルゼリア属のバーゼリアです。とても香りがよいので,ドライフラワーにも最適ですよ。 
5月5日撮影
【解説員K】

2020年7月28日火曜日

ちいさな大発見No.95(2020.7.28)花のその後?

 早春の頃から美しい花を咲かせた植物たちは今,どうなっているのでしょうか。今号では受粉し結実した今の様子を写真で紹介しますので,どの植物の実か考えてください。答えはNo.96で開花時の写真を添えて紹介します。

 Q1 温室前の高木ではたくさんの花を咲かせたのですが,こちらはドワーフタイプ(矮性種)でしたので,割と低い位置でたくさんの花を見ることができました。世界3大花木の一つです。

 Q2 エゴノキの仲間で別名を大葉萵苣(オオバヂシャ)と言います。萵苣の木はエゴノキのことで,大きな葉をもったエゴノキということになります。ちなみに,萵苣(チシャ)はレタスのことです。 

 Q3 葉をもむと胡麻(ゴマ)のようなニオイがすることから胡麻樹となり,それが訛って名前がついたそうです。 

 Q4 5~6月にかけて白と淡紫色の小さな花をたくさん咲かせますが、チョコレートやバニラのような甘い香りを放ちます。10mを超える高木でこのような香りを発する木は珍しいようです。 

 Q5 メキシコからアルゼンチンにかけて自生するつる性植物で,3枚ある小葉のうちの1枚が爪状に3つに分かれ,他の樹木や壁に引っ掛けながらよじ登っていきます。 

 Q6 黄色い小花を円錐状の花序にたくさん咲かせ,ミツバチたちの蜜源植物となっています。また,花の散る様子を金色の雨に例えてGolden rain treeという英名が付いています。 

 Q7 一見すると,ミニトマトのような実で,そのまま食べることができます。ワイルド〇〇〇という原種にできる実を〇〇〇ヒップと言い,正にビタミンの宝庫です。お茶やジャムにして食べることができます。 

 Q8 おいしそうですね。熟すと3つに分かれて,中にはおよそ3つの種が入っています。この種から採れる植物油は保湿成分が高く,女性に大変愛されたそうです。 

 Q9 最後はちょっとむずかしい問題です。南アフリカ原産の常緑の低木で,高さはわずか20~30cmほどです。針葉樹に似た短い葉を枝にびっしりとつけ、 枝先に球状の白い花をつけます。球状に見えるものは実です。やがて,熟して黒くなっていきます。晩秋には枝先に球状の蕾がつき,そのまま冬を迎え,4月末に花が咲きます。 
【解説員K】

2020年7月25日土曜日

ちいさな大発見No.94(2020.7.25)ユリの仲間!

 今,植物園ではカノコユリやカサブランカなどのユリが咲いています。春以降に咲いたユリの仲間も含め紹介します。
 まず,郷土樹木園ではカノコユリが咲いています。漢字では鹿の子百合と書きます。日本固有種で花弁にバンビ柄の斑紋が入るのが特徴です。ちなみにカノコユリは宗像市の花に指定されているそうです。
1本の雌しべに6本の雄しべ
真っ白いシロカノコユリ

 ところで,江戸期に活躍し,日本近代医学の父と言われたシーボルトは日本固有の多くの植物をヨーロッパに持ち出しています。その中にヤマユリやタモトユリ,カノコユリなどもあり,それらを元に品種改良され誕生したのが百合の女王と言われるカサブランカです。
針葉樹園で咲くカサブランカ

 同じく針葉樹園花壇ではオニユリが咲いています。中国から食用として入ってきたと言われています。花弁が大きく反り返ることと黒い斑点が入ること,そして,むかごができることが大きな特徴です。
 また,オニユリの変種で対馬に自生する黄花種のオウゴンオニユリがあります。こちらもむかごができます。
変種のオウゴンオニユリ

 さて,日本固有種のテッポウユリは,明治期に海外にたくさん輸出されています。特にヨーロッパに伝わると,キリスト教の祭事にテッポウユリが使用されるようになったそうです。
別名をイースターリリー

 テッポウユリに似たユリに外来種のタカサゴユリがあります。花弁の外側に紫の筋が見えることと,葉が細いのが特徴です。台湾原産で発芽から開花までの期間が短く,繁殖力がとても強い特徴があります。
外来種のタカサゴユリ!

 また,テッポウユリと交雑して生まれたシンテッポウユリもよく見かけるようになってきましたが,その区別が大変難しくなっています。

 ところで,ユリの花はふつう下向きや横向きに咲きますが,上向きに咲くユリを紹介します。スカシユリです。中部地方より北に自生しているため,暑さに弱く,寒さに強いという特徴があります。
他に白やピンク,オレンジ色も

 最後にハカタユリを紹介します。13世紀頃,日宋貿易で博多にもたらされ,日本全国に広がりました。しかし,ウイルス病に弱いため,幻のユリと言われています。特徴は朝の開花時は黄色ですが,午後には白に変わります。
中国では野百合!
【解説員K】

七夕の催しとして「葉っぱの短冊を書こう!」を行いました(2020.7.25)

福岡市植物園では,6月30日(火)~7月7日(火)までの間,七夕の催し「葉っぱの短冊を書こう!」を行いました。文字が書ける不思議な葉っぱ「タラヨウ(多羅葉)」を短冊としてご用意し,来園者の皆さんにたくさんの願い事を書いていただきました。
期間中は,あいにくの天気ではありましたが,タラヨウの短冊約200枚,すべて笹に飾っていただきました!

皆さんの願い事の一部をご紹介します。
やはり一番多かったのは,新型コロナウイルスの終息についての願い事です。

また,家族の幸せや健康を願った短冊もたくさん。いつの時代も一番大切なものですね。


七夕らしい大きな願い事も。

タラヨウの短冊は火にくべて肥料へ


イベント終了後,回収した短冊は火にくべて灰にし,園内の花壇の肥料となりました。
みなさんの願いが養分となり,また新しい花を咲かせてくれると思います。
皆さんの願いが天まで届きますように!

2020年7月21日火曜日

アジサイの親戚の話(2020.7.21)






 梅雨の時期を代表する花といえばアジサイですが、皆さんはどんな姿が思い浮かびますか?一般的には、装飾花(萼が変化したもの)が丸くなった形(手毬咲き)か、あるいは装飾花が真ん中の
小花(両性花)を額縁のように囲む形(額咲き)を思い浮かべられるではないでしょうか。    
手毬咲き
額咲き


ところで、現在バラ園南側に、ちょっと変わったアジサイの親戚(科が同じユキノシタ科・APG分類ではアジサイ科、属は別)の花が咲いているのでご紹介します。






 青紫色が涼しげなジョウザンアジサイ【常山紫陽花】です。中国原産で、広くヒマラヤ~ジャワ島に分布していますが、この種にはアジサイの一般的な特徴である装飾花が見当たりません。和名にアジサイがついていますがアジサイ属とは別属で、花は両性花だけで装飾花を持たないこと、果実は球形の液果(アジサイ属は蒴果)、常緑(アジサイ属は落葉)などの違いがあります。





 また、バラ園テラスの近くには、昨年6月22日のブログでも紹介されたアジサイの親戚バイカアマチャ【梅花甘茶】が、まだ咲き続けています。あらためて親戚であることがわかる両性花と装飾花を紹介します。



両性花






装飾花
今年は梅雨明けが遅れているようです。スカッとした夏空が待ち遠しいですね。  (解説員)