こんな花も咲いています~ホルトソウ(2020.4.29)

園内では、初夏に向かって色鮮やかな花たちが続々と咲いていますが、今回もちょっと地味目の花に焦点を当てて紹介します。先日の野草園のブログでも取り上げられていましたが、ホルトソウ(トウダイグサ科)です。なかなか興味深い花ですので、さらに詳しく見てみましょう。
花の部分のアップ写真です。写真で丸い葉のように上下についているのは苞葉で、その付け根の黄色が目立つところが花序になります。花序はトウダイグサ科に特有な形状で杯状花序(はいじょうかじょ)と呼ばれ、合着して杯状(カップ形)になった総苞の中に雄花数個と雌花1個が包まれる形になっています。花弁(花びら)はありません。雌性先熟(雌花が先に熟す)なので、写真には雌花の花後の肥大した子房(黒い筋が入った緑色の球体)が写っており、先端には花柱が見えています。雌花の付け根のところの黄色いものが雄花ですが、その周りのちょっと湿ったように見えるものは腺体(せんたい)と呼ばれ、蜜を分泌する器官です。
この写真は、科の名前にもなっているトウダイグサ【燈台草】です。我が家の近く、国道沿いの土手で撮影しました。茎の先端に5枚の葉が皿状に平たく輪生して、その上に杯状花序がつきます。その形が油を入れた皿に灯心を立てて灯を燈した昔の燈台に似ていることから付いた名前です。
 不思議な形状のトウダイグサ科の花は、園内では6~7月にかけて草丈が高いタカトウダイ【高燈台】も野草園東で見ることができます。


なお、ホルトソウは地中海沿岸地域原産で、我が国には天文年間に渡来したそうですが、この和名は、ホルトソウの種子から採った油を、ポルトガルの油(=オリーブ油)として偽製したことが由来になったとの説があります。
ちなみに、本市内で街路樹などに多く植栽されているホルトノキの和名も、その実がポルトガル(ホルト)から来たオリーブの実に似ていることに由来しているといわれています。


 ホルトソウをはじめトウダイグサの仲間、本当に不思議な植物たちです。         (解説員)

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