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ちいさな大発見!? No.84(2020.5.9)今が旬 Part.12!

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 誰からも観られることもなく、バラ園の花たちがまもなく満開を迎えます。  今年のバラは花付きもよく、色とりどりの花が咲き誇り、辺り一面がダマスク系やティー系などの上品な香りに包まれています。  次はバラ科の「シャリンバイ」です。枝分かれの様子が車輪に似て、花はウメに似ているところから「車輪梅」の名前がついたようです。大気汚染や潮害などにも強いことから高速道路や公園、海岸線などによく植えられています。       日本原産の常緑樹  シャリンバイによく似たトベラ科の「トベラ」も今咲いています。写真のように葉の縁が裏側に反り返るのが特徴です。雌雄異株で雌木は秋に黒い実をつけ、その後、真っ赤な種がでてきます。 花には甘い香りが  最後は花木園Bで咲いているウツギの名を持つ植物たちです。  先ず、スイカズラ科の「ニシキウツギ」です。漢字では「2色空木」と書き、花が白からピンクに変化します。日本固有種で本州から九州にかけての山地に自生しています。 めしべが飛び出している  同属の「ハコネウツギ」も花ははじめ白色で、しだいにピンク色に変化するため、「ニシキウツギ」とよく似ています。日本各地の海岸に自生しています。そのため、箱根の山には「ハコネウツギ」はごくわずかで、「ニシキウツギ」が多く自生しているそうです。   「ウツギ」のように幹が空洞に  一方、「マルバウツギ」は、「ウツギ」や「バイカウツギ」と同じユキノシタ科に属します。  別名は「ツクシウツギ」  【解説員K】

ちいさな大発見!? No.83(2020.5.7)今が旬 Part.11!

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 当初、6日までの閉園措置でしたが今月末まで延長されたことを受け、引き続き、園内の旬の植物を紹介します。  水生植物園ではアヤメ科アヤメ属の「カキツバタ」が咲き始めました。「いずれ菖蒲か杜若」の言葉がありますように、「ハナショウブ」「ショウブ」も含め、よく混同されます。「カキツバタ」は水辺に生息し、外花被に白い斑紋が入ります。 葉幅もいちばん広い  樋井川上流で見つけた「カキツバタ」です。斑紋がやや黄色がかっており、「ハナショウブ」の原種である「ノハナショウブ」に似ていますが、開花時期からしても「カキツバタ」と思われます。 葉の主脈がハッキリしない  それから、芝生広場の池の中で「キショウブ」が一輪さいていました。 「キショウブ」は、色とりどりの「ハナショウブ」に黄色種がなかったことから、明治期にヨーロッパから導入されました。しかし、今ではあちこちで繁殖し、環境省より要注意外来生物に指定されています。 同じく樋井川で見つけました! 「カキツバタ」と同居!  さて、野草園では同じアヤメ属の「サンズンアヤメ」を見つけました。「アヤメ」は陸生ですから畑等で育ちますが、それよりも開花時期が早く、草丈も20cm程とかなり小さめです。 別名を「チャボアヤメ」  次はバラ園デッキ前で咲いているエゴノキ科の「ハクウンボク」、別名は「大葉萵苣」で学名は‘Styrax obassia’です。普通、学名はラテン語表記ですが、日本語の「オオバヂシャ」が使われています。大きなチシャノキ(エゴノキ)の意味です。これはシーボルトがつけたからと言われています。 1つの花房に20輪ほどの花  最後はバラ園南花壇で咲き始めたツツジ科の「エクスバリーアザレア」です。イギリスにおいて、日本のレンゲツツジとヨーロッパ、中国産のツツジを交配して作り出されています。大きな花弁が特徴です。 セイヨウツツジの別名も 【解説員K】

身近なところに~マムシグサなど(2020.5.6)

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依然として外出の自粛が要請されている状況ですので、身近な自宅近くの樹林地に足を運んでみました。  ありました!  スギ林の中で、まるで蛇が鎌首を持ちあげたような姿のマムシグサ【蝮草】(サトイモ科)です。植物園では鉢物に仕立てて展示をしていますが、薄暗い樹林地の中で見るとやはり不気味です。  北海道から九州まで広く分布する多年草で、鎌首のように見えるのはサトイモ科に特有な仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞葉で、丸くまるまった下部には花軸の表面に花柄なしの花がびっしりとついた肉穂花序(にくすいかじょ)があります。雌雄異株(しゆういしゅ)です。筒形の独特な構造は、虫たちをまず雄花序に誘い込んで花粉まみれにして、雌花序ではその虫たちをしっかりと閉じ込めて受粉作業をさせるという巧妙な作戦のためのようです。  また近くには、サトイモ科で同じように仏炎苞を持つムサシアブミ【武蔵鐙】も見つかりました。この仏炎苞は先端が巻き込まれていますが、この形が馬具の鐙(あぶみ:馬に乗るとき爪先を乗せる道具)に似ており、また昔武蔵の国で作られた鐙が良質だったことからこの和名が付けられています。  マムシグサは鎌首を持ち上げていますが、ムサシアブミは花柄が葉柄より短いので仏炎苞は大きく広がった三出複葉の下にひっそりとついています。  それから日が差さず薄暗いこのスギ林の中で、青々と茂った葉をびっしりと広げて群生している植物も目につきました。  調べてみると、なんとあの不思議な花をつけるホルトソウなどと同じトウダイグサ科に属しているヤマアイ【山藍】という植物でした。現在も行われている藍染めが渡来するまでは、日本における最古の染色に用いられた植物といわれ、本州から九州、南西諸島まで広く分布していますが、古代の帰化植物ではないかと考えられています。  花の付き方は、トウダイグサ科なのでやはりユニークです。雄花は茎頂から直立した花序につき、花弁はなく雄しべの下の緑色は萼です。  雌花は、対生した葉の付け根から立ち上がった花序につきます。雌雄異株ですが、図鑑によっては「雌雄異株ときに同株」などと記述されており、一つの花序に雄花と雌花が混じることもあるようです。  我が家の近くのありふれた樹林地ですが、久しぶりに足を踏み入れてみると意外...

ちいさな大発見!? No.82(2020.5.4)今が旬 Part.10!

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 もう一ヶ月以上咲き続けている中国原産の「シャガ」。学名は‘Iris japonica’で、なぜか「日本のアイリス」となっています。アヤメ科アヤメ属で、アヤメの仲間です。3枚の内花被(花弁)と3枚の外花被(萼)を持っています。花は一日花ですが、次々に咲き続けます。 種のできない不稔性  野草園ではアヤメ科アノマテカ属の「ヒメヒオウギ」が咲いています。南アフリカ原産でフリージアの仲間です。球根植物ですが、こぼれ種で増えていきます。6花弁のうち、下3枚に紅い斑が入るのが特徴です。真っ白に見える種類もありますが、よく見ると、やはり3枚に斑がうっすらと見えます。 「ヒオウギ」とは別属  同じくアヤメ科ワトソニア属の「ワトソニア・ピラミダタ」です。これも南アフリカ原産の球根植物です。和名は「ヒオウギズイセン」。  ところが、大変紛らわしいのですが、「ヒメヒオウギズイセン」と呼ばれ夏にオレンジの花をつける外来種もあります。「モントブレチア」の方がよく知られているかもしれません。 1mを超える野生的な花  もう一つアヤメ科アリステア属の「アリステア・エクロニー」の開花が始まっています。何と本種も南アフリカ原産の植物で地下茎で増えていきます。花は1日花ですが、次々に咲き続けます。  南アフリカ原産の植物って、実はとても多いのです。意外じゃないですか。 和名は「ソライロキキョウアヤメ」  野草園ロックガーデンの岩の間からシソ科の「タツナミソウ」が顔を出しています。基本種は紫系ですが、本種は白花です。日本や中国、朝鮮半島などが原産です。浮世絵に描かれる波の様子に似ているところから、「立浪草」の名がついたそうです。 「シロバナタツナミソウ」  その変種である「コバノタツナミ」も咲いていました。違いは鋸歯の数が7対より少なく、草丈や葉もやや小ぶりです。 別名は「ビロードタツナミ」 【解説員K】

ちいさな大発見!? No.81(2020.5.2)今が旬 Part.9!

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 芝生広場では人の動きがないからでしょう、マメ科の「シロツメクサ」が繁茂しています。漢字では「白詰草」、これは江戸末期の出島にオランダから送られたギアマン(ガラス容器)のクッション材として使われたことに由来します。  その後、明治になって本格的に牧草として輸入されたそうです。  シロツメクサは三つ葉ですが、中には幸せを呼ぶ4つ葉のクローバーが見られます。これは踏みつけられることで成長点が傷つき、突然変異が生まれるからです。 苗物屋さんに行くと、四つ葉のクローバーの種が売っていますよ。  また、四つ葉のクローバーと呼ばれるものでは、別にメキシコ原産でカタバミ科の「オキザリス・デッペイ」があります、別名も「ラッキークローバー」と言いますが、こちらは球根植物です。    さて、郷土樹木園等、大きな木の下でひっそりと咲いているスイカズラ科ガマズミ属の花木を3つ紹介します。すべて、秋には紅い実をつけます。  1つめは、そろそろ散りかけていますが、「コバノガマズミ」です。ガマズミよりやや小ぶりの葉で葉柄も短めです。葉全体に細かい星状網があります。  2つめは「ゴマギ」です。茎や葉にはゴマのような香りがあるところからこの名前がついたそうです。   3つめは常緑の「ハクサンボク」です。この3種類の花木の中では最も花数が多く咲きますが、ノースポール並みに臭いです。  白花が続きましたので、紅い花を紹介します。ハーブ園で咲いているバラ科の「セイヨウサンザシ」です。別名を「メイフラワー」と言い、5月に咲く花です。  しかし、これにはもう一つ理由があります。それは1620年にイギリスから清教徒を乗せてアメリカに渡ったメイフラワー号に、この花が描かれていたことにもちなんでいます。  最後は水生植物園で、キョウチクトウ科の「チョウジソウ」が咲いていました。別名の「ブルースター」の名の通り、星形の青い花が魅力です。日本を含む東アジア原産ですが、園芸店などでは葉が細い北アメリカ原産の「ホソバチョウジソウ」が「チョウジソウ」として売られていました。 【解説員K】

ちいさな大発見!? No.80(2020.4.30)今が旬 Part.8!

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 千葉では80万本のチューリップ、そして、八女でも黒木の大藤が、密集を防ぐ目的から刈り取られたというニュースに、驚きと共に関係者の方々の無念さを痛感させられました。来年こそは私たちの目を楽しませてほしいものです。  さて、エントランスの「マーガレット」も閉園の間にすっかり満開の時期を迎えたようです。カナリア諸島原産でキク科モクシュンギク属のマーガレットは一重咲きから八重咲きなど、花色も多数あります。 シュンギクのような葉  芝生広場では、脇にそびえ立つモクレン科の「ユリノキ」、別名を「チューリップツリー」が咲いています。明治期に日本に入ってきたとき、まだチューリップは珍しく、日本人によく知られていたユリが和名に使われたようです。もちろん、チューリップはユリ科ですから間違いではないですが。 黒く見えるのは昨年の果実  ちいさな大発見No.35(2019.4.28)で「ユリノキ」について詳しく紹介しています。ブログ内検索で「ユリノキ」と打ち込んでみて下さい。  香りの路を歩いていると、バナナの匂いがしました。中国原産でモクレン科の「カラタネオガタマ」です。英名を「バナナブッシュ」と言います。花は平開しません。オガタマは霊を招くと言う意味の「おきたま(招霊)」が訛ったと言われており、神社などに植栽されています。日本原産の「オガタマノキ」とは仲間です。 漢字で「唐種招霊」  同じくモクレン科の「ホオノキ」が大きな花をつけています。日本原産で花や葉、樹高とすべてが大きい植物です。特に葉は30~40cmあるものもあり、日本原産の広葉樹の中では、最も大きなものの1つです。  この葉を使った「朴葉巻き」というお菓子が信州にありましたね。 油山のもーもーランドでも!  香りの路を通り過ぎると温室入り口脇でノウゼンカズラ科の「コガネノウゼン」が咲いています。ブラジル原産で「イペー」、英名は「ゴールデン・トランペットツリー」と言います。沖縄では街路樹に植えられ、2月頃から咲いているそうです。 ブラジルの国花らしいです!  最後はロウバイ科で北アメリカ原産の「クロバナロウバイ」です。中国原産で黄色いロウバイの花とは属が違います。葉やチョコレート色の花から微かなイチゴのような芳香があります。大変よく似た変種の「...

こんな花も咲いています~ホルトソウ(2020.4.29)

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園内では、初夏に向かって色鮮やかな花たちが続々と咲いていますが、今回もちょっと地味目の花に焦点を当てて紹介します。先日の野草園のブログでも取り上げられていましたが、ホルトソウ(トウダイグサ科)です。なかなか興味深い花ですので、さらに詳しく見てみましょう。 花の部分のアップ写真です。写真で丸い葉のように上下についているのは苞葉で、その付け根の黄色が目立つところが花序になります。花序はトウダイグサ科に特有な形状で杯状花序(はいじょうかじょ)と呼ばれ、合着して杯状(カップ形)になった総苞の中に雄花数個と雌花1個が包まれる形になっています。花弁(花びら)はありません。雌性先熟(雌花が先に熟す)なので、写真には雌花の花後の肥大した子房(黒い筋が入った緑色の球体)が写っており、先端には花柱が見えています。雌花の付け根のところの黄色いものが雄花ですが、その周りのちょっと湿ったように見えるものは腺体(せんたい)と呼ばれ、蜜を分泌する器官です。 この写真は、科の名前にもなっているトウダイグサ【燈台草】です。我が家の近く、国道沿いの土手で撮影しました。茎の先端に5枚の葉が皿状に平たく輪生して、その上に杯状花序がつきます。その形が油を入れた皿に灯心を立てて灯を燈した昔の燈台に似ていることから付いた名前です。  不思議な形状のトウダイグサ科の花は、園内では6~7月にかけて草丈が高いタカトウダイ【高燈台】も野草園東で見ることができます。 なお、ホルトソウは地中海沿岸地域原産で、我が国には天文年間に渡来したそうですが、この和名は、ホルトソウの種子から採った油を、ポルトガルの油(=オリーブ油)として偽製したことが由来になったとの説があります。 ちなみに、本市内で街路樹などに多く植栽されているホルトノキの和名も、その実がポルトガル(ホルト)から来たオリーブの実に似ていることに由来しているといわれています。  ホルトソウをはじめトウダイグサの仲間、本当に不思議な植物たちです。         (解説員)