2020年10月15日木曜日

“どんぐりをさがしてあるくたのしいな”俳句小屋の展示作品を入れ替えました(2020年10月15日)

先日,俳句小屋の展示作品を入れ替えました。9月もご投句ありがとうございました!
その中から数点ご紹介したいと思います。
まずはこちら。
 
“どんぐりを さがしてあるく たのしいな” ちゆき

どんぐり探し,楽しんでいただけてよかったです!^^
秋を迎え,あちらこちらで,ドングリを見かける時期になりました。ドングリとはブナ科の植物がつくる実の総称です。木の実の殻の部分が,コナラはうろこ状だったり,アベマキはブラシ状だったりと,大きさや形も様々です。福岡市植物園では,10月13日から11月15日まで,どんぐりの標本展を開催していますので,ぜひお越しください。

“暴風を 耐えた朝顔 ほめてやる” 脩

9月は台風10号に見舞われ,台風通過後は園路に枝葉が散乱していたり,倒木があったりで,大忙しとなりました。そんな暴風にも負けずに,健気に咲いている花を見るとホッとしますね。

最後にヒガンバナを詠んだ作品を3点。
“秋雨に 凛々しく立ちし 彼岸花” 克G
“彼岸花 咲きて暮れゆく 野辺の道” 花守
“夕陰に 独り咲きたる 曼殊沙華” 朔

お彼岸の頃には,園内各所でヒガンバナが見頃を迎えました。写真は紅葉樹園で一斉に花を咲かせた白いヒガンバナ,シロバナマンジュシャゲです。
令和2年9月18日撮影

俳句の展示は,当園で句会を開かれている「植物句会」松尾康乃先生のご協力のもとに行っており,約1か月おきに入れ替えています。投句は野草園休憩所(俳句展示スペース)と緑の情報館1階のポストで受け付けています。初心者の方も大歓迎です。みなさんのご投句を,お待ちしています!

今回展示している俳句の一覧です。

<俳句係 M>

2020年10月11日日曜日

ちいさな大発見No.105(2020.10.11)ペルシカリアって?

 針葉樹園花壇と市民花壇に植えている2つの花を紹介します。
 1つは「ペルシカリア」,名板にはsp.が付いていますが,これは種小名が不明のときに使われます。もう一つは「ペルシカリア・アンプレクシカウリス・アルバ」です。アルバは白い花を意味します。 
名板には「Persicaria sp.」
 
ペルシカリア・アンプレキシカウリス・アルバ

 これらにそっくりな植物が空き地や道路脇などでよく見かけます。そうです,「イヌタデ」です。学名をカタカナ表記すると,「ペルシカリア・ロンギセタ」と言います。実はタデ科ペルシカリア属(イヌタデ属)の仲間なのです。
赤飯を想起させる「アカノマンマ」
 
 他にもペルシカリアの属名がつく植物はたくさんあります。 
藍染めの原料になる「アイ」
 
草丈が2mになる「オオケタデ」 
金平糖のような「ヒメツルソバ」 
河川や沼地で見かける「ミゾソバ」 
紅白の水引に似るミズヒキ

 他にもペルシカリア属はママコノシリヌグイやサクラタデ,シロイヌタデなどたくさんあります。是非,見に来てください。
【解説員K】

2020年10月3日土曜日

ちいさな大発見No.104(2020.10.3)秋の風物詩!?

 園内を歩いていると,どこからともなくキンモクセイ(金木犀)の甘い香りが漂ってきます。そして,やや黄色がかったウスギモクセイ(薄黄木犀)もキンモクセイほどではありませんが,上品な香りを放っています。
 2つの植物はモクセイ科モクセイ属ですが,モクセイ(木犀)というと,普通,ギンモクセイ(銀木犀)を指します。日本では圧倒的にキンモクセイが有名ですが,キンモクセイは基本種であるギンモクセイの変種だそうです。本園にも庭木園に2本のギンモクセイがありますが,日照不足のためか,まだ花は咲いていません。    
 
 モクセイの仲間は基本,雌雄異株ですが,中国から入ってきたときに雄木のみが導入されたため,日本では実をつけることはありません。しかし,最近になって中国より種子が輸入され,その実生が育ってきているとのことです。そのうち,キンモクセイの実を見ることができるかもしれません。 
  
 一方,ウスギモクセイは雄株,雌株共に導入されたため,晩秋には結実します。ちなみに植物園にある3株のウスギモクセイはすべて雌株のようです。 理由は真ん中に雌しべの柱頭があり,その両脇に2個のおしべが見られる両性花が確認できたからです。
 他にもギンモクセイとヒイラギが交雑してできたヒイラギモクセイがあります。花色はもちろん白ですが、ヒイラギの系統を受け継ぎ、葉にギザギザの鋸歯が見られます。

 バラ園のバラも少しづつ開花が始まっています。
 是非,植物園に足を運んでください。                                    【解説員K】

2020年10月2日金曜日

「バンジロウ」ってなに?(2020.10.2)



 先日、中央区にお住いの方が緑の情報館に来られて、「桜坂から歩いてきたら、道の横にこん な実がなっていたけど、なんだろう?」と携帯写真を見せられました。拝見すると、丸い形で先端 に萼の痕跡が特徴的な実です。「もしかして、大温室にもあるグアバかな?」 ということで、早速 現地に見に行きました。
 
  確認すると、歩道上には熟した黄色の実がいっぱい落ちており、対生している大型の葉やすべ すべしている樹皮などの特徴から、熱帯性の果実でグアバの一種であるキミノバンジロウ【黄実 蕃石榴】(フトモモ科)とわかりました。「バンジロウ」というのは、果実の形や肌がザクロに似てい ることから、台湾でバンジロウ【蕃石榴】と呼ばれていたものがそのまま和名になっており、沖縄 地方ではバンシルーとも呼ばれているそうです。  このグアバの仲間バンジロウ属は熱帯及び亜熱帯で栽培されていますが、文献によると、その 中でもテリハバンジロウという種類は耐寒性が強く、我が国のような温帯でも栽培が可能とされて おり、実際当園の苗圃には露地で育っています。
 今回来園者の方から教えていただいて、温帯に属する福岡の地でも、テリハバンジロウだけで はなく、キミノバンジロウも屋外で十分に育つことが確認できました。  テリハバンジロウは、実が熟すと紫紅色になることから、英名ではストロベリーグアバと呼ば れ、黄色に熟すキミノバンジロウはイエローストロベリーグアバと呼ばれています。  苗圃に熟して落ちていたテリハバンジロウの実を味わってみました。

 熱帯育ちではないので残念ながら酸味が強く、また固い種子が多いのが気になりましたが、な かなか良い香りでした。熱帯地方で栽培されたものは、生食のほかジュース、ゼリー、ジャムなど に利用されます。  なお現在、大温室ではキミノバンジロウとテリハバンジロウが隣り合って実をつけているいます ので、同時に観察することができます。また近くにはグアバ(バンジロウ)も実をつけていますの で、併せてご覧ください。

               

               

 ちなみに、グアバの仲間が属する科名のフトモモとは、中国語の「蒲桃」(ほとう;プータオ)が沖 縄に伝わって「フートー」となり、「フトモモ」になったといわれています。身体の「太股」とは関係が ないので、念のため。                                                                                                                                         (解説員)

2020年9月25日金曜日

ちいさな大発見No.103(2020.9.25)リコリスの仲間?!

  この時季,郊外を走ると,車窓から田の畝を真っ赤に染めたヒガンバナが目に入ってきます。植物園でも園内のいたるところで紅白のヒガンバナ(彼岸花)が咲き誇っています。

 ヒガンバナは,球根(鱗茎)が有毒であり,その性質を生かして田の畝に植えられました。理由は2つあり,1つは大切な稲をネズミやモグラなどから守るため。もう1つは飢饉時の救荒植物として,しっかり水にさらして毒抜きを行い,貴重な食料とするためです。

 また,鮮やかな黄色のヒガンバナも咲いています。ショウキズイセン(鍾馗水仙)です。

 この赤いヒガンバナと黄色いショウキズイセンが交雑してできたのが,シロバナマンジュシャゲと言われています。しかし,日本のヒガンバンは種子ができません。一方,中国原産のシナヒガンバナは稔性種のため,種子ができるのです。


 ところで,白花と言っても,実際はクリーム色をしており,それも,微妙に濃淡があります。これは,生育環境や太陽光の当たり具合が原因の1つだそうです。

 花型にも大きく2つのタイプがあり、ヒガンバナのように花弁が反転するものと、ナツズイセンのようにユリに似たラッパ状のものがあります。

 日本のヒガンバナは不稔性のため,球根で増えるしかなかったわけですが,今は園芸種も含め,交雑が進み,リコリスとして多様な園芸種が増えています。


 ナツズイセンやキツネノカミソリなども含め,みんなリコリスの仲間です。

 花型や花弁の色,蕊の長短など,その違いをじっくりと観察してみませんか。

【解説員K】


2020年9月21日月曜日

ちいさな大発見No.102(2020.9.21)ナスのお友だち?!

 野草園でナス科ナス属のツルハナナス(別名ヤマホロシ)が咲いています。南アメリカ原産で常緑のつる性植物です。

 雌しべが突出している

 蕾の時期や開花してすぐは紫色をしていますが,やがて白くなって散っていきます。学名に jasminoidesとあり,これはジャスミンのようなという意味で,花には芳香があります。

 同属で同名にヤマホロシがありますが,本種とはまったく別種です。

 ところで,ナスはもちろん,ジャガイモやトマトも同じナス属です。写真がないのが残念ですが,花のつくりはみんなそっくりですよ。

 そこで,今,園内で観察できるナス属の植物を紹介します。

 植物園エントランス横のブッシュの中で,ヒヨドリジョウゴが咲いています。反り返った花びらが特徴ですが,やっぱり晩秋に色づく果実は光沢があり美味しそうです。しかし,この実には毒がありますから要注意です。

果実の写真は昨年12月26日撮影

 情報館前のコスモスの脇で,1年草のイヌホオズキ(犬酸漿)が咲いています。別名をバカナスと言い,ジャガイモの芽にあるソラニンという毒を持っています。こちらは光沢のない黒い実ができます。

史前帰化植物と言われている

 また,イヌホオズキに似ていて,外来種のワルナスビがあります。葉や茎に棘があり,地下茎でもどんどん増えるとてもやっかいな植物です。

 次はもちろん食べられませんが,観賞用としてつくられた植物を紹介します。

 情報館前のトイレ傍で咲いているアフリカ原産のヒラナスです。果実は白から黄、オレンジ、赤へと変化します。

ナスの台木として使用!

 同じく情報館前の鉢の中でフユサンゴが咲いています。メキシコやブラジル原産で果実の変化はヒラナスと同じです。運がよければ4色の果実を見ることもできますよ。

赤い実は強毒です!

 針葉樹園花壇ではツブシロナスが咲いています。花と果実の両方を見ることができます。


  他にも生け花などで使用されるフォックスフェイスなどがあります。狐の顔に似ている黄色い果実です。

 朝夕はめっきりと涼しくなってきました。是非,植物園にお出で下さい。

【解説員K】








2020年9月19日土曜日

ちいさな大発見No.101(2020.9.19)珍しい白花!?

  ハーブ園で紅白の小さな花がたくさん咲いています。フウロソウ科のゲンノショウコ(現の証拠)です。

白花も咲いています!

 以前,ちいさな大発見No.53(2019.10.12号)でゲンノショウコについて書いています。今号では,少し違う視点で掘り下げてみたいと思います。

 1つめは花色と地域性についてです。

 福岡でゲンノショウコと言うと,紅色です。実際,私は自然の状態で白花を見たことがありません。一般的に西日本では紅花,東日本では白花が主流です。そして,日本の真ん中に当たる中部地方(愛知県や岐阜県など)では,紅白ほぼ半々の割合で存在するそうです。

 ところで,西は紅花,東は白花が多いのはなぜでしょう。ご存知のように,ゲンノショウコは「医者いらず」の別名があり,ドクダミやセンブリと並び,日本古来の3大民間薬として知られています。例えば,西日本では,どこでも見かける紅花より,レアな白花に高い薬効があると信じられ,白花が採取され減っていったのではないかと言われています。ちなみに紅白共に薬効は変わらないそうです。

 2つ目は雄性先熟についてです。みなさんは雄性先熟と言う言葉をご存知ですか。雄しべが熟したときにはまだ雌しべは生長しておらず,おしべが老いて役目を終えた頃に雌しべが伸びて熟し,他の花からの花粉を受け入れることです。これは自家受粉を避けることが理由です。写真で確認してみましょう。 

左は雄しべの葯がたくさん! 

雄しべが脱落し,雌しべが充実!

   ついでに,別名のミコシグサについてお話しします。

 先ず,5枚の花弁が落ちると5枚の萼片の中央にある雌しべの柱頭が長く伸びて先が5つに分かれます。

先端に雌しべの名残りが

 この長く伸びた鞘の中に種はできず,柱頭の根元に5つの種ができます。そして,種が熟すと鞘が下側から縦に5つに割れ、鞘がクルクルと勢いよく巻き上げるはずみで、種子を1つずつはじき飛ばすのです。

 種を弾き飛ばした後の姿を御輿の屋根に見立てて,ミコシグサ(御輿草)の別名が付いたそうです。

 ゲンノショウコの御神輿をじっくり探してみませんか。

【解説員K】