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6月, 2019の投稿を表示しています

ちいさな大発見!? No.43(2019.6.28)金色の雨が降る?

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 バラ園デッキ手前で通路を挟んで10mくらいの2本の高木があり,今,円錐状の黄色い花(写真①)をたくさんつけています。 写真① 「モクゲンジ」 写真② 1つ1つの花の集合花!  名前を「モクゲンジ」と言い,中国や朝鮮半島原産の落葉樹です。センダンの葉に似て,種子が数珠の材料になることから、別名「センダンバボダイジュ」と言います。  また,花の散る様子を金色の雨に例えて「Golden rain tree」という英名があります。花の散る様子が金色の雨に例えられているのです。なかなかロマンチックですね。  ところで,じっくりと花を観ると,黄色の反り返った花弁が4枚,めしべ1本に8本の長いおしべが目立ち,花の中心部は赤くなっています。(写真②)  そして,秋になるとホオズキのような袋状の実をつけます。  もう一つ,「ムクロジ(無患子)」を紹介します。こちらも円錐状のクリーム色の小さな花(写真③)をびっしりと付けます。「モクゲンジ」に比べ,花としての観賞価値はあまりありませんが,「モクゲンジ」同様,蜜源植物なのか,たくさんの虫たちが蜜を吸うために集まっていました。 写真③虫たちが群がる「ムクロジ」  そして,秋になると直径2cmほどの実(写真④)をつけます。  昨年,落ちていた実をカッターナイフで切って中の黒い実を取り出した後,やけに手がベタベタすることに気がつきました。手を洗うと,石鹸のように泡立って,とてもきれいになったことを覚えています。 写真④ アメ色の果皮に包まれている!  ムクロジの実の皮にはサポニンが含まれており,現在もインドなどの一部の地域では洗剤として使われているそうです。「セッケンノキ」という別名がついているくらいですから。 写真⑤ ムクロジの実を使った数珠や羽子板の羽  そして,ムクロジの実の大変硬い性質を利用して数珠や羽子板の羽に加工(写真⑤)され,私たちの生活に根付いてきました。なお、ムクロジの実については、「ちいさな大発見!? No.10(2018.12.11)でも掲載していますので参考にされてください。  今回取り上げた「モクゲンジ」と「ムクロジ」は,属こそ違いますが,同じムクロジ科の近縁種にあたります。  そして,ムクロジの中国名の「木患子」を音読みした「モクカ

だまされません カキノキダマシ(2019.6.26)

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 芝生広場の紅葉樹園側にクリーム色の円錐花序に昆虫が頻繁に訪れている木があります。  チシャノキ【萵苣木】(ムラサキ科)です。チシャはむずかしい字ですが、今でいうレタスのことで食用になる新芽の味が似ていることから名付けられたとか。  このチシャノキの別名はカキノキダマシ。というのも、その葉や幹がカキノキに似ていることから別名がついています。 【葉の比較】  【幹の比較】 葉と幹、それぞれ上がチシャノキ、下側がカキノキです。どうです、似ていますか?  樹形的にも似ているといわれれば似ているような気もしますが、見分けの一番わかりやすいのは葉の縁です。 チシャノキ 浅い鋸歯 カキノキ 全縁 チシャノキには浅い鋸歯がありますが、カキノキは全縁(ギザギザなし)です。  だまされそうな時は葉の縁で確認してください。  もっともカキノキが実をつけたら間違えようはないと思いますが・・・。 (解説員)

ちいさな大発見!? No.42(2019.6.22)これでもアジサイのなかまですよ!

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 この時期になってもまだ北部九州は梅雨入りをせず,雨が大好きなアジサイたちは,日中は葉がしおれ気味でイマイチ元気がありません。  さて,今回はアジサイの近縁に当たる珍しい植物を紹介します。  名前は「バイカアマチャ」(写真①)です。  写真① 肉厚な花弁ですよ!  アジサイはユキノシタ科アジサイ属ですが,こちらはユキノシタ科バイカアマチャ属になります。属は違いますが,アジサイのなかまです。  この花の特徴はガクアジサイのように装飾花(受粉せず,虫を誘因するための花)と両性花(受粉できる本来の花)をもちますが,それらが別々にできるところです。しかも,本来目立つべき装飾花の方が小さいのですから,何のための装飾花だろうと思ってしまいます。  たぶん,装飾花が必要のないくらい両性花が目立っているからではないでしょうか。4枚の花弁は純白でビックリするくらい肉厚です。雌しべは2本あり,雄しべは100本以上はありそうです。  そして,両性花が散ったあとも,装飾花はしばらくの間,残ったままです。(写真②)  写真② ガク片の中央には閉じたままの花が!  ちなみに,開花前の蕾の状態が写真③です。  写真③ 4枚の尖ったガクに守られている蕾  ところで,「バイカアマチャ」の名前ですが,花が梅に似ていて,葉や茎の姿がアマチャに似ているところからついたそうです。個人的にはアマチャには似ていないと思います。  そこで,「アマチャ」(写真④)の紹介を簡単にします。  写真④ ヤマアジサイと区別が・・・?  「アマチャ」はヤマアジサイの園芸種と言われています。お釈迦様の誕生を祝う花まつりに使われるので,神社によく植えられています。一見すると,花も葉もヤマアジサイそっくりです。生の葉には甘みはまったくなく,若葉を摘んで蒸して揉み,乾燥させることにより甘みがでるそうです。  「バイカアマチャ」は希少種で福岡県レッドデータブック2011年版では絶滅危惧ⅠA類に指定されていました。  これからが花の見頃です。バラ園デッキ手前で見ることができますよ。見つからないときは情報館1階で声をかけてください。案内します。 【解説員K】

ちいさな大発見!? No.41(2019.6.18)アメリカのアジサイ?

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 皆さんご存知のようにアジサイは装飾花がめだつガクアジサイや手鞠咲きといわれるホンアジサイ(ガクアジサイの園芸品種),ヤマアジサイなど日本原産の植物です。  また,中には中国を経由してヨーロッパへ持ち込まれ,品種改良され,逆輸入された西洋アジサイ(ハイドランジア)が有名です。  そこで,今号ではアメリカ原産のアジサイを2つ紹介します。  1つめは,「カシワバアジサイ」です。写真①    写真① 秋には紅葉する「カシワバアジサイ」  葉が柏の葉に似ているところからこの名前がついています。大きいものでは花径が30cmほどになり,ピラミッド状でクリーム色の花を多数咲かせます。花のように見える部分は、ガクが大きく発達した装飾花と呼ばれるもので、雄しべと雌しべは退化してありません。本来の花は装飾花の内側にある小さな両性花で,まったくめだちません。  2つめがアメリカノリノキ アナベル(写真②)です。これはアメリカノリノキが突然変異した装飾花のみの株が発見され,それをオランダで品種改良されたものがアナベルです。  この花の特徴は蕾の頃は淡い緑色をしていますが,開花が進むと真っ白に変化します。そして,咲き進んでいくと,また緑色に変わり,秋にはドライフラワーのような茶色になります。また,ピンクのアナベル(写真③)もあります。     写真②アメリカノリノキ アナベル   写真③ ピンクアナベル  ところで,アメリカノリノキは日本でいうところのノリウツギを指しています。そこで,紅葉樹園で観ることができる「ノリウツギ」を紹介(写真④)します。  写真④ ノリウツギ  「ノリウツギ」と言っても,ウツギ属ではなく,アジサイ属です。ノリウツギの名前は,古くより和紙を作るときの糊として樹液を使われたことによるそうです。  小さな両性花を取り囲むように装飾花が咲きます。  そして,このノリウツギを品種改良したものが「ノリウツギ水無月」(写真⑤)です。こちらは,両性花がなく,すべて装飾花でできていますので,ピラミッドアジシの名の通り,とても豪華に見えます。  写真⑤ 「ノリウツギ水無月」  「ノリウツギ水無月」は開花が遅く、今現在、やっと小さな花をつけはじめたところです。写真⑤は昨年の7月10日に撮ったものです

星の形をした実を発見!(2019.6.14)

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バラ園の南側でちょっと変わった形の実を発見!茶花としてよく使われるリキュウバイ【利休梅】(バラ科)の実です。5個の稜(ひだ状)をもち星の形をしています。  この時期、春の花シーズンが終わって特徴的な実をつけた植物が目立ってきました。                                          4個の稜をもつ四角い形の実はヒゼンマユミ【肥前真弓】(ニシキギ科)です。秋になると黄色に熟して4つに裂け、中からオレンジ色の種子が現れます。  8個のかぎ状の突起をもつのはシキミ【樒】(シキミ科)の実です。この形は8個の果実が集まって扁平になったもので集合果と呼ばれます。種には猛毒が含まれるので要注意。    果実が丸く球状に集まって垂れるのはモミジバフウ【紅葉葉楓】(マンサク科)です。北アメリカ原産で別名アメリカフウとも呼ばれます。  角ばったりゴツゴツした印象の実が続いたので最後に丸い実を一つ紹介。  タブノキ【椨】(クスノキ科)の実です。基部にはタコの足状に花被片が残っています。おもしろい形ですが、残念ながら8個ではなく6個です。  どうですか?木の実たち、それぞれ特徴があっておもしろいでしょう。これから秋の実りの季節に向けて刻々と形や色を変化させていく木の実にご注目ください。                                                                                                                                              (解説員)

ちいさな大発見!? No.40(2019.6.13) ヘェー,ネギのなかま?

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 5月23日にアップした「ちいさな大発見!? No.38」関連ですが,カルドンに待望の花(写真①)が咲きましたので紹介します。正に巨大なノアザミです。 写真① 「カルドン」に花が!  今,針葉樹園花壇に気になる植物(写真②)が咲いています。  株本にはネギのような細い葉が複数枚見え,茎の長さは60cmほど,その先端に小花がたくさん集まった直径2cmほどの,ボール状の花が風に揺れています。蕾は緑色ですが,頂部からだんだんと紫に変化してきています。  ちょっと待てよ,ついしばらく前まで咲いていた「アリウム・ギガンチウム」に花の付き方が似ているなと思っていたら,名前は「アリウム・丹頂」。「アリウム・ギガンチウム」とは同属でしたよ。  写真②「アリウム丹頂」  それでは,「アリウム・ギガンチウム」(写真③)を紹介します。 写真③「アリウム・ギガンチウム」 「アリウム・ギガンチウム」は、中央アジアに自生し、高さが1.5mにもなる茎の先に、直径20㎝ほどの巨大な球状の紫色の花をつけます。小花が2000個近く集まっているそうです。  もう一つ,気になる植物があります。ハーブ園の片隅に咲いている,高さが30cmほどの「チャイブ」写真④です。  写真④ ハーブ園の「チャイブ」 「チャイブ」は学名が「アリウム・スコエノプラスム」,ネギの仲間なのです。細い円筒形で中空の葉っぱを地際から伸ばして、草丈は30cmほどになります。紫色の小花をボール状に咲かせます。薬味としてなじみ深い「アサツキ」は日本原産で、チャイブの変種だそうです。  ところで,「アリウム・ギガンチウム」は「Giant onion」,つまり大きなタマネギと言った別名がついています。  実は「アリウム」は、ラテン語でニンニクを意味し,匂いの多少はありますが,「ネギ臭さ」が特徴です。ヨーロッパやアジア、北アメリカなどが原産の、ユリ科ネギ(アリウム)属の植物で、タマネギやネギ、ニンニクやニラなども同じアリウム属の仲間なのです。例えば,タマネギは「アリウム・セパ」,ニンニクは「アリウム・サティウム」となっています。  これらは総称して和名を、「ハナネギ」と言い,きれいな花を咲かせることから、「オーナメンタル・オニオン(装飾的玉ねぎ)」と呼ばれています。 【解説