ちいさな大発見No.133(2021.6.11)近くて遠い?
今回取り上げる植物はドクダミとハンゲショウです。この2つの植物は同じドクダミ科なのですが、似ているようであまり似ていません。
庭や畑の嫌われ者で、地下茎は深く、抜いても抜いても根絶が困難、しかも臭いが強烈なドクダミ。名前からして毒草と思われがちですが、本来の意味はと言うと、毒を抑えるという意味から毒を矯(た)める、毒矯め、毒矯みとなまってドクダミになったと言われています。
現にドクダミ茶はよく飲まれていますし、薬草として多くの効能があることが知られ、別名を十薬(重薬)と呼ばれています。
ところで、ドクダミには花弁がありません。4枚の白い花弁のように見えるのは、葉が変化した総苞片です。そして、中心部にある花穂は多くの小花の集合体です。
1つの小花には先っぽが3裂した雌しべ1本と3本の雄しべがあります。しかし、雄しべの葯には花粉はなく、受粉せずに種子ができる単為生殖をします。ですから、虫を誘引する必要はまったくありません。
こちらはヤエドクダミです。一般に八重咲きと言うと、蕊が花弁化することが多いようですが、こちらは花穂の途中から白い苞が伸び、苞と苞の間には蕊が確認できます。
次は同じドクダミ科のハンゲショウ(半夏生、半化粧)です。こちらもドクダミと同じで花弁はなく、1本の花穂に小花がたくさん集まっています。
ハンゲショウの特徴は、花穂のすぐ腋にある葉の一部を白く変化させ、受粉をしてくれる虫たちにアピールすることです。
葉が白くなるのは花穂の根元にある1枚の葉と決まっているようです。
さて、葉を白くすると、その分、植物にとっては光合成ができなくなるというリスクがあります。それでも、白化するのは、目立たない花をアピールし、虫たちに受粉してほしいからです。ちなみに、葉が白くなるのは葉緑素が出ていないことが原因です。
ところで、白化した葉の裏はどうなっているのでしょう。
葉裏に変化はなく、緑色のままでした。このことから、カタシロソウ(片白草)と別名があります。
受粉が終わり、花穂が老いてくると、白化した葉は徐々に緑色に戻っていくのです。
すごい戦略ですね。
【解説員K】
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