冬場の花の少ない時期にうつむいて咲くクリスマスローズ。この花の特徴はとにかく丈夫で育てやすいこと。直射日光が少ない場所でも育つため、当植物園では針葉樹園の中、メタセコイヤなどの高木の下でたくましく咲いています。
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針葉樹園に咲くクリスマスローズ |
ところで、2月から3月ごろ咲くのに「クリスマス」?バラでもないのに「ローズ」?
不思議な名前ですよね。実はこの名前はもともとヘレボルス属の原種の一つである「ヘレボルス・ニゲル
Helleborus niger 」だけを指していました。この種類がイギリスの気候ではクリスマスの時期に咲いて、しかもノバラに似ていることから名付けられました。現在咲いているのは「ヘレボルス・オリエンタリス
H. orientalis (春咲きクリスマスローズ・レンテンローズ) 」の園芸品種が大半ですが、我が国ではヘレボルス属全体の総称としてこの名前が広まっているようです。
このヘレボルス属は花にもヒミツがあります。うつむいて咲いている花びらのように見えるのは「萼(がく)」です。萼は一般には花を保護する役割を担う器官で目立ちませんがが、クリスマスローズの萼は多彩な色や模様をつけます。
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つぼみの状態 |
そして、この花の本来の花びらは退化して小さな蜜腺になって雄しべの周りに残っています。
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雄しべの周りの蜜腺(黄緑色) |
クリスマスローズが属するキンポウゲ科には、クレマチスやシュウメイギクなど萼が花びらのように美しくなったものが多いです。
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クレマチス |
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シュウメイギク |
寒い時期に長い間花を楽しめるのもクリスマスローズの魅力のひとつ。3月になってもまだまだ楽しめますのでどうぞご来園ください。 (解説員)
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