身近なところに~帰化植物(2020.5.13)

自宅近くの身近な植物、今回は田んぼ周りの話題です。今の時期、田んぼでは冬の間育ってきた麦が熟れて黄色く色づいてきていますが、外周の畔には長い葉柄を伸ばしてアメリカフウロ【あめりか風露】(フウロソウ科)が繁茂しています。北アメリカ原産の帰化植物で、昭和8(1933)年に京都で帰化が記録されて以来、現在では東北地方以南で全国的に生育範囲を広げているようです。
直径5mm程の小さい淡紅色の花をつけます。資料によると、西南暖地では麦や冬野菜の畑に発生して問題になっているようです。これから麦刈りが終わって田植えの準備のために畔の草刈りをしますが、茎をびっしりと広げて草刈り機の刃に絡みつくので作業は厄介です。
また、最近田んぼの土手のところでよく目につくようになってきたのが、オレンジ色の4弁花ナガミヒナゲシ【長実雛罌粟】(ケシ科)です。これも帰化植物で、原産は地中海沿岸です。昭和36(1961)年に東京都世田谷区で確認されて以来、現在では青森、沖縄を除く全国各地に生育範囲を広げているようです。
花の後、細長い果実(芥子坊主)をつけるのが和名の由来です。この一つの実の中に、いわゆる「芥子粒」の種が1000~2000粒も入っていて、熟して乾燥すると種が飛び散っていきます。資料によると、我が国だけでなく帰化している各国でも麦などの秋播き作物の農地へ侵入して難防除雑草となっているようです。
田んぼ近くの溜池への水路のところで驚いたのがこの光景です。ノハカタカラクサ【野博多唐草】(ツユクサ科)が辺り一面を覆っています。これまでも水路周辺でいくらかは見かけていましたが、これだけ広範囲にびっしりと繁茂しているのは初めて見ました。なぜ急激に広がったのか?
 周囲を見てみると、スギの幹が途中から風でボッキリ、これが原因のようです。
これまでスギの枝が広がって下草が伸びなかったのが、幹が折れて日が差すようになって繁殖力が強いノハカタカラクサが一気に勢力範囲を広げたのではないか、と推理したのですがどうでしょうか?
ノハカタカラクサは別名トキワツユクサ【常盤露草】とも呼ばれ、南アメリカ原産の帰化植物で本州中部以西に広く生育範囲を広げて、外来生物法の「要注意外来生物」に指定されています。昭和初期に観葉植物として移入されたシロフハカタカラクサ【白斑博多唐草】が逸出、野生化して斑が消滅したと考えられています。


 「帰化植物」とは? 資料によると、「人間の活動によって外国から渡来し、野生化に成功した植物たち」と定義されています。
 自宅近くの田んぼ周りを観察すると、帰化植物の多さと、それらの繁殖力の旺盛さにあらためて気づかされました。                                       (解説員)

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