2020年6月5日金曜日

「ツクシ(筑紫)」が付く植物(2020.6.5)

ピークは過ぎましたが園内のバラ園ではまだまだ多くの種類が楽しめます。バラ園の温室側、つるバラが集まった一画でも、花弁の縁がほんのりピンクに色づいたツクシイバラ【筑紫茨】がまだ咲き続けています。
日本全土に野生しているノイバラの変種ですが、この種は九州南部に野生しているので、和名の頭に九州を意味する「ツクシ」が付いています。熊本県球磨郡錦町では球磨川河川敷に自生地が保護されています。
 「筑紫」・・・読み方は「つくし」、「ちくし」の二通り(ふたとおり)あります。この地域を表す言葉は、資料によると九州の古来の総称を指していた場合と福岡の西部と南部(筑前と筑後)を指していた場合があるようですが、植物和名には「九州に生育する〇〇」という前者の意味で付けられることが多いようです。
 ということで、今回は園内で見られる「ツクシ〇〇」という和名の植物たちをご紹介します。
4月中~下旬に温室前で開花するツクシカイドウ【筑紫海棠】です。中国原産で、かつて熊本や大分に分布していた野生種は環境省のレッドデータでは絶滅とされていましたが、近年大分県の山間部で野生集団が発見されたとの報告があるようです。
4月下旬に「香りの道」で開花するのがツクシシャクナゲ【筑紫石楠花】です。日本固有種で本州の近畿南部地方~九州に分布しています。福岡県では豊前市犬ヶ岳の自生地が国の天然記念物に指定されています。
芝生広場の池で見ることができるのがツクシオオガヤツリ【筑紫大蚊帳吊】です。本州の一部(茨木、千葉)~九州(福岡、大分)からマレーシア、インドなどの熱帯にも分布していますが、明治39年に福岡城のお堀で初めてその存在が確認されたのでこの和名がつけられています。中央区城内の生育地のものは福岡県の天然記念物に指定されていますが、年々生息地が減少して環境省レッドデータでは絶滅危惧ⅠB類(近い将来に絶滅の危険性が高い)となっています。


 「ツクシ(筑紫)」が和名の頭に付く植物たち、園内で見られるものを列挙するといずれも貴重な植物たちですが、「園芸植物大事典」(1994小学館)の目次で調べてみるとツクシアオイからツクシヤマザクラまで全部で22種類が掲載されています。
 ちなみに、同様に生育する地方名が付くものとしては、「エゾ(蝦夷;北海道)」が一番多いようです。同事典で調べると84種類が掲載されています。これは、北海道が本州から隔絶した地域で、固有種が多かったことを物語っていると考えられます。                  (解説員)

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