イギリス生まれの桜 オカメ(2017.3.22)

 ソメイヨシノの開花が今か今かと待たれている今日このごろですが、園内ではソメイヨシノに先駆けて早咲きのサクラも次々に開花しています。
 その中のひとつ、小ぶりながらもピンク色の花びらが美しいのが「オカメ」。

 実はこの「オカメ」 カタカナのユニーク名前がつけられていますが、イギリス生まれの園芸品種です。交配されたのはカンヒザクラとマメザクラ。
カンヒザクラ
花びらの色や下向きに咲くのはカンヒザクラ、小ぶりなところはマメザクラの性質を受け継いでおり、枝があまり横に広がらず狭い庭にも植えられるので、最近家庭向きの桜として人気だとか。

 「オカメ」を作り出したのは、明治・大正に3度も来日しイギリスに100種類以上もの桜を広めて「英国人桜守」と称されるコリングウッド・イングラム(1880~1981)という園芸家。
 関東大震災(1923)後の復興や近代化の中で多くの品種が絶滅の危機に瀕して、多様な桜を愛でてきた日本の伝統が薄れていくことを憂いていたというイングラム。その足跡は「チェリー・イングラム 日本の桜を救ったイギリス人」(阿部菜穂子著、岩波書店)で知ることができます。

 ソメイヨシノに続いてカンザンやフゲンゾウをはじめとする遅咲きのサクラもこれから続々と咲いていきます。植物園で様々な桜をお楽しみください。                        (解説員)

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