ちいさな大発見No.119(2021.3.26)魅了する野草編 Part.2

 前号ではハナニラとミツカドネギをとりあげましたが、引き続き、園内で見られる春の野草を紹介します。    
 先ず、野イチゴの代表的な種類でバラ科キイチゴ属のクサイチゴ(草苺)です。英名がJapanese raspberryと言い、そのまま食べられます。
郷土樹木園や庭木園、紅葉樹園にて!  
 大輪のきれいな五弁花(花冠約2.5~3cm)で、名前にあるような草本ではなく、落葉性の小低木になります。  
 
 次は同じバラ科でキジムシロ属のヘビイチゴ(蛇苺)です。花冠はおよそ1.2~1.5cmくらいで、クサイチゴよりかなり小さいです。そっくりな植物に少しだけ花冠(約2cm)が大きいヤブヘビイチゴがあります。 
 針葉樹園花壇にて!  
 別名をドクイチゴと言いますが、毒性はなく、蛇も食べません。クサイチゴと違って美味しくないだけで、花はとてもきれいです。  
 一般的に野イチゴの場合、白花の野イチゴは食べられますが、黄花は食べない方がよいようです。  

 次はトウダイグサ科で2年草のトウダイグサ(燈台草)です。実はトウダイグサ科の花は大変、不思議な構造をしており、この花だけでブログが書けるくらいです。  
 不思議な点は2つ。1つは葉の付き方で、茎の中央より下はヘラ形をしていますが、上の方は丸葉となります。  
 そして、何より個性的なのが花の付き方です。 
  花木園Bにて!  
 5枚葉の中心に1つの杯状花序をつくり、さらにそれぞれの葉の基部か花柄を伸ばし、同じように2,3枚の苞葉に1つの杯状花序をつくることを数回繰り返します。おもしろいですね。  
 そっくりな植物に草丈が高くなるタカトウダイ(高燈台)があります。  
 また、本種は全世界で2000種を超えるユーフォルビア属の仲間で、ハナキリンやハツユキソウ、ポインセチアなども近縁になります。ちなみに茎を折ると、乳液が出て、かぶれることもあります。全草に毒がありますよ。  

 次は種子にアリが大好きなエライオソームを付けるケシ科キケマン属のムラサキケマン(紫華鬘)です。草丈は大きいもので50cmくらいになります。葉は深い切れ込みがあり、羽状複葉です。
  針葉樹園や紅葉樹園にて!  

 おもしろいのは果実が熟してくると、ホウセンカのように種子がはじき飛ぶ自動散布です。その後、アリに運んでもらう動物散布の形をとります。  

 次はオオバコ科クワガタソウ属のオオイヌノフグリ(です。
花木園Bにて!
 和名は「瑠璃唐草」、別名を「星の瞳」と言い、大変素敵な名前が付いている一方、種子の付き方が大きな犬の〇〇に似ているということから、オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)の名が付いています。個人的には名前を変えてはどうかと常日頃より思っている次第ですが、何せ命名者は日本の植物学の父と言われる牧野富太郎博士です。  

 最後はキンポウゲ科のヒメウズ(姫烏頭)です。花冠は5mm程度で小さく、しかもうつむいたように咲き目立ちませんが、よく見ると5弁花のきれいな花です。
花木園Cにて!  
 実はキンポウゲ科の植物の花弁は退化しており、本種も花弁ではなく、萼片です。花弁は蕊を取り囲むように5枚あり、その大きさはわずか数ミリしかありません。
 
 次号に続きます。 
【解説員K】

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