バスから見える花~その後(2021.9.18)
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6月中旬に当ブログで「バスから見える花~初夏編」を紹介しました。
「動けない(動かない)」植物たちは次世代の子孫を残すために、周りと競うように花を咲かせて花粉を運んでくれる昆虫などにその存在をアピールします。また受粉後は果実を鳥などに食べてもらうことで、その中の種子が広い範囲に散布されます。
花を咲かせてから約3か月、暑い夏を過ごしたあと実りの秋を迎えて、バスから見えた花たちは子孫を残すためにどのような姿になっているのか、ビフォーアフターを見てみましょう。
トップの写真はアカメガシワ【赤芽柏】(トウダイグサ科)です。前回、この種は雌雄異株ということを紹介しました。雌花が受粉した後子房が肥大して果実になりつつある時の写真ですが、表面には黄色っぽい棘状の突起があり、頭には3つに分かれた雌しべの赤い柱頭がそのまま残っています。
9月になると果皮が割れて、中から黒くて光沢のある種子が顔を出します。種子の表面には油脂分を含んでいるので、鳥たちの好物になっているようです。鳥たちが食べ残したものは落下、土の中に埋もれて長い期間しぶとく生き残り、発芽のチャンスを待つことになります。
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次はヨウシュヤマゴボウ【洋種山牛蒡】(ヤマゴボウ科)の果実のビフォーアフターです。最初はやさしい緑色をしていた果実が、熟してくるとなにやら毒々しい黒紫色になって垂れ下がります。注目していただきたいのはつけ根の果柄の色、果実が熟すにつれて赤色が濃くなっていきます。これは植物の「二色効果」と呼ばれるもので、もともと鳥たちは赤色を好む性質がありますが、赤と黒のツートンカラーだと鳥を引き寄せる効果が倍増するとのことです。
ヨウシュヤマゴボウは果柄と同じように幹も赤色が濃くなりますが、あわせて緑色の葉も赤色に染めていきます。「二色効果」をこれだけ徹底すると鳥たちへのアピール度は抜群ですね。
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細長い袋果で、2個が対になってぶら下がっています。熟すと細長い実が縦に裂けて、中から長い綿毛をもった種子が出てきます。風まかせの種子散布で鳥たちにアピールする必要がないのでこんなに目立たない果実なんですね。
植物たちが花を咲かせた後の、子孫を残すためのさまざまな姿、いかがですか?
現在、残念ながら休園延長中で園内植物は見ることができませんが、今回紹介した植物は皆さんの身近かに普通にあると思いますのでどうぞ観察してください。
(解説員)
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