ちいさな大発見!? No.50(2019.8.22)見つけました、感激です!
園内を巡回中,まだ早いだろうなぁと思いながら,芝生広場の一角にあるススキの群生を覗いてみると,その株元に何と,大きいもので高さ10cmほどの目的のものが5~6株,目に入ってきました。さらに,横に目をやると,そこにも3株,2株,さらに3株と立ち上がっています。
今、現在,開花している1本!
中心部に見えるのは雌しべの柱頭
萼が膨らんできている!
立ち上がったばかりの様子
そうです。待望の「ナンバンギセル」です。アジアを中心に日本全国の草地などに自生するハマウツボ科の寄生植物です。別名を「オモイグサ」と言い,花の形が頭を下げて物思いに耽っているように見えるというのが名前の由来です。22日現在,全部で3ヶ所に30本くらい確認できましたよ。
葉は退化しているので葉緑素を持ちません。ですから主に,イネ科などの植物に寄生して,必要な栄養分をもらっています。具合的には,根の一部の寄生根とよばれる根を宿主の根にくっつけて、養分を奪って生活しているのです。そうとう,ずる賢いやつです。
ちなみに,沖縄などではトウモロコシに寄生し,栄養分をとってしまうので,生産農家の方からは大害草として嫌われているそうです。
ところで,『万葉集』に作者不詳ですが,
「道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今更々に 何か思はむ」の一句があります。ここで言う尾花とはススキのことです。つまり,万葉の人はススキとナンバンギセルとの関係をよく知っていたのではないでしょうか。
ナンバンギセルはこれからが見頃です。是非,植物園においでください。
ー追伸ー
ナンバンギセルの観察をしやすくするために、ススキを少し剪定していたら、奥のほうに多くの個体を発見することができました。今年は豊作(?)ですよ。
【解説員K】
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