バスから見えるチョット気になる花~初夏編(2021.6.17)
勤務地の植物園には毎日バスで通勤しています。城南線から浄水通りに入って「動物園西門前」T字交差点の手前が南公園樹林地の林縁にあたるので、季節ごとに気になる花が車窓から見えます。この時期、大きく広げた枝葉の頂部にクリーム色の花が穂状についているのが目に入りました。
我が国では本州の岩手・秋田県以南の山野に普通に自生しているアカメガシワ【赤芽柏】(トウダイグサ科)の花です。繁殖力が旺盛な落葉高木で、市街地のちょっとした空き地などにもよく生えています。
この木は雌雄異株でトップで紹介したクリーム色の花は雄花です。雄しべが多数ついて球状に開きます。
円錐形の花序につく雌花はよく見ると柱頭が3つに分かれています。
なお、和名の「赤芽」は濃い紅色の新葉にちなんでいますが、実はこの紅色は葉の表面に密生している星状毛の色で幼い葉の組織を守る役目があるとされており、葉が成長するにつれて目立たなくなります。
次に道路脇の草地の中で、大きく広げた枝葉に突き出ている穂状の白っぽい花序が目につきました。
多年生草本のヨウシュヤマゴボウ【洋種山牛蒡】(ヤマゴボウ科)です。北アメリカ原産ですが明治年間の初めに我が国に渡来して、現在では全国で普通に見られる帰化植物です。
花序をよく見てみると、白っぽい花弁状の萼(がく)が5個ついています。花弁はありません。
花序には早くも緑色の果実がついていました。
この果実は、秋に黒紫色に熟して垂れ下がります。
また樹林地の常緑樹にびっしりと白い小さな花がついています。
近くに寄って見てみると直径2cmほどの白い花びらが5枚スクリュー状に咲いています。つる性木本のテイカカズラ【定家蔓】(キョウチクトウ科)がびっしりと絡んで花を咲かせているのです。
花には芳香があるので、植物園内「香りの路」にも棚に仕立てて展示しています。和名は鎌倉時代の歌人藤原定家にちなんだ謡曲の中のエピソードから名づけられたといわれています。
現在植物園は残念ながら休園中ですが、今回取り上げた植物は市街地の道路際や空き地に普通に見られますので、皆様のお宅の周囲でもご覧になってください。
(解説員)
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