ちいさな大発見No.97(2020.8.15)サルスベリの秘密!?

 通勤中の車窓から白やピンク,赤,紫など色鮮やかな花木が目に留まります。
 夏の花の1つ,ミソハギ科のサルスベリです。植物園でもモデル庭園や花木園Aで8月に入って開花が始まりました。

 ところで,花のつくりはどうなっているか知っていますか。円錐状の花序にばかり目がいき,ひとつひとつの花をじっくりと見たことがなかったので,今回調べてみました。
 先ず,この写真を見てください。

 花弁は6枚。銀梅花(マートル)の花に似て,花弁がちりめんのように縮れていることから英名 Crape myrtleの名が付いたそうです。花弁を支える柄が長く,正にフリンジ状で,このような花形はとても珍しいと思います。
 中心には雄しべが30本以上集まっています。先っぽの黄色い葯から花粉がたくさん出ていますが,この花粉には生殖能力がなく、そのかわり高い栄養価があるそうです。つまり虫をおびき寄せる効果があるわけです。
短い雄しべと雌しべ

 本当の受粉可能な雄しべは,その周りにある長い6本の雄しべです。虫たちが中心にある短い雄しべの花粉を食しているとき,クルッと巻き込んでいる長い雄しべの花粉が背中に付き,同じくクルッと巻き込んでいる雌しべに受粉する仕組みです。

 もう一つ,秘密があります。それは次の写真をみるとわかります。
コクサギ型の葉序

 葉の付き方ですが,場所により対生したり互生したりします。それだけでも珍しいのに,ときに左右に2枚ずつ交互に並ぶコクサギ型と呼ばれる葉の並び方をしています。かなり珍しいですよ。

 また,花木園Cでは中国や台湾,沖縄に自生するシマサルスベリが咲いています。こちらは花が小ぶりで白のみのようです。
一つの花は小さいが・・・

 最近,ちょくちょく目にするようになったムラサキサルスベリは,シマサルスベリとサルスベリとの交雑種です。
 長短の雄しべや雌しべを是非、確認してみてください。
【解説員K】

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