地味な花も、小さな花も・・続々開花(2021.3.20)

 

 今年は2月が高温傾向だったためソメイヨシノは記録的な速さで開花しましたが、春分を迎えて他の春の花たちも続々と開花しています。今回も、そのような花のうち、これまでこのブログで取り上げてこなかった地味な花、小さな花をご紹介したいと思います。

 まず針葉樹園で見つけた地味な花、コウヤマキ【高野山槙】(スギ科)です。雌雄同株でこの写真は雄花ですが、枝先の葉穂に茶褐色の地味な花が集まってつきます。

 針葉樹園の花、次はスギ【杉】(スギ科)です。当園で見られるのはヨリスギ(別名クサリスギ、タツマキスギ)という園芸変種で枝先がねじれるタイプです。これも雌雄同株で、写真は枝先に集まってついている雄花です。 
 その他、地味な花を紹介します。
 庭木園のアカシデ【赤四手】(カバノキ科)です。枝先に雌花、枝下には雄花が尾状に垂れ下がって風に揺れています。


 紅葉樹園のネグンドカエデ【negundo楓】(カエデ科)です。黄緑色の新緑が美しいケリーズゴールドという園芸品種です。雌雄異株でこの写真は雄花ですが、葯を付けた花柄を長く伸ばして垂れ下がります。
          
 園内各所で見られるヤマモモ【楊梅】(ヤマモモ科)です。福岡市内では公園や街路でもよく植栽されている常緑高木です。雌雄異株でこの写真は雄花ですが、穂状に集まってつきます。
 これら紹介した地味な花は、いずれも花粉を大気中に散布して受粉を行う風媒花です。この時期花粉症で悩んでいる方には厄介な存在だと思いますが、昆虫などに花粉を運んでもらう必要がないので、花弁もない地味な花なのです。
 次に小さな花をご紹介しましょう。
 イスノキ【柞】(マンサク科)の花です。虫えい(虫こぶ)ができるのが特徴的な樹木ですが、花弁がなく小形の苞をもつ紅色の花が総状につきます。
 カツラ【桂】(カツラ科)の花です。雌雄異株でこの写真は雌花で、上側に前年の果実の殻も写っています。花弁はなく紅紫色の花柱を長く伸ばします。
 モチノキ【黐木】(モチノキ科)の花です。雌雄異株で、ピントが甘い写真ですが大きな花柱と短く退化している雄しべから雌花だと思います。和名は、樹皮から「鳥もち」を採ったことに因みます。
 アオキ【青木】(ミズキ科)の花です。これも雌雄異株で、この写真は雄花です。4個の紫褐色の花弁基部に淡黄色の葯が確認できます。
 最後に、入口広場のサークルベンチの中でサルトリイバラ【猿捕茨】(ユリ科)の花を見つけました。雌雄異株のつる植物です。この写真は雄花で雄しべが6本見えます。こんな小さな花でもユリ科の特徴である外花被、内花被が3枚ずつきちんとあります。

 春爛漫の園内で色々な表情の花を見つけてください。         (解説員)








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