ちょっと気になる路傍の花たちNo.34(2022.10.2) ヤノネボンテンカの秘密?
前号の「ちょっと気になる路傍の花たちNo.33」をアップしたのは、2020年5月29日ですから本当に久しぶりです。
今号ではアオイ科のヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)をとりあげます。別名の「タカサゴフヨウ」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。
自宅前の河川敷にあるコンクリートの隙間から高さ1.5m程の株が2株咲き誇っています。
朝咲いて夕方には閉じる1日花ですが、開花期間が長く7月から10月末くらいまで咲き続けます。
さて、本種にはすごい秘密があります。それは受粉方法にあります。
①日中は昆虫などの力を利用して他家受粉をする。最もポピュラーな受粉方法です。
②夕方には雌しべが反り返って雄しべの葯まで動き、花粉を取り込んで自家受粉する。
まず、朝7時50分には開花しているのに驚きです。雌しべの柱頭は閉じたままです。
そして、10時55分の時点では柱頭の先が少し開き始めています。
15時頃、柱頭の先端が10個に分かれています。16時20分では分岐した先っぽが雄しべの葯を取り込み、受粉をしています。
完全に閉じたのは18時頃でしたよ。このように、雌しべがおよそ8時間近くかけて受粉するために動いていくというのが何とも不思議です。
③開花せずに、閉じたまま萼片の中で受粉する閉鎖花をつける。
閉鎖花というのは花冠が開かないで自家受粉してしまう現象のことです。スミレやホトケノザ、タツナミソウ、ミゾソバなどで見ることができます。自家受粉できるので確実に次世代の種子を作ることができますが、弱体遺伝子が引き継がれる危険性もありそうです。
まぁ、最も望ましいのは①の他家受粉ですが、仮に昆虫などが訪れなくても、その保険として②、③の方法で種子を作るというヤノネボンテンカの驚くべき仕組みに感動しました。
【解説員K】
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