ちいさな大発見!? No.37(2019.5.15) 陸上植物の「生きている化石」!

 数億年前の古生代に死滅したと思われていた魚類のシーラカンスが20世紀初めに生きて発見されたことから、「生きている化石」と言われているのはよく知られているところです。
 一方、陸上の植物で生きている化石と言えそうな植物が福岡市植物園でも見ることができます。シダ類の中でも特殊な原始的構造を持ち、日本に一目一科だけの特別な植物、それが「マツバラン」です。
ケヤキに着生している様子(現在)

 もともと、植物は海や河川の水の中で生息していましたが、やがて陸へと上がっていったと言われています。そして地上に最初に上がった植物が、いちばん原始的な姿のまま何億年も生き続けてきたような格好をしているのがマツバランなのです。

 マツバランは地下茎はありますが、基本、茎だけで、根も葉もない着生植物です。樹上や岩の上に生えることが多いそうですが、本園ではケヤキの株元に自生しています。茎の途中で丸く膨らんでいるのが胞子嚢です。胞子嚢は熟すと黄色くなり、その一部が裂けて、胞子が飛び出して増えていきます。
丸くなっている粒が胞子嚢

 一見すると、葉のように見える茎が二つに分かれているのも大きな特徴の1つです。
二股分岐している様子(数年前の写真)

 江戸時代には園芸栽培種として大流行し、いろいろな品種が作られたそうです。
 こんなに地味なのに、江戸時代から園芸植物として珍重されていたとは意外な気がします。
 今では山野の自生は少なく、環境省では準絶滅危惧種(NT)に指定しています。植物園においでの際には,是非見てください。
【解説員K】

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