上を向いて歩こう・・温室で!(2020.1.24)

 暖冬傾向とはいえ、この季節はやはり寒さ知らずで暖かい温室が人気です。この時期温室を廻ると、幹やつるの上のほうで花や果実が大きく育っている種類が観察できます。見頃の植物たちを見落とさないようによ~く上を向いて廻ってください。 入口を入って左側、ブーゲンヴィレアが咲く廻廊の先のロータリーで、伸びたつるからぶら下がっている暗赤色の花はトケイソウ【時計草】(トケイソウ科)です。和名は特徴的な花被を時計の文字盤に見立てたものです。アラタという種類で果実は食べられます。
                                     
 同じくロータリー周囲で、3~4mぐらいの高さのところに直径20cmほどもある大きな黄色い花を咲かせているのはソランドラ・マキシマ(ナス科)です。メキシコ原産で、和名は大きく広がる花の形と色からウコンラッパバナ【鬱金喇叭花】と名付けられています。
 ラン室を抜けて水生植物室入口のところで、上に伸びたつるの3mぐらいのところに細長い果実がぶら下がっています。なんだと思いますか? なんとケーキやアイスクリームなどの甘い香りの原料になるバニラの実なんです。バニラはメキシコ、中央アメリカ原産のラン科植物です。ラン科としては珍しいつる性で、黄色い小さい花を咲かせます。一日花でなかなか見ることができませんが、次の写真は平成25年6月に撮影したものです。


 残念ながら下がっている果実には香りはなく、収穫後発酵と乾燥を繰り返すことによって、あの甘い香りのバニラビーンズが出来上がります。
 サボテン室、ベゴニア室を抜けて大温室に入ると、お馴染みの果物が観察できます。


 上から順にパパイア(パパイア科)、バナナ(バショウ科)、グアバ(フトモモ科)の果実です。パパイアは薄い黄緑色の花も見ることができます。

 大温室では色づき始めたコーヒー(アカネ科)の果実も見ることはできます。最近では観葉植物としても親しまれているコーヒーですが、果実を見る機会は少ないのではないでしょうか?コーヒーの木は低いので目の前で果実を見ることができます。
 春の到来までもう少し、寒い日には暖かい温室でお過ごしください。          (解説員)

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