2016年10月17日月曜日

バニラアイスのバニラってランの一種なんです。(2016.10.17)


バニラ Vanilla planifolia  ラン科バニラ属




    バニラは、バニラアイスクリームなどでよく聞きく名称ですが、実はランの一種です。当園にも、ラン温室2に展示しています。   

                                                                          ラン温室2

        バニラの花は、毎年6月ごろ、小ぶりながら、薄い黄緑色をしており、ランの特徴であるリップ(唇弁)もった花を咲かせます。開花は午前中のわずかな時間しか咲いていませんので、見られた方は大変運がいい人だと思います。
 


ランの花(真ん中がリップ)



ランの花

 

  バニラの実は、インゲン豆のような形をして、初めは緑色をしていますが、次第に黒色に変わっていきます。サヤの中には、直径0.2ミリ程度の小さな種子が無数に詰まっています。ちなみにバニラの語源は、スペイン語で「さや」という意味の「バイナ」から、バニラと呼ぶようになったそうです。
 




バニラのサヤ(緑色の若いサヤ)



バニラのサヤ(黒色の熟したサヤ)



  高級なバニラアイスに入っている黒い粒々、その1つひとつが種子なのです。そのバニラの種のことをバニラビーンズと言います。このバニラビーンズを収穫し、独特の甘い香りに変えて使えるようになるまでには、いくつもの遠い道のりがあります。

 

サヤの中のバニラビーンズ(バニラの種)


  そもそも生のバニラビーンズには味も香りもありません。収穫後、数か月かけて発酵・乾燥を繰り返すキュアリング(乾燥熟成処理)という過程を経てはじめて、独特の甘い香りと風味を持つ匂いを発散するようになります。

    このバニラビーンズの利用は、昔からメキシコで使われていました。ヨーロッパで知られるようになったのは、16世紀スペイン人コルテスが、チョコレート飲料の香りづけにバニラビーンズを使うことをヨーロッパに伝えたもので、バニラ風味のホットチョコレートはヨーロッパ各地の宮廷でブームになったそうです。18世紀になると、アルコール飲料やたばこや香水にも使用されるようになりました。

  バニラ商業栽培は19世紀初め、バニラビーンズを収穫する目的でヨーロッパに持ち込まれ、そこからインド洋の島々に運ばれましたが、島々には授粉を行なうハチがいなかったため,実を実らせようとする試みはうまくいきませんでした。そのため19世紀中ごろフランス領レユニオン島にて人の手で授粉する実用的な方法を完成させるまで、メキシコがバニラ取引を独占していました。

    現在はメキシコ以外の土地でもバニラの栽培が行なわれるようになり,今日のバニラビーンズの主産地は,インドネシア,マダガスカル,レユニオン,コモロ諸島などです。

    この処理過程は、非常に手間がかかるため、バニラは非常に高価な香料となっていますが、19世紀後半にはバニラの主成分である「バニリン」が人工的に合成され、近年は、合成バニラが多く使われるようになり,天然バニラが使用される割合は少なくなっているそうです。
 
バニラは、バニラを愛する先人たちの歴史が詰まった食材なのです。
 


 バニラの小箱

 採取したバニラの実を常時展示しており、匂いを嗅ぐことも出来ます。
 

  当園ではバニラの他、日頃見られないランを所有しており、花が咲いたときに展示していますので、ぜひ直接植物園にお越しいただき、本物を見ていただければと思います。

  ご来園、心からお待ちしております。

                                                                                                                                         (植物展示係)

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