ちいさな大発見!? No.71(2020.4.8)植物にもオスとメスが?

 キウイを植えるときは雄木と雌木を一緒に植えないと実が付かないという話を聞いたことがあると思います。また,街路樹にイチョウの雌木を植えて銀杏の匂いが臭いと,役所に苦情が殺到したという話を聞いたことはありませんか。
 実は,植物界では5%弱が雌雄異株の植物だと言われています。そこで今,園内で見ることができる雌雄異株の植物を紹介します。

 先ず,園内各所で見ることができるミズキ科の「アオキ」です。日本原産の植物でよく日影に植えられます。葉はもちろん,幹や枝まで緑色をしていることから,そのまま「青木」の名が付いたそうです。
4本の雄しべが見える雄株 
雌しべの柱頭が見える雌株

 次は郷土樹木園にあるクスノキ科の「アオモジ」です。くす玉が割れるような感じで蕾の中から5つの花が飛び出てきます。中心に1つ,その周りに4つの花があり,2重構造になっています。クスノキ科らしく枝によい香りがあるので爪楊枝に利用されます。
球形の蕾の中に5個の花(雄株) 
雄花よりも一回り小さい雌株

 温室前ではミカン科の「ミヤマシキミ」が見事に咲いていました。特に雌株には昨年開花後にできた実が赤く色好き,今年咲いた花と共演していました。花だけを比べると,雄株の方が花数も多く立派です。
 
ピラミッド状の花穂が見事な雄株
割と質素な雌株

 このように雌雄異株の植物には雄株と雌株があるのですが,次の植物はちょっと異なった性質を持っているようです。
 クリスマスホーリーで有名な「セイヨウヒイラギ」です。ヒイラギはモクセイ科ですが,こちらはモチノキ科です。本種は雌株ですが,近くに雄株はありません。「単為結果」と言って,受精せずに子房だけが膨らみ,種子のない実ができます。ちょうど,ジベレリン処理をされた種なしブドウのようです。
 葉にはヒイラギ特有のトゲトゲ(鋸歯)がありませんが,これは「異形葉性」と呼ばれる現象だそうです。
丸葉で刺なしの雌株

 また,温室前にクスノキ科の「ヤマコウバシ」があります。冬の間,枯れ葉が落ちることなくびっしりと付いていることから,落ちない木として受験生に大人気だとか。
 ところで,ヤマコウバシの雄株は日本には存在しないと言われていますが,それでも秋には黒い実を付けます。これも単為結果による結実かと思いきや,そうではないようで,雌花だけでどうして結実するのかは、はっきりとわかっていないそうです。 
ヤマコウバシの雌株

最後は,草本ではとても珍しい雌雄異株の植物を紹介します。
 タデ科の「スイバ」です。噛むと酸っぱい味がするので、「酸い葉」です。日本では雑草ですが、フランスでは「ソレル」と呼ばれ,スープやサラダで食べられています。
 雌雄の区別は下の写真からは判断できません。雄株を見ると、下を向いた花弁の内側に葯があります。雌株には、花弁の内側に赤紫色の雌しべがあります。
左が雌株,右が雄株

 さて,国の緊急事態宣言を受け,福岡市植物園も本日より休園となりました。
 今後,園内の様子も含め,見頃の花を中心にアップしていきます。

【解説員K】

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