ちいさな大発見No.161(2022.7.25)よろこびの木【喜樹】

 福岡市植物園では、植物の学名、特徴等については小学館の「園芸植物大辞典」に準拠しています。そこで、今回、紹介するニッサ科のカンレンボクについては、「雌雄同株で雌性・雄性の球花序が3~5個総状につき、頂生の球花序は雌性で、腋生の球花序は雄性・・・。」と記載されています。

 ちょうど、今、芝生広場や苗圃で、カンレンボクの開花が始まりましたので、早速、観察してみました。

 先ず、次の写真を見てください。 

写真1

 先端につく頂生花序です。よく見ると雌しべが伸びてきていますが、数本の雄しべが確認できます。

写真2

 写真2では雄しべはすべて脱落し、雌しべのみとなっています。

写真3

 これは頂生花序の脇で開花した腋生花序の雄花序です。

 本来であれば、頂生花序の蕾の段階で観察し、開花した様子が写真3であれば、説得力も倍増したと思うのですが。

 つまり、頂生花序では先ず雄しべが出現し花粉を飛ばす雄性期を経て、その後、雄しべが脱落し始めると、雌しべが出て熟す雌性期を迎える雌雄異熟という咲き方をするようです。ですから、頂生花序は両性花ということになり、冒頭で紹介した内容と少し違っているようです。

写真4

 写真4では一番花である頂生花序の受粉後に腋生花序である雄花序が一斉に4輪咲いています。これが開花時期をずらすことで、自家受粉を防ぐことが目的のようです。

 ちなみにクマバチや他の多くのポリネーターたちが蜜を求めて花から花へと飛び交っていましたよ。中には羽や体に花粉をたくさんつけている虫もいましたよ。

写真5(昨年の写真)

 腋生花序の雄花序は開花後、数日経つと、花柄からすべて脱落してしまいます。残るのは頂生花序のみと言うことになります。ですから、写真5は頂生花序の両性花が結実した果実で、昨年9月末の様子です。


 さて、中国原産のカンレンボクは、生命力が強く果実がたくさんできることから子孫繁栄を表す喜びの木、キジュ(喜樹)と呼ばれています。

 園内に植栽されているカンレンボクは中国広州市との友好都市締結10周年を記念して1989年に福岡市に寄贈されたものです。

 ご来園の際はぜひ、観察してみて下さい。

【解説員K】

 

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