葉見ず花見ず[ハミズハナミズ](2017.1.11)

 木々が葉を落としたり草が枯れたりして緑が少ないこの時期ですが、針葉樹園の奥や郷土樹木園の木々の根元には、細長い葉の植物が青々と元気に繁っています。なんの葉でしょうか?

 実は、この葉は秋のお彼岸のころに真っ赤な花を咲かせるヒガンバナの葉なんです。
 このヒガンバナ、大変興味深い生活パターンをもっています。まず花の咲き方が独特です。
 今まで何も見られなかった土手などで、ある日突然花のつぼみが顔を出したかと思ったら数日で茎を伸ばして真っ赤な花を咲かせます。

 花の時期が過ぎると茎の足元からやっと葉が出てきます。

  秋から冬、ほかの植物が枯れるころ葉を青々と繁らせてたっぷりと光合成をして地下の球根に養分を貯めこみます。それから春、ほかの植物が芽を出して大きく成長するころ、さっさと葉を枯らして休眠に入り秋の開花を待ちます。
   つまりヒガンバナは「花の時期」~「葉の時期」~「休眠の時期」というパターンで1年間を過ごして、ほかの植物たちと競合しないユニークな生き方をしているんです。

   そこでヒガンバナには「花がある時は葉がなく、葉がある時は花がない」ということで「葉見ず花見ず(ハミズハナミズ)」という別名が付いています。                           
(解説員)









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