ちいさな大発見No.164(2022.11.20)性転換する?
花が少なくなってきたこの時期、野草園西エリアで大きな樹木の陰にかくれ、ひっそりと咲いている花があります。ウコギ科ヤツデ属の常緑低木で、大きな葉が特徴的なヤツデです。
実はこの植物には面白い特徴が3つあります。
まず1つめ。
それはちょっとオーバーな言い方ですが、花が性転換?するのです。
初めに雄花が咲きます。雄花には5枚の花弁と5本のおしべがあり、葯が熟すと蜜を出して虫たちを呼び、花粉を提供します。この時期を雄性期と言います。
その後、花弁や雄しべは脱落し、中性期を迎えます。
そして、最後に5つに分かれた雌しべが伸びてきます。雌性期です。雌しべが熟すと、やはり蜜を出して虫たちを誘引します。
このような仕組みは雄性先熟と言い、自家受粉を避けることが目的です。つまり、近親交配を防いで遺伝的に強い種子を残すことが目的だと思います。
2つめの特徴です。
少ない日照を少しでも多く得るために下葉ほど、葉柄を長く伸ばし、いちばん大きな葉を出します。後から出てくる葉ほど、葉柄も短くなり葉も小さくなります。これは少しでも多くの光を受けるための生長戦略です。
3つめは名前の由来です。
和名では「八手」と書くように手のひらを広げたような葉の裂け方をします。しかし、実際には9枚葉が圧倒的に多く、次に7枚、8枚葉は1枚だけ見つけました。ほとんどが9枚葉なのに、どうして八手なのでしょう。これは数が多い葉の裂け方を、末広がりで縁起の良い「八」の字を充てたようです。
なお、同じウコギ科で属は別ですが、ヤツデよりもさらに大きなカミヤツデが間もなく温室南側の外壁側で開花を迎えます。
カミヤツデについては、「ちいさな大発見!? No.59(2019.12.25)トトロもびっくり?」にて詳しく書いていますのでご参照ください。
植物園にお出かけの際は是非ご覧になってください。
【解説員K】
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