ちいさな大発見No.118(2021.3.21)繁殖力旺盛な春の野草

 南公園のソメイヨシノがそろそろ満開を迎える中、足元を見ると多くの野草が冬の寒さに耐え、待ちわびた春の到来を喜んでいるようです。

 先ず、次の写真をご覧ください。 

 園内で最も目立っている、ヒガンバナ科ハナニラ属のハナニラです。アルゼンチン原産で`spring star flower‘の英名がついています。 

 とってもきれいな6弁花に見えますが、実は奥にある3枚はガク(外花被)です。中央には1本の雌しべを、6本の雄しべが取り囲んでいます。

 そこで、3枚の花被を取り外してみると、長めの雄しべ3本と、短い雄しべが2本見えています。本当は短い雄しべも3本あるのですが、花被を取り外したときに1本花被にくっついて取れてしまいました。 

 ちなみに花被の裏側は、写真のような薄紫のスジが入っています。 

 実は繁殖力が大変旺盛で、球根が増えるだけでなく、種でも増えます。鳥や昆虫等でも運ばれるのかもしれません。

 ちなみに、花色は白みがかった淡いブルーや紫、白があります。葉や茎を切るとニラのような臭いがしますが、花は葉の匂いから想像できないような甘い芳香がありますよ。


 もう一つ、爆発的に増えるヒガンバナ科のミツカドネギを紹介します。地中海沿岸地方に分布する多年草で、別名をアリウム・トリクエトルムと言います。 

 ネギ属に分類されている植物で、ネギやニラの仲間です。花茎の断面は三角形で、ミツカドネギの名前の由来になっています。 

 花は白色に緑のスジが入った釣鐘状です。花弁は6枚、雄しべが6本、雌しべは1本です。

 夏前にはエライオソームがついた種子ができるので、アリによって遠くに運ばれ、そこで発芽するようです。なお、エライオソームについてはNo.32で紹介していますのでご参照ください。

 ヨーロッパでは全草が食用とされており、バターと混ぜてガーリックバターのように使用したり、葉や花を炒め物にしたり、球根はピクルスなどに利用されるそうです。

 なお、スイセンなどヒガンバナ科の植物には強い毒性を持つものが多く、ニラと誤食して中毒症状を起こす事例が多く発生しているそうです。くれぐれもご用心下さい。

【解説員K】


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