秋には大きな実に~ドングリの花(2021.4.5)
ドングリとは、ブナ科の樹木が実らせる果実の総称。秋になったら、丸い形やとんがった形などいろいろな実が地上に落ちて子どもたちに人気があります。
ところで、皆さんはドングリの花は見たことがありますか?ブナ科の樹木の花の多くは、サクラなど春の花が次々に開花する時期にひっそりと咲くので、意外と気づきません。
最初のの写真はコナラ【小楢】の花で、若葉の芽吹きと同時期に咲きます。雄花が集まって尾状に垂れ下がりますが、花粉を風で飛ばす風媒花なので目立たず、香りもありません。 春風に揺れて花粉を振り出します。
これは雄花の拡大写真ですが、地味な様子がよくわかりますが、さて、雌花はどこにあるのでしょうか? ありました。今年伸びた枝の付け根のところです。ここに雄花の花粉が飛んできて受粉し、秋にドングリに育つのです。 これは受粉後、7月中旬頃のドングリ生長中の様子です。この時期は未熟な果実を殻斗(かくと)がしっかり守っています。 アラカシ【粗樫】の芽吹きと雄花です。 同じく7月中旬頃のドングリ生長中の様子です。アラカシやコナラは、春に開花受粉をしてその年の秋には成熟します。(1年成といいます) アベマキ【棈】の若葉と雄花です。モシャモシャのブラシ状の殻斗をつけるドングリですが、春に開花受粉後、年を越して翌年の秋に成熟します。(2年成)
この時期、園内では他にクヌギ、ミズナラなどの花も見ることができます。
ちなみに、以上3種類のブナ科樹木の花(風媒花)をご紹介しましたが、実はブナ科には昆虫たちに送粉を委ねる虫媒花もあります。
マテバシイ【馬刀葉椎】とクリ【栗】の花です。これらの雄花序は上向きに張り出して、
全体が白から黄色に見えて視覚的に目立ち、また独特の匂いも強く、昆虫たちに存在を強くアピールしていることがわかります。開花時期は例年5月末~6月初です。
一口にドングリといっても、いろいろな生育のパターンがあるのがおもしろいですね。
目立たないドングリの花ですが、秋に大きく実るのが楽しみです。
(解説員)
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